マーケティングから文章校正、中古車の値段決めまで! 幅広いデータ活用事例を紹介 『DATUM STUDIO Conference2017』レポート

AINOW編集部の小澤です。
今回は「DATUM STUDIO Conference2017 夏」のレポートをお届けします。 いろんな業界・業種でのデータ利活用事例が報告されました。

■ DATUM STUDIOとは?
DATUM STUDIO(デイタム スタジオ)は、データを活用しようとするすべての企業を、人工知能(AI)を通し支援する会社です。どのデータと、どのツールを、どのように使えば、ビジネスの中で価値を生むかについて、お客様の状況とニーズに合わせ一緒に検討していきます。人工知能(AI)のカスタマイズ、Webクローラの作成、データ分析基盤の構築、その他、社員研修、分析コンサルティングなど、お客様ごとに最適な支援を行います。特に、データマイニング・パターン抽出領域において豊富な経験・技術力を有しており、お客様のデータにあわせた、ビジネス活用を支援する人工知能(AI)のカスタマイズ開発に強みがあります。(DATUM STUDIO ホームページより引用)

 

▼DATUM STUDIO株式会社
https://t.co/NHqEaLmyc8

独自回帰モデルを用いた広告効果分析事例/株式会社DATUM STUDIO CAO 里洋平さん


同社で作った独自のアルゴリズム「DATUM Regression Model」を紹介。たとえば、いろんな広告施策を打つ中で、どの施策がどの程度の効果をもたらしたか知りたいことって多いですよね。マーケティング担当者はエクセルでCV(コンバージョン)の推移をみながら感 覚的に判断してきたけど、もっとデータドリブンに判断したい・・・。そんな時に活用でき るアルゴリズムです。

複数の原因と結果の因果関係を明らかにするとき、一般的には「重回帰モデル」が用いら れます。しかし、重回帰分析は、原因となる変数同士が独立(無相関)であることを仮定し ているため、似たような影響を与える要因が複数あると多重共線性という問題から、施策A のCVに与える影響がマイナスになる・・・という不思議なことが起きます。教科書的に は、そのような変数はモデルから外す必要があるのですが、それでは施策Aの効果がわから ない・・・。

複雑なモデリングをせずとも、その問題を解決するのが「DATUM Regression Model」。 通常の重回帰モデルと同等の精度を持って、変数間の影響力を比較することができるそうで す。同社ではこのモデルを活用して、広告効果シミュレーターも作成されているようです。

AIを活用した公開前コンテンツの文章構成、そのほか業務の合理化 /マネックス証券 執行役員 三根公博さん


証券会社は、法律や自主規制団体が定める制約で広告も勧誘もがんじがらめ。違反すると 厳しい制裁が待っています。同社は非対面で勝負しているネット証券であるため、Webサ イトやメールマガジンに設置するコンテンツの品質管理・規制遵守は生命線ともいえます。

これまではコンテンツの品質管理に多大な「人の目」で挑んできたそうですが、どんなに 工夫をしてもヒューマンエラーのリスクもある。そこで2016年からAIによるコンテンツ チェックができないかというプロジェクトがスタート。社内のすべてのコンテンツデータを 学習データに用いて、LSTMのモデルを構築。6ヶ月かけて、もう少しで実運用できる水準まで作りこまれているそうです。コンテンツをフォームに貼り付けると、同社の表現としておかしい表現を「確認を要する表現」であるとして赤字でアラートを出す仕組み。現在は閾値の調整や 予測の難しい表現群の対応を行なっているようです。

職人*AI*商売〜二次流通におけるプライシングの在り方 / 株式会社IDOM 光田奨さん


ガリバーで有名な同社では、職人芸である中古車の値づけにAIを活用した事例を 紹介。ガリバーはもともと「全国統一価格による流通革命」という想いで急成長。 各店舗は持ち込まれた中古車の情報を本部に送ると、熟練のプライシングチームが すぐに値づけを行うという体制です。同社では以前にも自動価格算出に取り組んで いたそうなのですが、ルールベースだったのでマスターのメンテナンスが対応仕切 れずにストップした歴史があるそうです。

精度は実運用可能な水準まで達したようですが、現在はAIによる査定結果をどの ように提示するかに知恵を絞っている段階。これまでは「プライシングチームのXX さんによる値づけだから」という安心感が商売のキモになっていたので、この部分 をいかに担保するかに注力されているそうです。

スマートフォン向けインターネット広告配信システムにおける配信最適化/株式会社Zucks 西林孝さん

ディスプレイ広告領域において、複数の広告主と複数の媒体社を束ねて広告を配
信するアドネットワークを提供する同社。媒体社には収益を、広告主にはコンバー
ジョンをもたらすことがミッションです。
広告枠と広告の組み合わせ、何千万パターンにも及ぶため全てを人がみることは 不可能。いつ・誰に・どの広告を・いくらで・表示するかを、媒体社の収益と広告 主のコンバージョンが最大になるようにするロジックの精度をさらに高めたい。そ の中で、「全体の最適化」としてではなく、クリック単価の調整・CVRの推定など 複数の課題に分けて取り組んでいると話します。検証の段階では、「広告運用チーム に協力をお願いする人間力も必要」とも。

ビッグデータを活用した映画興行データベース /日活株式会社 中村陽介さん


2016年の映画公開本数は1149本。そのうちヒットと呼ばれる興行収入10億円を超える映画は、たっ たの62本。二極化が激しいビジネスです。加えて、興行収入の実績は、上映以降の ビデオ・テレビ放映・配信の価格設定に強く影響するため、興行収入の推測を見誤ると収 支が大きく乖離してしまいます。

「作品の企画段階で興行収入の推測値が出せないか」という課題の中で、まずは 同社は映画興行データベースの設計からスタート。任意の検索条件に完全マッチ する作品を抽出する機能と、データ解析機能を持たせることで任意の作品に類似する条件の作品を20タイトルほど抽 出する興行シミュレーター機能を実装。例えば、俳優の名前を検索すると、その俳 優がどんなジャンルでどの程度の実績があるかわかるため、キャスティングにも活用しています。

IBM SPSS modelerへのRノード組み込みとその活用事例/日本航空株式会社 渋谷直正さん


同社のWEB販売部では5年前から分析ツールとしてIBM SPSS modelerを活用。BI・アクセス解析 ツールの発達で分析の底上げが進む中で、分析チームでもIBM SPSS modeler標準機能よ りも更に高度な分析に取り組みたいという流れに。しかし、IBM SPSS modelerがすっかり チームに定着し社内のプロジェクト管理に根付いた中で、新たに分析ツールとしてR(無償で高機能だが、コマンドラインのUIが使いにくい)を導入するには 負担が大きいと考え、IBM SPSS modelerにRノードを組み込むことで対応。

ただRのlibraryを組み込むだけではなく、今の分析チームの使い勝手や社内で日常 的に必要な集計・分析に合わせて、効率的に業務が回るように工夫。また、合わせ て詳細なマニュアルも作成することで、分析チームがElastic NetやPLSAといった高 度な分析に気軽にチャレンジできるようになったそうです。

編集後記

今回の、DATUM STUDIO Conferenceでよく聞いたワードがあります。それは「 KKD(勘・経験・度胸)」です。かつてのマーケティングでは、確実な予測は不可 能なため、「担当者の経験による勘をもとに度胸を持って判断」していた節があり ました。情報化社会と呼ばれるようになり、「ビッグデータ」というワードを頻繁 に耳にするようになった今、そんなKKDは変わりつつあります。数々のIoT機器など を通して集められた大容量データに基づき、人間が成し得なかった精密度の予測を可能にしています。

この技術はどのような業界にも使えます。今回のカンファレンスでも広告効果の予測などさまざまな分野での活用事例が紹介されました。

今後、人工知能技術と両輪を成すデータによって世界がどのように好転していくのか。期待に胸が膨らみます。

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