WEEKLY人工無脳(2018.8.5~8.12)

① とりあえずもうほとんどの人類よりは歌がうまくなってしまったりんなちゃん

人間の音声データを学習し、かなり歌声が本物っぽくなったMicrosoftのチャットボットりんなの話。

google duplexなどでもかなり人間っぽい自然な発話はできていて十分びっくりしたのに、「歌声が進化したりんな」はさらに上を行っている感じがある。しかも会話ではなく歌。機械的に作られたものだという強い意識を持って聞いてみても「普通に歌のうまい人間じゃん」っておもっちゃう…

2018年3月に公開された前段階のものは、確かにところどころ電子的な音声を感じられる(特に音を伸ばす部分とか)

この4ヶ月間に進化し過ぎでは…

初音ミクのように、音声波形の切り貼りをして歌声を合成しているわけではなく、人間の音声データ自体を大量に学習させているらしい。学習したデータの特徴量として「音の長さ」・「強弱」・「音程」・「声色」の4つのパラメータにフォーカスしているらしく、それらを調整することで歌声を実現してらしい。もう少し詳しい話が気になるところ…

あまりの完成度に、流石にこの一曲だけ最高にうまく歌えるように過剰にチューニングしているのではと疑うレベルなのだけど、公式からは

一部はパラメータ調整を行なっているものの、ほとんど自動で合成されたものだという。

とのこと。歌声の合成はもうここまで自然に聞こえるレベルになっていたのか…

② 埼玉行政がAIで結婚相手見つけてくれるってよ カーッ(゚Д゚≡゚д゚)、ペッ

深刻化する少子化に歯止めをかけるため、埼玉県は1日、人工知能(AI)を活用した独身男女の「婚活」サポートに乗り出した。

一行目の時点でうんざりするのはきっと気のせい。

センターのマッチング方法は2つ。

会員が希望する年齢、身長、学歴などを入力し、条件に合った相手を自身で検索する。

もう1つは会員の価値観や性格などに関するアンケートの回答内容を、AIが希望条件を加味した上で独自に分析し、相性の良い人を紹介する。

どうせ両方ともルールベースで検索かけてるだけでしょとか、Pairsでええんちゃうんかという野暮なことは言わないお約束。
ちょっとおもしろいなと思ったのは、意外にいろんな県でマッチングサービスをやっているらしいというところ

行政による「婚活」サポートは各地でも相次いでいる。県少子政策課によると、47都道府県のうち23の自治体がマッチング支援に乗り出している。

そして料金もお安い。埼玉県の場合は登録料は1万5千円(2年間有効)らしい。でもこれは税金で運営してるんでしょ…

SAITAMA 出会いサポートセンター 恋たま」という公式HPがすでに公開されているのでぜひ見に行ってみましょう。
この「お役所のHP感」どうにかならんかったのか。

アラ探しばかりしてもアレなのでちょっと良いところも考えてみると、確かに世の中のマッチングアプリなどでも最も大事なパラメータは「今現在、物理的に自分と会える近いところに住んでいるか」だと思うので、もしかすると所在地に特化してサービスをやるのはアリかとも思ったのですがまぁPairsとかでも検索条件のフィルタリングすればいいだけだし既存のマッチングアプリと行政が行うマッチングに明確なサービス差がないと本当に意味がないと思うのですがどうなんでしょうか…。AI云々の前に、すでにあるサービスを利用せず、本当に行政がやるべき仕事なのかということに疑問が残りますね…

余談ですが、お見合いやマッチングアプリなどで不特定多数と会う場合、何人目の時にどのような判断をすれば”最善”に近い人を選べるかという問題を解くアルゴリズムは実はあったりする。興味ある方は秘書問題とか安定結婚問題などの単語で検索してみると偉い人たちが大真面目に重ねてきた研究の軌跡を知ることができます。尊い。

最後に、自分が大好きな結婚に関する樹木希林さんの名言を貼っておきます。

結婚なんてのは若いうちにしなきゃダメなの。物事の分別がついたらできないんだから。

本物のAIが本当に結婚相手を見つけてくれる未来はよ。

③ 日本語手書き文字認識の大本命、ついに登場なるか?

一般的に文字(数字ではなく文字、しかもアルファベットではなく日本語)の自動認識(OCR)はかなり技術的なハードルが高く鬼門感がある。

文字の認識というと地味なイメージもあるが、これが完全自動化で解決できると金融や行政系などのお金もパワーもある業界に展開できる分野も多く、ものすごいビジネスチャンスがある領域。それでもこれまで有力なサービスが無かったのはひとえに、「技術的に難しい」点にあったと思う。ビジネス/マネタイズモデルがうんぬんではなく、そこにドストレートに「識別精度99.91%」と殴って解決している点が痺れる。

手書き文字の学習データの調達にGANを使っていたり、単純な文字単位の認識ではなくRNNっぽいアルゴリズムも(たぶん)使っているっぽいところからも技術的に詳細が気になるところ。

実際問題として、「ペーパーレス」が叫ばれ続ける中で、現実的にはこういった本当に使えるツールが登場しないことには本質的なペーパーレスは達成され得ない。すごく期待!

少し脱線するが、「高精度な手書き文字認識」として最初(?)に話題になり比較的記憶にあたらしいのは2016年6月公開のこちらの記事の方々だったような気がする。完全に独立したチームなのか、何かしらの繋がりがあったりするのだろうか?気になる。

④これぞヘルスケアIoT。テクノロジーで全国の猫が健康に暮らせますように。

全国の愛猫家の皆様には聞き逃せないニュース。久しぶりに「素晴らしい」「すぐ欲しい」と思ったプロダクト。光の速さで購入申し込みした。

ねこ専用のIoTトイレとスマホアプリによって愛猫の体調変化を見守ることができる、“ねこヘルスケア”サービス『toletta』について。

猫は腎臓系の病気にかかりやすく死亡率も高い。喋れない猫に対して”トイレ”をテクノロジーで監視することで間接的に健康状態を知るプロダクト。
素晴らしいポイントを羅列すると、

  •  IoTトレイは体重計も兼ねる。猫がトイレにいる時間や体重を同時に記録しスマホアプリで監視
  • 「24時間一度もトイレに入ってなかったらアラート」のように異常検知も行う
  • 猫の顔認識によってどの猫がトイレに入った/入ってないかを個別に認識(追加費用無し)(識別用の首輪など不要)
  • 初期費用0円、月額サービス利用料が500円というサブスク料金体制。
  •  猫の健康データを蓄積しそれを将来的にお金に変えるビジネスモデル

最低契約期間が2年で、途中解約は違約金としているが、それでも24ヶ月*500円=12,000円なので全然安い。むしろ良心的過ぎる。

ペット保険アニコムと共同研究もしているそうで、蓄積された健康データは保険料の最適化などに使われるのだろうけど、それ以上に、猫のトイレデータから得られる知見はきっとペット社会に大きな良い影響を与えてくれそう。ペットは家族同然と思う家庭は多いはずなので、ペットの死亡率を下げて健康寿命を上げられるのことほど大きな貢献は無いはず。(ちなみに、人間でも同じようにトイレを監視するヘルスケアデバイス作ればいいのでは?と思った人、サイマックスという有望なベンチャーがあってじゃな…)

猫の顔認識に関してはどこにカメラを仕掛けてどのように撮影されるのは不明であるが、認識精度なども含めて技術的な課題は時間とトライアンドエラーが解決してくれるはず。

カメラ、体重計、スマホへの通信機能、最低限の強度保証を兼ねたデバイスであれば、ハードウェア制作費だけでも5000~10000円はかかっているだろうが、そこは費用0にして月額500円だけのサブスク料金にし、そこから得られるデータでビジネスをするというのはまさにこの時代のプロダクトだと感じる。

市場ニーズも提供機能もビジネスモデルもユーザの実質コストも、すべてが素晴らしすぎて感動してる。超応援!!!

余談ですが、「ハルロック」という女子大生がハードウェアをいじくり回す漫画が大好きだったのですが、そこにも登場していたねこったーというアイデアを(ちょっと違うけど)彷彿とさせる現実のプロダクトっぽくて嬉しい。

⑤ 人間は良くも悪くもロボットに感情移入する。まぁそうだよね。

一通りロボットとコミュニケーションを取った後に電源offしようとすると「電源を切らないで!」とロボットが言う。その時の人間のリアクションを見ると電源を切ることに躊躇する傾向が見られた、という話。実験設計者も結果がわかっていてやっていそうではあるが、まぁそうなるよねという感じ。

ロボットが人形に近いほど感情移入や躊躇を覚えるかもしれないが、八百万の神々を信仰する日本人はきっともっと異型の形でも比較的感情移入できそうではある。ターミネータみたいな殺人用ロボットが登場した暁には当然のように「命乞い機能」が備わっていて、ターゲットが躊躇したコンマ数秒で膨大な演算を行って反撃する、みたいなことになるのだろう、ロボットの命乞いに耳を傾けてはいけない。すぐに溶鉱炉に突っ込め。

⑥ 圧倒的に真面目だが圧倒的に可愛い、ネットワーク理論を学べるサイト

twitterでよく見るかわいいやつ。
タイトルが中2なのに、アイコンがゆるカワなのホントズルい。クリックするしかないじゃん。

かわいいアイコンをインタラクティブに線でつないだり切ったりすることで”ネットワーク理論”的なものの概要をカジュアルに学ぶことができるサイトっぽい。随時フィードバックが得られるのでアクティブラーニングの味付けも入っている。

情報の伝達はネットワークが素であっても密であってもいけないし、人間のコミュニティー間はどのようにつながればうまくネットワークの利を得られるか、みたいなことがパズルを解きながらぼんやりと理解できる。

内容は至極真面目で、文章だけ読んでると眠くなりそうだが、デザインの可愛さとパズル性による魅せ方がとにかく上手い。学校教育もこういう感じでできればよいのだけど…

⑦ みんなにこやかに会議しましょうね。あなたの表情も議事録に書いとくんで…

アイデアが面白い。

リアルタイムに表情をモニタリングし、威嚇するような表情になれば赤文字でテキストされ、疑問を呈するように首をかしげれば斜体で黄色でテキストされるというような感じでテキストスタイルを自動で変換していくプラグインを作った人の話。

表情分析は、写真に写った人の表情をそのままの点数化(例えば笑顔度50点、みたいな)して感情分析する、みたいな使い道した見たことがなかったのでなるほどな〜と感心した。
精度が上がれば単純に便利なツールとなるが、真の使い道はこうなのかもしれない…

別の話ですが、ちなみに音声のテキスト化はIBM CloudのSpeech to Textがすごいっぽいです。

「あー」とか「えー」というのも自動でよしなに削除されてるのもすごい。

 ⑧ レシート買い取りアプリ「One」のその後が…

天才高校生プログラマーが起業して作ったレシート買い取りアプリ「One」。このブログでも以前取り上げていたが(天才高校生プログラマー、レシートデータビジネス始めるってよ。)、その後もレシートの買い取りは1日しか行われなかったそうで、今は名刺画像の買い取りも始め、完全に迷走している感。データビジネスって難しいね。。。

与太話

8/4に開催されたMaker Faire Tokyoに今年も参加してきました。今年で5年連続の参加です。去年は「MSゴシック絶対許さんマン」という展示をチームで出しましたが、今年はイチ見学者としての参加です。
イベントで面白かったものを箇条書きで紹介します。

きゅうりディープラーニング

MFT2016からずっとウォッチしているきゅうり農家小池さんの展示。今年の展示は去年の展示と同じ(?)でしたが、今年の新しい話としては静岡大学と共同研究を始めたとのことです。(なのでブースのお店番も静大の学生の方がされていてちょっとびっくりした)

きゅうりの機械学習応用以外にはトマトの話がありました。トマトは生育させるときに敢えて水をやらずに”しおれ”させると糖度が上がるという水分ストレス栽培なるものがあるそうです。もちろん、水をやらなすぎると枯れるだけなので、いい感じの”しおれ具体”にしないといけないのですが、それを画像検知させるそうです。おもしろい。

あと、生い茂った葉っぱのなかからきゅうりを見つける「きゅうりレーダー」もYOLOをベースにして開発中とのこと。

オーダーメードくつ

スマホ写真で足のサイズ、形状、土踏まずの柔らかさなどを取得し3Dプリンターで足型を出力。それを元に提携する靴職人に安価にフルオーダーメードの靴を発注するサービスを作っているチーム。

現状の靴の生産は、”よくあるサイズ”以外の3割のサイズはほとんど作られていなかったり、左右で足のサイズ差がある人のニーズを捉えられていない。そこを解決する。

コンセプト良いし、zozoスーツよりも個別化ニーズが更に強そうなところだし、技術的な課題はそのうち解決されるだろうからすごく期待。スマホ画像で「土踏まずの柔らかさ」を取得するの手こずってるそうなのでどなたか。
今なら自分の足型データを提供すると、3Dモデルをプレゼントしてくれるそう。興味ある方はぜひ。

と書いてたら、zozo前澤社長が靴も作ると書いてるツイートを見つけた。zozoに会社ごと買収とかありそうだなーと。

アイガモロボット


『田んぼにアイガモロボットを泳がせると雑草対策になる』、ということで最初は「画像認識使って、雑草や虫を検知して駆除するロボットなのかな」と思ったがそうではなかった。

このアイガモロボットがやることは、稲植え後の田んぼを土をかき回しながら泳ぐこと。水中を濁らせることで水面下まで光が届かなくなり雑草の生育を抑制するとのこと。これを稲植え後から1ヶ月ほどやると稲の穂高が雑草よりも高くなるのでそうなるともう雑草に負けることはない。

ロボットはルンバのようにある程度ランダムに田んぼを泳いで土を巻き上げればよいので、全面をくまなく泳ぐ必要もない。ロボットの工夫としては、稲を巻き込んでも稲にダメージが残らないようにしているとのこと。

なんでもかんでも機械学習をつかわなくてもターゲットを絞れば問題解決はできるのだと目からウロコでした。

セルフ記者会見セット

まぁ、体験させてもらいましたよね当然。面白すぎでしょ。

二子玉川のデジタルアート展

話は変わって、先週末は二子玉川で行われていた「バーチャルバードパーク」(閉会済み)というデジタルアート展示も見てきました。(知り合いが展示を出していたのでお邪魔してきました)

規模はそこまで大きくないものの、子育ての街 二子玉川ということで小さな子どもがいる家族連れで大人気でした。

一番好きだった展示はLeap Motionを使って腕のジェスチャーで、磁力で浮遊するオブジェクトを動かす展示。フヨフヨと浮くオブジェクトがエフェクト付きでヌルヌル動くのを見てるだけでも楽しいですが、それを腕の動きで操作できるのが小さな子どもには魔法っぽくて楽しそうでした。完成度高い。

吉田 勇太

都内のデータ分析・人工知能関連の会社のデータ分析官
Data Analyst Meetup Tokyo 運営メンバー
デザインスタジオ Kokuhaku Inc. メンバー

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