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吉田祐輔
京都大学工学部を卒業後、モルガン・スタンレー証券に入社し株式アナリストとして勤務。PRエージェンシーのフライシュマン・ヒラード・ジャパンを経て、旅行系スタートアップのトリッピースにてバックオフィス全般、資金調達、カスタマーサポート、内部のオペレーション構築などに従事。2016年6月にウォンテッドリーにコーポレートチームの一員として入社。執行役員 経営企画担当を経て、2017年11月に取締役CFOに就任。
自社の理念にそって、産業と雇用を生み出していく
世界的に伸びを見せるAIスタートアップへの投資だが、新たなプレイヤーが参入した。Wantedlyだ。
WANTEDLY AWARDS 2017の仲 暁子代表の基調講演で発表され一部では話題となっていたが、WantedlyはAIやロボティクス分野で技術開発・事業を行う企業に出資する「Wantedly AI/Robot Fund」を開始する。
責任者の吉田さんに投資の狙いを聞いた。
キャピタルゲインをメインで狙っているわけではありません。一定のリターンは狙ってますが、それありきではなく新しい技術領域/産業を育てていきたい。雇用や潜在的顧客の育成にもつながり、長期の技術投資とも言えます。
きっかけはWantedlyのミッションの影響が大きいそうだ。
当社は、『シゴトでココロオドル人をふやす』をミッションにサービスを展開してきましたが、最先端技術を駆使するスタートアップを支援することは、『ココロオドルシゴト』を増やすことにつながり、理念に沿った取り組みであると考えています。
VCやアクセラレーターが多数出てきている中、Wantedly AI/Robot Fundの強みは何なのだろう。
数百億規模のファンドと比べれば、資金的には強みにならないですが、代表の仲をはじめエンジニア主体でゼロからWantedlyを作ってきたメンバーからサービスをグロースさせる上でのアドバイスができると思っています。
当社も、サービスを立ち上げ当初など苦労を経験してきた中で、川田さんや木村さんなど起業・経営の経験者から実体験を元にしたアドバイスが当社の経営の助けになりました。これまでの企業経営で培ってきたものを、新たに生まれてくるスタートアップに還元していき、出資先には代表の仲も入ってメンタリングを行いたいと考えています。
また、スタートアップは採用に苦労しているところも多いので、Wantedlyを割引で使っていただくなど、弊社のツールを利用していただくことで採用のサポートができればと思っています。
重視しているテーマも語ってくれた。
推薦、画像、自然言語の認識などは、当社で展開しているサービスとの連携も考えられるので、興味がありますね。ただそれにこだわりすぎず、やっていくつもりです。
Wantedlyの代表的サービスは大きく3つ、運命のチームやシゴトと出会える Wantedly Visit、
名刺管理アプリ Wantedly People、
ビジネスチャット Wantedly Chatがある。
自社でも名刺管理アプリWantedly People で機械学習に取り組んでいると聞くが、本体との連携はあるのだろうか。
自社が持つ機械学習をはじめとした技術と、最先端をの技術を駆使しているスタートアップと協働すればオープンイノベーションとなるような取り組みができると思っています。弊社にはグロースが得意なエンジニアが多いので、研究開発などの取り組みを他のスタートアップと共同でやっていきたいですね。
資金やメンタリングだけでなく、技術やデータ面でも期待できそうな取り組みと言えそうだ。
Wantedly AI/Robot Fund 開始の経緯
Wantedly AI/Robot Fund が決まるまでの流れを聞いた。
はじめは、「AIやロボティクスの分野に対して、Wantedlyとして何かやっていきたい」「大学で研究している方も含む、シード段階の企業の方が技術的な広がりがあるのではないか」といった話をしていました。
なぜ吉田さんなのだろう。
もともと証券会社で働いていたこともあり、投資業務の適性はあるかなと。スタートアップ的には「何でも屋」で得意分野は「仕組みに落として進めていく」ことです。
前職の際に、エンジニアとのコミュニュケーションを深めたいという思いから、テックアカデミーでプログラミング(Ruby on Rails)を学んだことがありました。テクノロジーへの抵抗感も無かったことから、自然と自分が担当することになりました。
特徴を吉田さん流に表現してもらった。
自社経済圏の拡張とか囲い込みと言うより、フラットで緩いファンドだと思ってます。ガチガチに決めて進むというより、あえて緩みを持たしているところはありますね。
Wantedly AI/Robot Fund はWebスタートアップらしくMVP(実用最小限の製品: minimum viable product)ライクで柔軟なのが強みに見えた。
熱いパッションのある人と会いたい
反響はどうだったのだろう。
プレスリリースを出した際にメディアにも取り上げていただいたこともあり、予想以上に反響がありました。すでにお問い合わせをいただいたスタートアップの方と、面談をさせていただいている状況です。
今後を聞いた。
ミッションに向かって進んでいくのが好きなメンバーが多いのがWantedly。熱いパッションのある人と会いたいと思っています。
AIスタートアップを支援する動きに期待だ。
編集後記
取材担当進藤
スタートアップタイムズでも起業家のPR支援として取材を行っていますのでお気軽にお問い合わせください。