「議員の仕事が99% AIに取って代わられる!?」 政治の未来はどうなるのか。現職議員に聞いてきた。

AIは急速に社会に浸透しています。第1回人工知能EXPOが2017年6月に開催され、多くがビジネスとしてサービスの形になってきています。
特に自然言語処理技術を用いたチャットボットなどのサービスは、業務効率化のために注目されコールセンターへの導入が進みつつあります。

今後の経済を大きく動かしていくと予想されるこのAI。さて今回は「政治」にスポットライトを当てて考察してみます。
取材させていただいたのは新宿区議会議員の伊藤陽平さん。

伊藤陽平さん

1987年生まれ。立教大学経済学部経済政策学科卒業。妻と二人暮らし。趣味は音楽(3歳からピアノに没頭)。大学在学中に株式会社スモールクリエイターを設立した元学生起業家。資金調達やグループ会社など5社の設立を実施。NPOや一般社団法人等と連携しながら、大学生のキャリア支援や老人ホームで地域の若者とお年寄りを繋ぐ音楽イベントの企画・運営など、若者の感性を通して社会を豊かにしていくことを信条として活動中。

▼伊東陽平さん Webページはこちら
https://itoyohei.com/
 
伊藤さんは、最年少の新宿区議会議員として、日々新宿区政改革に取り組んでいらっしゃいます。また、ベンチャー企業の立ち上げなども経験され、ICTの政治への活用などについて積極的に発信され、今後の活躍が期待できる議員さんです。
 
伊藤さんは頻繁にブログを更新されています。特にICT分野に寄った内容となっており大変学びがあります。ぜひ、空き時間にご覧ください。
 
▼伊藤陽平さん 公式ブログ
https://itoyohei.com/?cat=9
 

新宿区議会で活発なAI議論

おざけん
今、政治はAIに対してどのような感じですか?例えば、新宿区ではどのような取り組みなどがあるのでしょうか?
伊藤さん 
基本的には研究中です。すぐに応用できる話ではないので、民間の成功事例をどのように政治に応用できるか、可能性があるものを検討している状態です。まだ業界の様子を見ています。私は、民間の事例を研究したり実証研究している企業を訪問したりしています。
おざけん
ということはかなり関心は高めということなのでしょうか?
伊藤さん 
ディープラーニング」という言葉は新宿区議会で出るようになってきます。ディープラーニングを使った施設に視察しにいったりもしていますね。川崎市は人工知能を活用したチャットボットサービスを検討したりしています。

川崎市の取り組みについては後述のURLを参照ください。

▼川崎市の試み「AI(人工知能)を活用した問合せ支援サービス実証実験について」
http://www.city.kawasaki.jp/170/page/0000086637.html

これは、超高齢化、少子化、税収入の減少などの課題をかかえる川崎市がモバイル端末を利用した問い合わせ支援サービスを実装し、職員の人件費を減らしたり、複数の分野にまたがる情報提供を実現するための試みです。

伊藤さん 
新宿区議会の中では、積極的に専門的なAIに関する言葉が使われています。また、区長もディープラーニングという言葉を使って答弁するなど、新宿区議会は理解が進んでいるところがあると思います。

しかし、今現在、人工知能は単なるツールの範疇を超えていないと考えています。人工知能が目的になるわけではなく、他の目的の手段の一つとしてAIをとらえることが大切です。

おざけん
今後、政治運営のコストも大きく下がりそうですね!
伊藤さん 
そうですね。コストが優位性が高いです。区役所の職員は平均給与が700万円と安くはありません。そのため、コストを下げる方法を考えないと住民のためじゃないですね。
おざけん
勉強会なども開催されたりするんですか?
伊藤さん 
スタートアップの社長の知り合いがいるので、ディープラーニングを使ったサービスの社長を議会にお招きしてデモを見たりしています。民進、公明などの会派の垣根を超えて、勉強して受け入れています。否定する人はいないですね。
おざけん
やはり新宿の企業の方が多いのでしょうか?
伊藤さん 
新宿は民間企業が多いんですよね。さくらインターネットさんとか。視察だとか企業とのコネクションを新宿は作りやすいので、それは大きいですね!

議員の仕事はAIに取って代わられるか

最近ではNHKで放映された『NHKスペシャル』で「AI政治家」というワードが使われてました。今後この議員の仕事はAIによってどのように変化していくのでしょうか。

▼『NHKスペシャル 人工知能 天使か悪魔か 2017』 2017年6月25日(日) 放送
http://www6.nhk.or.jp/special/detail/?aid=20170625

伊藤さん 
私は、AIに議員の仕事が代替されるというよりも、あくまでコンピュータに代替されると思っています。まずはAIだけにとらわれずICT化をしていくことが大前提です。
そのICT化が進む中で、今後たまたまディープラーニングなど今言われているAIが使われているということが増えてくるのではないかと思います。自然にICT化をすればAIに代替される。そういう状況になってくると思っています。

確かに単にAIに代替されるというより、私達の生活の様々なところでICTが業務を効率化していく。そのICTの中において今後AIが地位をより高いものにしていけば、自然に私達の生活にAIが使われて行くということになりますね。

ICT化という大前提のもと、その中にAIがあるという考え方は大事かもしれません。

伊藤さん 
突き詰めると議員の仕事は、そこに住んでいる方の意見を集約していくことが大部分を占めています。そして、それは基本的にインターネットで完結できます。そのため、インターネットで民衆型政治をするという取り組みをしていました。この可能性が大きいと思っています。特に自治体は人数が多くない。民衆の意見が直接政治に反映するほうがよいのではないかと考えました。
おざけん
スマートフォンがあれば仕事が完結してしまいそうですね!
伊藤さん 
インターネットで集めた意見を議会で質問したり議論していますが、その仕事はほとんどがスマートフォンで完結しています。Facebookで区民相談していただけます。

普通は事務所を構える場合もありますが、スマートフォンがあると事務所はいりません。電話もいりません。スマートフォンが唯一のツールでも困りません。

おざけん
ペーパーレス化も進んでいるんですか?
伊藤さん 
紙を減らすことも進めています。データをコンピュータがよみとって、コンピュータが分析するのはディープラーニングで実現しているので、この精度が上がれば、自動的にある程度できます。意思決定だけ専門性がある人物が入れば、ほとんどの仕事はコンピュータでできます。議員のほとんどの仕事はいらないと思っています。
おざけん
なるほど。今、AIの導入において懸念点などはありますか?
伊藤さん 
精度の問題です。「使えるのか?使えないのか?」という判断にまだ至っていません。ただ部分的な導入はどんどん進んでいくと考えています。

国会の答弁に関しても人工知能で下書きを作ることが発表されています。
答弁というのはこれまでの議論の経緯から決まることから、人工知能で対応することで効率化が見込めます。

行政マンは、その場で意見を述べるわけではなく過去のデータなどを参考に述べることが多数あります。そのため、ある程度のレコメンドができるシステムを作れ、下書きを作れるんです。

民間、議員側はもともと答えは決まっていません。そうなると過去の蓄積を使えないので、そこのバランスが今後どうなっていくかですね。

編集後記

今回は、新宿区議会委員の伊藤さんにお話をうかがいました。取材を快諾いただきました。ありがとうございます。

やはり、技術が浸透するにあたって政治的な要素も重要になってきます。今後もAIを取り巻く、政治の動向に注目していこうと思っています。

今回のお話で印象的だった点は2つ
「新宿区議会ではディープラーニングなどのワードが飛び交っている(本格的な議論がある)」ことと
「あくまでAIはICT化における手段の一つととらえられている」というところです。
特に後者にあたっては、ICT化という大きな枠組みの中で、IoTやビッグデータ、AIなど代表的な昨今の技術革新が活きてくるのだと思います。

AINOWも ICT化の中のAIという側面に注意しながら今後もAIがどのように私達の生活に溶け込んでいくのかをみなさんにお伝えできればと思っています。

確かに、まだ今いわれるAIは汎用的な「強いAI」ではなく、特定の業務に特化した「弱いAI」です。時間などの制約をなしに稼働できますが、あくまでもいくつかのツールの選択肢の中の一つとしかいえません。政治に関する業務すべてをAIが代替するというフェーズではなく、まだ手段のひとつとして捉えて有効活用することが肝心です。

おざけん
人工知能・AI専門メディア AINOWディレクター ┃ 趣味はカメラ撮影。 ┃ Twitterでも発信しています。@ozaken_AI ┃ AINOWのTwitterもぜひ@Ainow_ai┃ 出演: 日経CNBC「日経カレッジ・ラボ」日本テレビ 「ZIP!」など AI脅威論に反対。AIが人間と共存していく未来を作りたい。そのために発信を続けます。

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