出会いの価値を検証する「Sansan Labs」

みなさん、こんにちは。

Sansan株式会社のR&Dグループで研究員をしています糟谷勇児です。私は、リコメンドエンジンの開発や名寄せ技術の開発など幅広くデータ解析技術を開発しています。

今回は、DSOCで新たに開発したテストプラットフォーム「Sansan Labs」について紹介します。

Sansan Labsとは

Sansan Labsは、研究中のコンセプトをβ段階でいち早くお客様に届けるためのテストプラットフォームです。

 

Sansan株式会社は、「ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新する」というミッションを掲げ、出会いの価値を最大化する事業を展開しています。

 

クラウド名刺管理サービス「Sansan」は、名刺をデータ化し、社内で共有することで、さまざまな価値を提供できるサービスだと自負しています。例えば、営業先へ訪問する前にその企業に関する情報を収集したり、顧客企業との定期的な関係を維持したりするといったことが容易になります。

 

ただし、これらの例は紙の名刺を全社でデータ化して管理することの延長線上にある価値であり、いわば当たり前の価値です。一方で、大量の名刺をデータ化し蓄積しているSansanだからこそ生み出せる価値を提供していきたい、われわれはそう考えるようになりました。

 

現在、DSOCのR&Dグループでは10名程度のチームを作り、「データをいかに活用していくか」といった課題に対して研究開発に日々取り組んでいます。

 

お客様に価値を提案するということは、それが技術自慢であったり、独りよがりであってはいけません。お客様のニーズに合ったものをコミュニケーションを取りながら考えていく必要があります。

 

そこで、DSOCはSansanのWebアプリケーションの中で、Sansan Labsとして開発した各種機能を公開することで、利用者の反応を感じながら技術を磨き、お客様と共に新しい価値を作っていこうと考えました。

Sansan Labsで実現したいこと

 

過去にDSOCの研究員である高橋寛治が「Sansanのデータの価値」についての記事を書きました。

6次の隔たりを1次の隔たりへ(Sansan株式会社 高橋寛治氏)

Sansanが蓄積している名刺のデータは、「人と人との出会いのデータ」であるとも言えます。これを分析して有効活用することにより、ユーザーにとって最適な出会いやキャリアを提案できる可能性をそのデータは秘めています。そして、その可能性をお客様がビジネスの中で活用することができる「カタチ」に変えて提供していきたいと、われわれは考えています。

 

多くのデータ分析は、「なんか面白いね」「すごそうだね」で終わってしまいます。そうではなく、お客様一人一人が日々のビジネスの中で活用できるように作りこんでいきたいと考えています。

 

2018年6月現在、Sasan Labsでは5種類の機能を提供しています。それぞれの機能については、次の「Sansan Labsの機能紹介」で簡単に紹介します。

 

目指すはリーンスタートアップ

 

「リーンスタートアップ」とは、検証による学びを重ねていくことで、PDCAサイクルを回し、お客様が望むものを学びながら作るプロセスを指します。

 

Sansan Labsでは、利用者のフィードバックを送ることができるフォームをコンテンツ内に設置しています。そこから利用者の感想を集めるとともに、アクセス解析なども行い、その結果を踏まえて早期に各機能の価値を検証していきたいと考えています。

 

新たな機能についても開発ができ次第、どんどん提供していく予定です。

 

Sansan Labsの機能紹介

 

ここからは、各機能の概要とそれぞれで使われているSansanの技術を簡単に紹介したいと思います。

ABMダッシュボード

「ABMダッシュボード」では、自社の持っている顧客企業ごとの情報が可視化されることで、それを俯瞰して見ることができます。

 

ABMという言葉は、「アカウント・ベースド・マーケティング(Account Based Marketing)」の略で、ターゲットとする顧客企業の情報を収集し、その企業に対して複数の部門が連携して戦略的に展開する法人営業活動を指しています。

 

ABMダッシュボードでは、DSOCがこれまでに作り上げた「役職ランク」という、役職を分類して職位の高い順にリストアップする技術を応用したものが用いられています。

 

通常、役職名は企業によってまちまちですが、それらを分類して整理することで、顧客企業単位で部長クラスや役員クラスと会えているのか、何人の管理職と会えているのかなどの情報を各社共通のフォーマットで見ることができます。

人を知り他人を知り企業を知る

現在までに交換した名刺データの蓄積から同僚や自分の強みをキーワードで可視化する機能です。

 

名刺交換の履歴は、その人が持つ人脈を表しています。自分が持つ人脈を自身の強みとして見つめ直したり、同僚が築き上げた人脈から知られざる同僚の強みを発見することができるかもしれません。

 

上の画像は、筆者の実際の結果になります。「AI」といったキーワードが表示されていますが、自分で入れたわけではありません。私が過去に取り込んだ名刺交換の履歴から自動生成されたものになります。

 

DSOCでは、各企業のWebサイトからその企業と関係が深いキーワードを抽出する技術を開発しています。その機能を応用して、「人を知り他人を知り企業を知る」では、個人が交換した名刺に書かれているURL上からキーワードを抽出して集計し、複数回出てきたキーワードを大きく表示しています。

 

私でいえば、「AI」や「先端科学」といった言葉がキーワードとなる企業と複数回名刺を交換していることになります。それらは、私が持つ人脈の強みであろうということが分かります。

バーチャル組織図

名刺交換の傾向を基にして、自社社員による仮想のチーム(組織)を作る機能です。

 

「バーチャル組織図」では、DSOCで研究開発されたクラスタリングの技術が用いられ、名刺交換の傾向によって自社の社員が数十のクラスター(チーム)に分割されます。

 

例えば、似た属性の会社と名刺交換している人は同じグループに分類されます。この機能によって作られた組織図を見ることで、部署を超えて一緒に活動している社員が分かったり、共通の知識を持った同僚を探したりすることができるようになります。

 

この機能は、今日のランチに一緒に行く仲間を探すところから、新規事業を実現するチームの構築にまで、さまざまな場面で活用することができると考えています。

企業間距離の変遷

自社と企業との名刺交換を数値化し、互いが親密になっているか、疎遠になっているかを知ることができる機能です。

相手企業との名刺交換をどの程度行っているかは、その企業との親密度合いを計る上で、重要な指標になり得ます。ただし、単純に名刺枚数だけを集計してしまうと、大企業が相手企業である場合に従業員数が多いために上位になってしまいます。たくさん名刺を交換していても、相手側からすれば数多ある取引先の一つにしか過ぎないということもあり得ると思います。

そこで、「企業間距離の変遷」では公開情報なども加味して情報を正規化し、互いにとって重要な位置を占めている企業かどうかを判定して、最も親密になっている企業、疎遠になっている企業をそれぞれ10社ずつリストアップします。ここでも、DSOCのデータ解析の技術が使われています。

社内キーパーソンを探せ

ある企業と自社の間にいる社内のキーパーソンを探す機能です。

企業を選択すると、その企業との名刺交換が大きく伸びた時期を割り出し、その時期のネットワーク図とその際に活躍した人物をスコア付きでリストアップします。こちらでも単純に名刺をたくさん持っているかどうかではなく、その企業との関係構築に大きく寄与した人物のスコアを高く算出するような仕組みになっています。

「社内キーパーソンを探せ」を活用することで、ある特定企業のことを知りたいと考えたときに、より効率的に社内キーパーソンを探し出し、情報を聞きにいくことができたり、商談後に振り返って社内の誰が関係構築に貢献した影のMVPだったのかを突き止めたりするような効果が期待できます。

 

Sansan Labsのこれから

Sansan Labsはまだ始まったばかりです。

 

今後は、よりお客様が日々の業務の中で使えるような機能の開発・提供を目指して強化を進めます。ご期待いただければと思います

筆者:Sansan株式会社Data Strategy & Operation Center(DSOC) R&Dグループ 糟谷勇児

Data Strategy Operation Center(DSOC)
Sansan株式会社の法人向けサービス「Sansan」、個人向けサービス「Eight」のユーザーから取り込まれる、年間数億枚に上る名刺という「出会いの証」を1枚ずつ正確なデータに変換しています。私たちは、2つのプロダクトから「ビジネスの出会い」を科学し、Sansan株式会社の目指す「働き方の革新」に貢献しています。

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