【CEDEC 2017】 [後編] ルイージ要素で感情を揺さぶるメタAIの仕組みとは? -SQUARE ENIX 人工知能(メタAI)を用いたゲームデザインの変革-

後半の記事ではメタAIの設計方法を詳しく解説していきたいと思う。
メタAIとはどんなAIで、ゲーム内でどのように活用されているのか知りたい方は、前半の記事を参考にして頂きたい。

【CEDEC 2017】 [前編] ルイージ要素で感情を揺さぶるメタAIの仕組みとは? -SQUARE ENIX 人工知能(メタAI)を用いたゲームデザインの変革-

2017.09.06

※ 過去掲載記事
「FINAL FANTASY XV」の自由に動けるオープンワールドはAIのおかげ ~リアルでのメタAI活用がAI発展の鍵に!?~

「FINAL FANTASY XV」の自由に動けるオープンワールドはAIのおかげ ~リアルでのメタAI活用がAI発展の鍵に!?~

2017.07.12

メタAIが解決すべき課題の再整理

メタAIの設計にあたり、再度メタAIが解決するゲーム内での課題について整理が行われた。
現在、主流となっているオープンワールドで自由な冒険をプレイヤーに体験させたい場合、プレイヤーの行動に応じて適切な敵、イベントを配置すべきであり、ルールベースのプログラミングでは解決に時間を要してしまう。そこで、メタAIが世界を認識してバランス調整しているとのことだ。

世界を認識できるメタAIの設計はコレだ!

これからのゲーム開発に不可欠なメタAIの設計はこのようになっているそうだ。
メタAIは「World Analyzer」 「Game Maker」「World Effector」の3つから構成されており、それぞれ枠割が異なっているそう。このメタAIはゲーム世界を通してプレイヤーの状態を把握して、ゲーム世界に配備されたAI Layerに指示を出すそうだ。

似たような動きをするキャラクターAIとメタAIの内部構造

ここからは、メタAI内部の仕組みについて具体的に解説が行われた。
まずは、メタAIの設計を理解するにあたり、キャラクターAIの設計を再確認した。大きな仕組みは、キャラクターAI・メタAIも似ていることは図から理解できる。大きく異なっているのは、前半のパートで説明があった、自己という点の情報で捉えるキャラクターAIと他者も考慮し、空間的な情報を捉えるメタAIに違いになると水野氏は説明した。


キャラクターAIの内部構造

キャラクターAIの場合、センサーから得られた短時間・局所的な情報を記憶して認識の形成を行う、そこから意思決定の選択が行われ、身体を使った運動行動へ指示がいくそうだ。まさに人間の身体と脳の仕組みに近いことがわかると思う。

ゲーム内の行動で考えてみると大変わかりやすい、「敵がいる」= 剣を持つという認識の形成、「敵を倒す」= 剣で攻撃するという意思をする、「攻撃する」= 行動という運動を行う。ゲームの中で何気なく動いているキャラクターもすべてこのような認識→意思決定→運動という情報の流れをキャラクターAIが自らの身体を制御しているとのことだ。

メタAIの内部構造

キャラクターAIとは対象的に、メタAIは長い時間幅・大局的にゲーム世界から情報をセンサーで収集する。その後の判断はキャラクターAIと同じように認識・意思決定・行動という流れでエフェクターを通してゲーム世界に指示が出される。この際にAI Layerに作用する部分に特徴があるそうだ。

フィールドの情報からプレイヤーの状態を「World Analyzer」が把握して油断していると判断、次にゲームを盛り上げる為に 「Game Maker」が急襲バトルイベントを発生させる指示を決定、最後に「World Effector」が各種AIに対して行動命令を出すような流れになるそう。

ゲーム世界における情報収集をする仕組み

ここからは、メタAIの特徴でもあるゲーム世界で行っているAIレイヤーと呼ばれる部分の説明がなされた。AIレイヤーには、KR(知識表現)とInteraction Space(作用空間)と呼ばれる仕組みがあるそうだ。

KR(知識表現)とは?

このKRとは、知識を人工知能が扱いやすいデータ形式に表現したモノのことだそうだ、ゲーム内では情報が豊富で加工も直ぐにできそうだが、3D環境の情報が複雑すぎて解析することが困難なのだそう、そのためKRを用いてデータをわかりやすくしているそうだ。

また、プレイヤーの情報もKRの一部になるそう。プレイヤーが今どんな状態なのかメタAIが状況把握するためにKRが情報を収集している。例えば、プレイヤーの感情を脳波やアイトラッキングなどの物理装置で取得することもできるだろうし、SNSシェア機能が豊富な現在のゲーム機ならば、書き込みや個人の趣味趣向まで理解できるだろうとのことだ。

KRの解説として、最後にKRの具体的の説明がなされた。
ゲーム世界の各内容に対して、KRが分類されるそう、3Dマップならば、ナビゲーション・データとしてデータを取得、これによって移動範囲や経路の情報を理解できるといったようになるそうだ。

Interaction Spaceとは?

ゲーム世界のまとめとして、メタAIに状況を理解できる情報を渡すのがKR、メタAIからの指示を受け取るのがInteraction Spaceということになる。この2つがAIレイヤーとしてキャラクターAI、モンスターAIなどに指示を出して、プレイヤーはより臨場感のあるプレイができるということになると水野氏は述べた。

そして、Interaction Spaceとは、作用する空間の事を指しており、「World Effector」からの最終決定を受け取る場所になるそうだ。
このInteraction Spaceが広いとメタAIが作用する部分が大きくなるということでFINAL FANTASY XV などのオープンワールドゲームはかなりの広さで活用されていることになる。

メタAIがゲーム世界に指示を出す意思決定のやり方とは?

遂にメタAIの意思決定部分の説明に入る。
まず、KRからの情報を基にセンサーを通して「World Analyzer」で分析と蓄積が行われる、様々KRから得られた情報を基に、対応したデータに応じた分析が行われるそうだ。

『TOTAL WAR: SHOGUN 2』にて、「World Analyzer」の分析で、敵部隊のターゲット候補(誰を攻撃するか)と行動候補(どこへ移動するか)を抽出した例になる。

次に「Game Maker」は、「World Analyzer」で解析した結果情報に対して、今すべき意思を決定する。例えば、プレイヤーがピンチな状況であれば、敵や見方の配置情報を基に敵の出現数を調整して、回復アイテムをドロップさせるなどの指示を選択する。

『TOTAL WAR: SHOGUN 2』にて、「World Analyzer」で解析した結果情報を基に「Game Maker」のプラン決定した例になる。

最後に「World Effector」では、「Game Maker」のプランを分解して、Interaction Spaceに指示を出すそうで、その情報がキャラクターAIに伝わって行動が導かれることになる。

ビジネス戦略にも作用するメタAIが起こすゲームデザイン変革

最後のパートでは、ゲーム開発者に向けてメタAIを活用することのメリットや課題を解説なされた。メタAIを用いることで、すべてプログラミングする必要なく、オープンワールドに対応したゲームが開発でき、工数がかなり削減できるという。

しかし、万能に見えるメタAIにも課題は存在するという。例えば、バランス調整に関して言えば、難しすぎても、フィットしすぎてもダメで何を基準にすればいいか課題としては残るそう。
この緩急はドラマのような展開が理想だという。戦闘中の起承転結、会話の中の起承転結が実現できればゲームバランスはより豊かになると述べた。

このようにメタAIは現在Ver.1.0だが、課題解決とゲームへの応用次第でどんどん進化していくと水野氏は話す。今後は、各社のメタAIが登場してメーカー毎に差別化が起こることも考えられる、メタAIがゲームデザインを変えていく未来は近いと締めた。

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