トレタが挑む飲食店経営改革 -属人化からの解放-

2018.3.1 取材・編集:おざけん@ozaken_AI

日本の外食産業は、全体で見るとその推移は維持か減少です。産業として爆発的に伸びているわけではありません。

しかし、業界内でトップを占める飲食チェーンは成長傾向にあリます。

なぜでしょうか?

その原因は「プラットフォーム」にあります。

大手飲食チェーンは、独自のプラットフォームを構築し、効率化に効率化を重ねて業務改善に取り組む力があります。
しかし、独自のプラットフォームをもたない、いわゆる個人経営の居酒屋などはうまく業務効率化ができず、属人的になってしまいます。

そこに大きな課題があります。

10,000店舗以上の店舗に導入 「トレタ」

トレタは2013年に設立されました。

社長の中村さんは元飲食店経営者でもあり2010年には外食アワードを獲得しているスペシャリスト。その経験から彼が感じていた課題は「飲食業界は未だに多くの店舗が手作業で紙での予約管理をしていること」。これをタブレットを使ってクラウド上で一元管理することで、手作業にかかる時間を圧倒的に削減し、記入ミスも減少することで業務効率化が図れると考えてそうです。

「トレタ」は今では予約・顧客台帳サービスでシェアNo.1を誇り(株式会社シードプランニング調べ)、10,000以上の飲食店経営を支えています。

トレタの利用店舗数の推移

今回取材させていただいたのは、そのトレタ内に2018年1月に新たに設立された「データサイエンス研究所」の所長の萩原さんです。

萩原 静厳
トレタデータサイエンス研究所 所長/トレタデータソリューション部 部長
2005年東京工業大学大学院修士課程修了。2005年株式会社リクルート(現株式会社リクルートホールディングス)に入社後、旅行・ブライダル・教育領域におけるビッグデータ活用を推進。分社化後、2014年より株式会社リクルートマーケティングパートナーズにてビッグデータエバンジェリストを務める。2018年より(株)トレタに入社。株式会社FUTUREWOODS取締役/CAO(Chief Analytics Officer)。

飲食店向けにプラットフォームを構築することで、大規模の予約データや飲食店の購買データなど、飲食領域において最大クラスのビッグデータを蓄積している「トレタ」。その活用を見据えて設立されたのがデータサイエンス研究所です。

萩原さんの入社後、データサイエンス研究所が設立されました。

ーーなぜトレタに入社しようと思ったのでしょうか?

萩原さん「理由はそのデータの質と量です。1万店舗以上に利用されていて、年間に約4000万件の予約を取り扱っているのが「トレタ」です。

かぶっている人もいるとして、約2000万人くらいの顧客情報を間接的に所有しています。リアルに紐付いた大量のデータがあるのはここだけだと思いました。

なおかつトレタは大きく成長している企業です。私が活躍できる機会があると思い、入社を決意しました。」

ーーデータサイエンス研究所が設立されたきっかけは?

萩原さん「経営陣に『これまでに蓄積されたデータを、飲食の世界をより良い方へ変えていくために活用したい』という想いがありました。

私がジョインした時にはデータサイエンティストは3人でしたが、現在の研究所のメンバーは、会社としての業務も兼務しています。研究所としてデータ扱うときに、データがどのようにアウトプットされるかまでを見据える必要があると考えているからです。

今となっては、ありがたいことに十数社が共同研究などに興味があると言ってくれています。大学の研究室なども多いです。

大学の研究室はモデリングは得意ですが、業界やデータと業界との関連性の知識を有していません。アカデミアは、よいアルゴリズムなどを所有していても、リアルデータを扱うことが難しいため、実地のリアルデータを欲しがっています。我々との相性はいいと考えています。」

自社でデータサイエンス研究所を作ると産学連携でうまくできそうですね。産学連携を成功させるには、民間側にどれくらいイニシアティブをとれる人員がいるのかが大事です。自社の中で研究を先導できるように研究所を設立するのは、賢い選択かもしれません。

ーー今の日本の飲食業界が抱える課題は何なのでしょうか

萩原さん「効率化が進んでおらず、生産性が圧倒的に低いことだと考えています。

外食産業の規模の推移は、維持するか下がるかです。しかし、トップ数十社は伸びていて、下がっているのは小規模の会社です。

プラットフォームを1から作るとなるとお金がかかってしまいます。しかもプラットフォームは、ある特定のポイントを超えないとうまくいきません。

うまくいっている大規模なチェーンはプラットフォームを作って効率化していますが、小規模の店舗ではコスト的に難しいのが現状です。そういうった現状をテクノロジーの力で改善することで煩雑な業務を効率化でき、おもてなしを強化していけるようにしていきたいと考えています。
飲食業界は慢性的に人手不足なのですが、これは店舗運営が属人化しているということにも紐づきます。
属人化をなくし、データトリブンで店舗運営をしていくことが人手不足の解消にも繋がると考えているため、ビッグデータ活用には大きな可能性があると考えているんです。
作業が効率化し、人手不足が解消していけば、おもてなしに注力することができます。テクノロジーにできることはテクノロジーに任せ、人は人にしかできないクリエーティビティを発揮できる環境を作り出していくことが、各店舗の魅力を磨いていくことにも繋がっていくと思います。」

ーー研究所のメンバーはどんな人ですか?

萩原さん「まず、副所長はトレタのCDO(Chief Design Officer)が務めています。データを扱うだけでなく、店舗運営自体が最適化され、オペレーションが変わるような人間中心設計が必要だと考えているからです。

ビッグデータを活用でレコメンデーションはうまくいきます。しかし、「トレタ」には、オペレーションとかリアル店舗を変えていくという目的があるので、人間中心設計までやっています。

人間中心設計を深めるにはデザイン志向がなければなりません。そこでCDOが副所長を担っています。データとデザインの二軸が大事なんです

私自身もUX設計の経験があります。UXのデザインをしっかりして人間中心設計をすることで、顧客がより使いやすくなりデータが溜まりやすくなるという好循環もあります。

さらには事務的な作業にかける時間を削減して、おもてなしする時間を増やすためにデータサイエンスをしていきたいです。おもてなしが強化されば、そのお店の個性がわかってきます。」

ーー実際に飲食店のどんなデータが取れているのでしょうか?

萩原さん「顧客の情報としては電話番号とメールアドレスを取得しています。Web予約はまだ10%くらいしか利用されていません。電話番号が重要なデータになっています。

また、席データや予約管理、時間管理、何回目の来店なのか、前回の来店状況などもわかります。」

ーーどんな分析をしているのでしょうか?

萩原さん「1つ目は需要予測です。予約数から来店数の予測ができるので、需要が予測できます。
大手のホテルにはレベニューマネージャーという職業があり、周辺のホテルの宿泊料やイベントの開催に応じてその日の宿泊料などを変更します。こういったマーケティング的な知恵はうまく飲食の現場では活かされていません。そのために、来店数の予測、需要予測は大切になってきます。

2つ目はコール音声のテキスト化です。予約の電話の音声データから必要な情報を入力できれば大幅に効率化することが可能になります。これによりデータ入力の手間が省ければ大きく業務効率化して、各店舗の個性を出していけると考えています。」

ーー今後のビジョンや目標、長期的な計画はありますか?

萩原さん「食は一番人間の嗜好性が出てくるものです。食事も1日に3回と、一番頻度が高いですよね。
食の嗜好性を守っていくことは、食文化を守っていくことにも繋がっていきます。そしてそれを実現していくためには、飲食店がどれくらい個性的であるかが重要になってきます。トレタを活用いただくことで業務効率化につながり、飲食店それぞれの個性や価値をどれだけ高めていけるのかが非常に大事だと考えています。」


実は、私も飲食店で働いており、トレタさんを利用していました。今回データサイエンス研究所を設立されるというリリースを見て、すぐに飛びついてしまいました(笑)

飲食店で働いていた経験から言うと、飲食店の仕事は業務効率化が進んでいません。別の飲食店で働いていたときは予約は紙で管理してデータベースになっていなかったり、当日の来客数も勘でしかありませんでした。

その点、飲食店で働いてトレタを使っていた当時は、スムーズに顧客管理ができていたことを覚えています。

これからデータベースの時代ですが、人手不足で悩んでいる飲食業界にこそ、小さな店舗から大きな店舗までプラットフォームの良い影響を受けられるようになればいいなと思います。萩原さんがおっしゃっていたように店舗の個性をどんどん出していって、日本らしいおもてなしが強化されれば、日本らしいサービス業の発展が見込めると考えています。

 

おざけん

人工知能・AI専門メディア AINOWディレクター ┃ 趣味はカメラ撮影。
┃ Twitterでも発信しています。@ozaken_AI ┃ AINOWのTwitterもぜひ@Ainow_ai┃
出演: 日経CNBC「日経カレッジ・ラボ」日本テレビ 「ZIP!」など┃

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