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2018.04.25

「近未来をデザインする」 オムロンサイニックエックス株式会社設立

最終更新日:

2018年4月25日 文京区にあるΦカフェにてオムロンサイエニックエックス株式会社の設立記者説明会が行われました。オムロンといえば卓球ロボットが一躍話題になり、展示会でも多くの人が集まる注目企業。

オムロンは創業以来、社会の変化を先読みした技術開発、事業創出で社会に自動化を導入することで社会の発展に貢献してきました。

今後は、オムロンサイニックエックス株式会社における研究を軸にして、オムロングループの中期経営計画「VG2.0」で目指す売上高1兆円、営業利益1000億円の達成をはじめ、2020年以降の成長をけん引する技術、新規事業創出の加速を目指すとしています。

オムロンの卓球ロボット「フォルフェウス(FORPHEUS)」

オムロンが設立する新たな会社はどのようなものなのでしょうか。どこよりも速くその様子をお伝えします。

オムロン サイニックエックス株式会社 設立

オムロンの次世代への挑戦“近未来デザイン”

オムロン株式会社は、東京·本郷に近未来をデザインする研究会社「オムロンサイニックエックス株式会社」を新たに設立しました。2018年4月26日から本格的に始動させます。

冒頭には社長兼所長の諏訪正樹さんより挨拶がありました。

諏訪さん

オムロンは今まで社会と科学と技術の相互進化を捉えて事業成長につなげてきました。1960年代から投資を続けてきたことが今の成長につながっています。

そして今、さらなるAIなどのテクノロジーの大波が社会と科学と技術の相互進化を促しています。

オムロンサイニックエックス株式会社は、その中でも社会を起点として考えています。

社会を起点として、社会的課題を解決するために技術革新をベースに近未来をデザインし、その実現に必要な戦略を実行していく経営を行っていきます。

諏訪さんの話の中で特にスポットが当てていたのは「交通」の課題解決です。自律分散の交通管制システムを構築したい思いが伝わってきました。

また、「仕事がうばわれるわけではない」とおっしゃっていたことも印象的で、「人間がしなければいけない仕事も残る」と強調していました。

諏訪さん

ロボットは社会課題を絶対に解決してくれると考えています。オムロンサイニックエックス株式会社が入居する角川本郷ビルは人工知能系の企業も多く集まり、地の利を活かすことができます。これを有効活用して課題解決に努めていきます。

オムロンサイニックエックス株式会社にはオムロン内部の人はほとんどおらず、賛同した研究者や企業、海外の研究拠点など社内外で議論を深めていき、オープンイノベーションによる“近未来デザイン“の創出を加速していくそうです。

今後は、「FA」「ヘルスケア」「モビリティ」「エネルギーマネジメント」の4ドメインを中心に、各領域の社会的課題を解決するために、技術革新をベースに「ビジネスモデル」「技術戦略」「知財戦略」を統合し具体的な事業アーキテクチャーに落とし込んだ近未来デザインを創り出します。

オムロンサイニックエックス株式会社概要

●名称 : オムロンサイニックエックス株式会社(OMRON SINIC X Corporation)
●代表者:代表取締役社長 兼所長 諏訪正樹
●所在地:東京都文京区本郷5-24-5角川本郷ビル3F
●人数 :12名
●設立 : 2018年2月1日登記 ※2018年4月26日本格始動
●資本金:1.3億円 (資本金 6,500万円、資本準備金:6,500万円)

オムロンサイニックエックスのミッション

技術革新や社会変革を背景とした、ありたい未来像を構想し、事業·技術·知財などの視点で俯瞰、革新的な顧客価値の仮説を社会実装できるレベルで構想する「近未来デザイン」の実行及び近未来デザインの実現に必要となる技術革新の動向をいち早く捉え、新たなコア技術を創出すること

オムロン サイニックエックス 名称の由来

「サイニック(SINIC) 」は、オムロン株式会社創業者の立石一真氏が1970年に発表した「社会のニーズを先取りした経営をするためには、未来の社会を予測する必要がある」との考えから提唱され未来予測論の名称。新会社の名称は、近未来の象徴である「サイニック(SINIC) 」に、未知なる技術「エックス(X) 」を組み合わせたもの。

オムロンサイニックエックス研究員プロフィール

  • 諏訪正樹(すわまさき)

オムロンサイニックエックス株式会社代表取締役社長兼所長
オムロン株式会社技術·知財本部を経て現職
信号処理や機械学習のアリゴリズム3D画像計測原理や計測アルゴリズムの研究に従事

  • 栗原聡(くりはらさとし)

オムロンサイニーウェックス株式会社技術顧問
慶應義塾大学理工学部大学院理工学研究科教授
国立大学法人電気通信大学人工知能先端研究センター特任教授
ドワンゴ人工知能研究所客員研究員
技術顧問として、近未来デザインに基づく技術アーキテクチャーデザインと技術指導と、オープンイノベーションの具現化案を立案

  • 牛久祥孝(うしくよしたか)

オムロンサイニックエックス株式会社技術アドバイザー
東京大学大学院情報理工学系研究科、原田·牛久研究室、研究テーマは、人と機械における言語·センサーデータの融合

  • 橋本敦史(はしもとあつし)

オムロンサイニックエックス株式会社研究員
京都夭学大学院教育学研究科助教を経て現職
知覚情報処理·知能ロボティクスを専攻、研究テーマは、主にものづくりの近未来における人と機械の関わり

  • フェリクス·フォン·ドリガルスキ(Felix von Drigalski)

オムロンサイニックエックス株式会社研究員
奈良先端科学技術大学院大学博士後期課程修了、研究テーマは、ものづくりにおけるロボティクスの近未来デザイン

  • 井尻善久(いじりよしひさ)

オムロンサイニックエックス株式会社研究員
オムロン株式会社技術·知財本部より出向。研究テーマはものづくりにおけるロボティクスの近未来デザイン

  • 小西光春(こにしみつはる)

オムロンサイニックエックス株式会社研究員
オムロン株式会社イノベーション推進本部より出向。金融業界での業務経験を活かし、幅広い視点で近未来デザインを描く

オムロンサイニックエックス株式会社の詳細についてはhttp://www.omron.co.jp/をご参照ください。

人工知能が社会実装フェーズに入ったと感じられる時間でした。今までの研究フェーズから、未来をデザインするべく逆算して実用的な開発を進めていくフェーズに移っていることが感じられました。

「社会と科学と技術」を諏訪さんが取り上げていましたが、今までは技術的な部分も多く、人工知能のデザインはそこまで考えれていなかったと思います。これからは技術に注目しつつも社会を見て、実装していかなければなりません

そのためにも、オムロンサイニックエックス株式会社が社内だけでなく社外の知見も取り入れていくように、さまざまな立場の人が知見を持ち寄り、オープンイノベーションを進めていけることが理想です。今度、ぜひオムロンサイニックエックス株式会を取材したいです。

昨年12月に開催したアドベントカレンダー企画ではオムロンの技術知財本部の小泉昌之さんにご寄稿いただきました。こちらの記事も合わせてぜひご覧ください。

AI卓球ロボットが示す!人と機械の未来(オムロン株式会社 小泉昌之氏)

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