TensorFlowはどのようにして世界中のテクノロジーを活気づけているのか

著者のFred Alcober氏は、Googleが開発したオープンソースの機械学習フレームワークであるTensorFlowの開発チームとGoogleのAI部門におけるプロダクト・マーケティング・マネージャーを務めています。

このブログ記事は、2018年に開催されたGoogleの年次開発者会議「Google I/O 2018」の会期中に公開されたのですが、TensorFlowの活用事例を紹介しています。

そうした事例の範囲は、天文学、環境保護活動、医療、そして園芸と多岐にわたります。同会議会中には、このブログ記事のほかにもAIに関する記事が多数公開され、GoogleがAIに注力していることがうかがえます。

Google編集者註記:AIは多くのGoogle製品の背後にあり、わが社にとって最優先すべきものです(最優先すべきものとしてAIについては、昨日のGoogle I/Oで聞いたことでしょう)。

そのためわたしたちは、AIがすでにあまり知られていないかも知れない仕方で皆さんの生活にいかに影響を及ぼしているかについて、さらには世界中のヒトビトが自分たち独自のテクノロジーを作り上げるためにAIを活用しているのか、こうしたAIの活躍に関するハイライトをシェアしたいと思います。

機械学習は多くのGoogle製品のコアとなっていますが、わたしたちが開発したオープンソースの機械学習フレームワークであるTensorFlowは世界中の科学者、研究者、そして高校生をも含んだヒトビトの仕事に不可欠なコンポーネントとなっています。Google I/Oでは宇宙の起源の探求のような(わたしたちが重大と考える)大きな問題に取り組んでいるヒトビトからAIを活用していることを聞きました。

以下では、取り組んでいる仕事を支援するためにTensorFlowを使っているヒトビトのその使い方について、興味深い事例を挙げていきます。

アメリカ・ペンシルバニア州立大学の博士課程の学生であるAri Silburtさんは、太陽系の起源を明らかにしようとしています。この目的にために、彼は太陽系におけるクレーターの地図を作成しなければなりません。

クレーターに関する地図は、太陽系の様々な場所(そして様々な時期)において、どんな物質が存在したか教えてくれるからです。以上の話はお分かりでしょうか。

こうしたクレーターの地図を作るには、歴史的には人手で行われてきました。そのため、時間がかかり地図の内容も主観的でした。そうしたなか、彼と彼が所属する研究チームは、TensorFlowを使ってクレーター地図の作成を自動化したのです。彼らは既存の月面写真を使ってクレーターを識別する機械学習モデルを訓練し、その機械学習モデルを使って6,000個以上の新しいクレーターを特定しました。

左側の月面画像では、クレーターがどこにあるのか判別するのは困難だ。右側の月面画像では、TensorFlowのおかげでクレーターの分布に関する正確な描写が得られる。

今度は、宇宙空間からブラジルの熱帯雨林に目を向けてみましょう。(熱帯雨林を保護する団体Rainforest Connectionの設立者である)Topher White 氏は、アマゾンの不法伐採を防ぐ装置である「The Guardian(守護者)」を発明しました。

TensorFlowのプログラムを実行するようにアップサイクルされた携帯電話を使っているこの装置は熱帯雨林の木々に取り付けられ、この装置がチェーンソーの作動音や木材運搬車が発する音を検知すると、熱帯雨林を警備しているレンジャーに通報します。

アップサイクル:ある製品を本来の形状や機能を生かしたまま他の製品として再利用したり、本来はなかった機能を付加しようというアイデア。類義語は「リサイクル」で、リサイクルでは製品を素材の状態に戻して本来の形状や機能が失われてしまう点がアップサイクルと決定的に異なる。

この装置がなければ、熱帯雨林全域をヒトを使って警備しなければならないのですが、熱帯雨林全域をヒトを使って警備することなどほぼ不可能です。

アマゾンの高い木々にGuardian装置を設置していくTopher氏

糖尿病性網膜症(Diabetic retinopathy:略してDR)はもっとも多い失明の原因となってきており、世界中にいる415百万人近くの糖尿病患者がそのリスクに晒されています。この疾病は早期発見できれば、治療が可能です。その一方でもし発見が遅れれば、失明は避けられません。

2016年、わたしたちはDRの分野における診断活動を支援するために機械学習が使われていることを発表しました。

その支援方法とは、患者の眼底画像(眼の奥を撮影した特殊な画像)を機械学習によって高精度で分析するのです。そして今や、わたしたちはこの眼底画像診断をTensorFlowを使うことで次のレベルに導きました。

眼底画像:眼底画像を検査して網膜血管が詰まっていたり微細な出血が発見された場合、動脈硬化症が疑われる。

カリフォルニア州オークランドの検眼医であるJorge Cuadros氏は、眼底画像を機械学習モデルを使って分析することによって、患者の循環器系疾患のリスクを判定できるようになりました。

網膜の疾患によって失明の恐れのある眼底画像。眼底画像を学習データにして訓練された機械学習は、医師に眼の健康について今より多くのことを教えてくれる。

全世界の園芸愛好家に朗報があります。高校生のShaza MehdiさんとNile Ravenellさんは「PlantMD」というアプリを開発しました。このアプリは、植物が病気になっているかどうかを教えてくれます。このアプリはTensorFlowを使って機械学習アルゴリズムが実行されているのですが、二人はこのアルゴリズムが植物の病気を認識できるように訓練するために(園芸に関するナレッジサイトである)plantvillage.comといくつかの大学のデータベースから引用したデータを活用しました。

Shazaさんは、PlantMDを開発した時と似たようなアプローチで皮膚病を診断するほかのアプリも作りました。

AIがすべてのヒトビトに利益をもたらすことができることに関して、より知りたい場合はai.googleをチェックしてください。



原文:「How TensorFlow is powering technology around the world」

著者
Google

翻訳
吉本幸記

編集
おざけん

おざけん

人工知能・AI専門メディア AINOWディレクター ┃ 趣味はカメラ撮影。
┃ Twitterでも発信しています。@ozaken_AI ┃ AINOWのTwitterもぜひ@Ainow_ai┃
出演: 日経CNBC「日経カレッジ・ラボ」日本テレビ 「ZIP!」など┃

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