【CEDEC 2017】 [前編] ルイージ要素で感情を揺さぶるメタAIの仕組みとは? -SQUARE ENIX 人工知能(メタAI)を用いたゲームデザインの変革-

先週末から開催されていた、ゲーム開発者の為のカンファレンス CEDEC 2017で主にゲームAIの取材してきたので、最新事例をお伝えしたい。
会場は入場開始と同時に満員となってしまい、人気の高さが伺えた。

AINOWでは、「FINAL FANTASY XV」におけるメタAIに関する記事を紹介したが、本公演では、メタAIの活用方法と実装までをスクウェア・エニックスの水野氏、三宅氏に紹介して頂いた。よりユーザを楽しませるゲーム開発にメタAIを使うだけではなく、開発コストの削減にもメタAIを利用することで効率化が図れるとのことだったので、概要を紹介したいと思う。

「FINAL FANTASY XV」の自由に動けるオープンワールドはAIのおかげ ~リアルでのメタAI活用がAI発展の鍵に!?~

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2017.07.12

メインスピーカーとして登壇されたのは、スクウェア・エニックス テクノロジー推進部、
AIテクニカルゲームデザイナーの水野氏だ。過去、ステルスゲームのプログラマーやスマホゲームのディレクターを経て、現在はメタAIの研究に従事されているそう。また、AIテクニカルゲームデザイナーという職種はスクウェア・エニックスの中でも1/4,000人だそう。
まずは、CEDECではお馴染みの顔となった三宅氏よりメタAIの仕組みについて解説が行われた。

あのゲームの仕組みも実はメタAIが使われている!

最近のゲームはグラフィカルも綺麗だが、敵AIが賢くなった、遊びやすくなったと感じたことがあるのではないだろうか?
まさにこのような体験の裏では、キャラクターAIとナビゲーションAIに対して、メタAIが管理しているために実現できているという。メタAIは全体を管理する現場監督というわけだ。

このように考えると、メタAIは最近登場してきたように感じるが、実は30年も昔から古典的メタAIは存在していたそうだ。いわゆるルールベースによるプログラムしたAIのことを指しているそう。その後、自ら意思を持ったように振る舞うキャラクターAI技術が発展し様々な情報を得られるようになったことから現在のメタAI登場に至るそうだ。

メタAIの歴史

現代のメタAIはゲーム内の様々な情報にアクセスして、ゲーム内をコントロールしている。判断結果は各パートのAIに指示として伝えられてキャラクターの運動行動だったり、ステージの変化といったユーザのプレイ環境に影響する部分に効果を及ぼすそうだ。
現在メタAIが行っている行為は以下の4つになるそう、これらの調整をメタAIが行ってくれることでゲーム開発のコストが下がり、よりユーザを楽しませるゲームが作りやすくなったと三宅氏は言う。

いくつかの事例が紹介されたが、ここでは、Left 4 Deadの事例を紹介したい。
メタAIが影響を与えるユーザリラックス度に応じた敵出現頻度の調整事例は裏でこのようなデータ取得と判断が行われていたという。プログラムだけでもif文を書けば実装できそうであるが、すべての場所で実装するにはコストがかかる。1つアルゴリズムを作ってしまえば、状況に応じてメタAIが敵出現頻度を調整してくれるので、よりリアルな体験をユーザに与えることに成功したという。

このようにメタAIは、これからのゲームで重要な役割を担うという。
特にオープンワールドで自由に活動できるゲームが好まれていくようになるとマップ、敵キャラ、シナリオも自動生成されるようになってくる。そして、自動生成のタイミングを調整する為にメタAIが必要となるという。

メタAIとキャラクターAIの扱う空間と時間の違い

さらに従来のキャラクターAIとメタAIで扱う空間情報と時間情報の違いが解説された。
空間軸で情報を広く扱えることでキャラクターの身体を超えた範囲にアプローチすることができ、さらに時間軸では、その場のキャラクラー行動だけでなく、プレイ全体を捉えたアプローチができることがメタAIの特徴だという。

空間的な認識が可能になると具体的には以下のようなゲーム作りが可能になるそうだ。
プレイヤーの行動を空間的に把握して、敵の出現場所や数も調整することができるので、ユーザが目指すゴールデンパス上で臨場感のある演出が可能になるとのこと。

また、時間的な認識を扱うことで、先程のプレイヤー行動に応じた敵出現も出現場所だけでなく、過去の戦闘からどのくらい時間を経過しているのか把握して、より臨場感を出すことが可能になるそうだ。

ルイージ要素を用いた感情を揺さぶる仕組み

前半では、メタAIの基本的な仕組みと事例が解説された。
具体的にメタAIはどうやって設計していけばよいのか、後半のパートをご紹介したい。

ここのまでの流れを整理すると、メタAIはゲームバランスを調整するゲーム内の神様的な存在になるそうだ。さらに、このゲームバランスの定義については、ルイージ要素という、感情を揺さぶる体験を作ることでゲームの面白さを調整することができると解説がなされた。

このルイージ要素とは、インタラクション・ルール・ジレンマという3つの要素から成り立っているそう。これらの要素をユーザに与えることでユーザは感情が揺さぶられてゲームにやりごたえや面白さを感じるそうだ。

ルイージ要素のうち各要素は人間の感情と対比しており、それぞれの要素によって提供するゲーム機能が変わってくるそう。具体的に各要素を見ていく。

ルールによる感情の揺さぶり

まずは、ルールから見ていく。
ルールが作用する要素は、「恐怖」というマイナス要素に対して「喜び」を与えることだという。ゲーム内のアクションだと無敵化アイテムを与えて、敵の出現タイミングを調整することでこの感情の揺さぶりを起こせるそうだ。

インタラクションによる感情の揺さぶり

インタラクションによる感情の揺さぶりは「安らぎ」に対して「緊張」という感情を与えることだという。ダンジョンにて、落ちてしまったらゲームオーバーになるような、細い棒を渡らなければならないポイントに導く為、敵を配置してアクションを起こさせる。このようにして「緊張」状態を作っているそうだ。

ジレンマによる感情の揺さぶり

最後はジレンマによる感情の揺さぶり、「倦怠」に対して「関心」を与えることだという。
ゲームでは堅実なプレイヤーもいるがより、大胆にリスクを取らせて、レアなアイテムを得る機会を作ったりさせるそうだ。

いかがだっただろうか?
ここまではメタAIの歴史や活用方法、実際にどのように作用しているのか解説が行われた。最後のパートでは、さらに、メタAIがどういう仕組みで成り立っているのか具体的な設計内容が話された。こちらは、後編記事として紹介していきたいと思う。

後半の記事はこちら

【CEDEC 2017】 [後編] ルイージ要素で感情を揺さぶるメタAIの仕組みとは? -SQUARE ENIX 人工知能(メタAI)を用いたゲームデザインの変革-

2017.09.11

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