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2018.05.09

出会いの価値を最大化し、世界を広げる「Eight」

最終更新日:

 

SansanはAINOWのメディアパートナーとして、さまざまな情報を発信してくれています。

今回は200万人を超えるユーザを保有するSansanが知り合いの可能性が高い人をレコメンデーションする仕組みについて、大隅さんが記事を執筆してくださいました。

多くのユーザを抱えるサービスにとって、データに基づくレコメンデーションはUXの向上に大きく貢献します。一方で多量なデータの計算に時間がかかっては、逆にUX体験の質が低下してしまいます。

Sansanは、独自の手法を使うことで数秒以内で計算を終わらせることができるとしています。どんな手法なのか、ぜひ読んでみてください。(AINOW編集部)

Sansanの他の記事はこちらから

Sansan特集!(研究機関『DSOC』)


Sansan株式会社のData Strategy & Operation Center(DSOC)のメンバーが、「出会う、が、世界を変えていく。」をテーマにした記事を寄稿する連載企画の第2弾です。

今回は、個人向け名刺アプリ「Eight」のレコメンデーション機能について紹介します。

個人向け名刺アプリ「Eight」  

Eightは、Sansan株式会社が提供する個人向け名刺アプリで、どなたでも無料で利用することができます。名刺をスキャン・データ化して管理する機能はもちろんのこと、「名刺でつながる、ビジネスのためのSNS」として各種機能を提供しており、2018年12月現在で200 万人を越えるユーザーに利用されています。Eightは、ビジネスにおけるコミュニケーションツールとして活用されながら、成長を続けています。

Eightでは、名刺交換をしたユーザーやEight上でつながったユーザーの近況や異動、昇進、転職といった情報、そのユーザーが所属する企業のニュースなどをいち早く知ることができます。また、サービス上でメッセージを交換したり、自社のニュースやお知らせをニュースフィードに流すこともできたりするので、広報や採用活動に活用すること可能です。

このように、名刺管理からユーザー間のコミュニケーションまでを1つのアプリでシームレスにつなぐことで、ユーザーのビジネス活動をサポートしています。

Eightのレコメンデーション機能 

Eight には、さまざまなレコメンデーション機能があります。

その1つとして、名刺交換による「出会い」をより活性化することを目的に、Eightユーザーの中から知り合いである可能性が高い人物を推薦する機能を提供しています。

本来つながっているべき人々を結び付け、「つながり」のネットワークを広げてビジネスチャンスを増やすことを手伝いたいと考えています。

お知り合いですか?  

この記事では、その知り合いである可能性が高い人物をレコメンドする機能について簡単に紹介したいと思います。

この機能は協調フィルタリングと呼ばれる技術を核として、Eight独自のアルゴリズムによって機能しています。協調フィルタリングとは、もともとは、ミネソタ大学の社会心理学の研究から生まれたソーシャルフィルタリング技術の1つであり、Group Lensというアルゴリズムがよく知られています。また、大手ECサイト「amazon」で採用されたことでも有名で、発展形や機械学習を応用した高度なものまでさまざまな手法が現在、多く提案されています。

協調フィルタリングの基本は、「趣味嗜好の似たユーザーは、同じものに対して似た評価をする」という点にあります。例えば、ECサイトでの購買行動が似ているユーザー同士を比較したときに、一方のユーザーが既に購入し、しかも高い評価をしている商品を他方にも推薦すると、それを購入する可能性が高いという事実に基づいています。これを多数のユーザーに拡張して定式化したものが、協調フィルタリングのアルゴリズムです。

次に、この協調フィルタリングの仕組みを名刺、つまり「人のつながり」に置き換えて、名刺データから知り合いをレコメンドすることが、どのように実現されているのかを見ていきます。

    1. 名刺データ、つながり、行動履歴を収集

    名刺交換をデータ化すると、「誰」と「誰」がつながったというデータになります。ここを起点として、その誰かと誰かが Eight 上でコミュニケーションを取ることで、行動履歴が発生します。これらのデータを合わせると、二人の間の親密度を計算することができるようになります。つまり、ユーザーの行動履歴を統計的に解析することで、ユーザー間の親密度を予測します。

    コミュニケーションの内容までは踏み込まないので、あくまでも推測になります。もし、実際の親密度(正解データ)が分かるようであれば、それを用いて親密度を予測するモデルを機械学習によって作ることも可能になります。

    こうしたデータを蓄積することで、以下のような親密度の表が作られます。各行が、一人のユーザーの「人脈」データであり、それは購買行動における「趣味嗜好」データに相当します。

      1. 推薦対象ユーザーと人脈の似た人を抽出しグループ化

    ここで、一人の対象ユーザーを選び、そのユーザーと人脈が似ているユーザーを探します。一般的には、対象ユーザーとその他の全ユーザーとの人脈の類似度を計算し、類似度の高いユーザーを複数人選んでグループを作ります。

    1. グループ内の人脈から、対象ユーザーと知り合いの可能性が高い人物を推薦

    グループ内の人脈を解析し、対象者がまだ名刺を持っていないが、グループの中で人気が高い(親密度が高く、より多くの人と良い関係を作っている)人を推薦します。

    ここまでに説明したサイクルを繰り返すことで、常に新鮮なデータに基づいた推薦を継続的に行います。Eightでは、これらの基本的な機能に加え、最近会ったであろう人を優先したり、過去の人脈を掘り起こしたりする独自のアルゴリズムを組み込み、時間軸を加味した独自のアルゴリズムを採用しています。

    ビッグデータと推薦プラットフォーム 

    さて、ここで200万人×200万人の表データで瞬時に推薦を計算する仕組みが必要です。もちろん、いくら計算時間をかけても良いなら構いませんが、現実的なシステムとしては、推薦一回当たりの平均計算時間を数秒以内に抑えたいところです。

    初めはアクティブなユーザー(利用率の高いユーザー)に絞って、一日一回だけ推薦リストを更新する仕組みが作られましたが、実際のユーザー体験としてはどうでしょうか。仮に、ある日のミーティングで、先方の重要人物が名刺を切らしてしまっていたとします。しかし、先方の別の同席者の名刺を登録することで、即座にその重要人物が推薦されたとすれば、ユーザーはその推薦をすぐに次のアクションにつなげることが可能となり、その体験は大変価値のあるものになるかもしれません。私たちは、そうしたユーザー体験こそを重視したいのです。

    ビッグデータの分析、活用から学習、予測につながる一連の流れと、それをおよそリアルタイム(平均計算時間が数秒、上限数分というゆるい定義)に計算可能なプラットフォームを実現したものが、Eightのレコメンデーション機能です。そこには、独自のアルゴリズムに加え、クラウドコンピューティング、サーバレスアーキテクチャなどの最新の技術も活用されています。

    レコメンデーション機能のこれから  

    Eightのレコメンデーション機能は、これからますます発展していきます。ビジネス上のグループやコミュニティー、あるいは自社内における人脈の活用を容易にしたり、ビジネスにおけるキーパーソンをタイムリーに知らせたりすることができる機能の実現を目指しています。

    また、人物の推薦だけでなく、パーソナライズされたコンテンツ、キャリアパス、自己のスキルを高める方法の推薦など、ユーザーのさまざまなニーズを捉え、タイムリーな推薦を実現するプラットフォームとなることを目指します。

    Eightは、ビジネスにおける出会いの価値を最大化し、ユーザー一人一人の世界を広げることを見据えています。

     

    筆者:Sansan株式会社 Data Strategy & Operation Center(DSOC) 大隅智春

Data Strategy Operation Center(DSOC)
Sansan株式会社の法人向けサービス「Sansan」、個人向けサービス「Eight」のユーザーから取り込まれる、年間数億枚に上る名刺という「出会いの証」を1枚ずつ正確なデータに変換しています。私たちは、2つのプロダクトから「ビジネスの出会い」を科学し、Sansan株式会社の目指す「働き方の革新」に貢献しています。

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