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2017.08.09

ベトナムのAI開発ラボで優秀な技術者を獲得!99.2%の文字認識技術を誇るAI開発企業「Cinnamon」

最終更新日:

こんにちは、亀田です。
機械学習やディープラーニングなどの人工知能により、ホワイトカラーの無駄な作業を削減するプロダクトを開発したり、コンサルティング開発を提供している「Cinnamon」を紹介したい。

人工知能に関するプロダクトを作るという企業は増えてきたが、得意技術やレベル
感はホームページからわからないものだ。AINOWではAIサービス紹介だけでなく、人工知能を活用した受託開発をしている企業の中でも、特にオススメをしたい企業を中心に取り上げて行く。
今回は、Cinamonの高い技術力とベトナムAI部隊、様々な業務支援サービスの裏側を社長の平野氏に伺った。

・プロフィール
平野未来 / Miku Hirano

CEO シリアル・アントレプレナー。東京大学大学院修了。レコメンデーションエンジン、複雑ネットワーク、クラスタリング等の研究に従事。2005年、2006年にはIPA未踏ソフトウェア創造事業に2度採択された。在学中にネイキッドテクノロジーを創業。iOS/Android/ガラケーでアプリを開発できるミドルウェアを開発・運営。2011年に同社をmixiに売却。
2012年にCinnamon(シナモン)をシンガポールに創業。

起業に至った背景

この先、労働人口が減少する日本において人のコスト削減は難しい問題である。さらに、働き方改革が一般化している中、業務を自動化してくれるサービスに需要が集まることは明らかである。そこで自らの強みである人工知能を開発するスキルを活かした事業を展開することを考えたそうだ。

平野氏は東京大学大学院在学中、社会や自然界の事象を「情報の動き」として表現し、その特徴を探るコンピュータ・サイエンスを専攻していたそう。当時からデータの活用には興味を持っており、1社目のネイキッド時代はレコメンドやデータ分析業務をしていたが需要は少なかったそうだ。当時の事を思い返して平野氏は「人工知能によるデータ分析を用いたサービスは早すぎました。」と笑いながら話してくれた。

人で解決することが難しい問題にも関わらず、イノベーションが必要なのに誰も手を付けていない、そこで、自らのコンピュータ・サイエンスに対する知見と人間がやるには面倒な事をなくしたい思いから「Flax Scanner」を思いついたそうだ。
現在は、システム上のデータに合わせて人間が動いているが、逆にして、人間にシステムが合わせていく世界を実現したいと述べられた。

高い認識率を誇るFlax Scannerとは?

Flax Scannerは、申請書、ドキュメントやEメールから情報を正確に抜き出し、データベースに自動で入力していくことができるシステムだ。社内で使用するような構造化されていないドキュメントやEメールの情報を意味理解し、構造化した上で整理し、管理システムに自動で入力するそう。日本語の手書き書類にも精度約99.2%で対応し、BPO(Business Process Outsourcing)と組み合わせることも可能だそうだ。

また、Flax Scannerには用途に応じて種類が3つに分かれており、3つの用途は以下の通り。

  • ビジネス文書などの非構造的な文書から意味合いを理解する (Flax Scanner)
  • 日本語の手書き文書も約99.2%の精度で認識 (Flax Scanner Tageki)
  • データ入力などのBPOもまとめて一括して対応 (Flax Scanner BPO)

Flax Scannerはどのような場所で活用されているか?

導入事例としては、企業内の以下のようなシーンを想定してコアエンジンを開発したそうだ。

  • データの入力作業が必要になる不動産の物件情報入力、窓口等での申請書管理の自動化
  • 法務部ならば、契約書の重要箇所を抽出し要約
  • 営業マンの顧客へのメールから営業進捗部分を要約することで、進捗会議以外でも常に営業チームの進捗状況を把握

現在は、保険・銀行・人材・不動産・運送会社での書類読み込み依頼が多いとの事。このように日本には書類を用いた業務が数多く存在しており、電子化はまだ進んでいないが活用の範囲はさらに広がっていくと考えられる。
当初、平野氏は「IT系で需要があるかと思っていたが、トラディショナルな業界での需要が多く驚いた」そうだ。

手書き申込書の自動読み込み

契約書の自動分類&重要箇所指定

請求書の読み込み

Flax scannerの仕組み

文章の解析には、主にCNNとRNNを組み合わせて利用しているそう、1番精度が出た分析では99.2%の一致率になったそうだ。アルゴリズムだけでこれだけの精度を出すことはやはり難しい、そこで最終的には辞書で補正して分類をしていくとの事。実はこの補正する部分に長年培ってきた技術力のヒミツがあるという。

また、ディープラーニングを用いる際、計算速度を上げるためにGPUを使用するが、高解像度の画像を用いず縮小することで省電力化する工夫もしているらしい。
その為、導入企業によってデータは異なるので、個社カスタマイズは必要になるが、コアエンジンに大きな変更を加える必要なく活用できるとのことだ。AI事業に方針転換して1年になるが、過去の経験が大きく役立っており、時代が追いついてきたと感じるそう。

ハノイの人工知能ラボで、優秀なAI開発人材を雇用

現地のハノイ工科大学などから、トップ成績の理数系に強い学生を中心に採用を進めているそうだ。現在は20名の人工知能エンジニアをCTOの堀田氏が指揮をしているそう、堀田氏が日本とのブリッジを務めて、学生にはWebのプログラミングを行わせず、機械学習・深層学習のアルゴリズムを任せているとの事。
日本では人工知能エンジニアを採用することは非常に難しいが、数理系に強い学生を日本より安価に採用して、彼らの得意分野を任せる手法で運用をしていることで開発体制を築いている点も大変興味深かった。また、採用をするだけではなく、人工知能エンジニア育成にも力を入れているそうで、半年で一人前の人工知能AIエンジニアになれるようAI養成プログラムも展開しているそうだ。
また、今年の春に行ったイベント写真からもベトナムの開発組織の意気込みを感じることができた。

今後の事業展開

最後に、今後の事業方針について伺った。
現在展開しているFlax Scannerを用いたプロダクト開発に7割、残り3割をコンサル事業にリソース配分していく方針とのことだ。

大企業を相手にプロダクト導入を提案するビジネスモデルだが、比較的リードタイムが短く、テスト導入からスピード感を持って取り組めている。今後は各SIerと組んで事業展開し、エンドクライアントへのリーチを拡大していくことを視野に入れている。

また、AIコンサルでは売上を上げるよりも、企業のニーズを探るリサーチとして活用していきたいと平野氏は言う。プロダクトを展開しつつも、常に現場のニーズを拾い上げてカタチにする柔軟性を兼ね備えた手腕に今後も期待していきたい。

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