AI開発が盛んな地域まとめ

人工知能(AI)の研究は世界のさまざまな地域で、急ピッチで進められています。

1956年の「人工知能(Aritificial Interigence)」という言葉が初めて使用されたダートマス会議から現在に至るまで、AI研究は大きな躍進を遂げ、現在では世界中でAI研究が活発に行われるようになりました。今となってはディープラーニングなどの機械学習技術が大きく注目され、多くの産業に変革をもたらそうとしています。

特に開発が盛んな地域では、数多くのAI関連企業や研究機関が集まって連携し合う1つのコミュニティーを形成しています。そのような地域では、AI関連者たちが連携し合うことでAIの要素技術の発展がさらに加速され、AIによる社会の発展に貢献しています。

今回は、世界でもAIの要素技術の開発が特に活発な地域についてまとめていこうと思います。

アジア

日本(東京)

主なAI関連企業:NEC、ディップ、ソフトバンク、富士通

主なAI研究機関:東京大学、東京工業大学、慶應義塾大学、理化学研究

東京はAI関連の企業や大学が集まる、AI研究が盛んな地域です。特に、本郷にある東京大学は松尾豊氏や中島秀之氏といった世界でもトップレベルのAI研究者が集まった研究機関であり、国内のAI研究をリードしています。

また、周囲には卒業生によるAI関連の将来有望なスタートアップが数多く存在します。

先日、AIを生かして起業をしたい人材を育成するAI特化型のインキュベーション施設である「KERNEL HONGO」が創設されました。これは、本郷のAIでの国際競争力をさらに高め、AI研究の中心地とする目的で構想されたものです。

そういったことから、東京でのAIの発展が促進されると予想されます。

中国

主なAI関連企業:Baidu、Aliibaba、DiDi

主なAI研究機関:清華大学、南洋工科大学

中国の特徴は広大な市場です。また、政府がAI研究を全面的に支援しているため、国内のAI分野が急速に発展し、今後は中国がAI界のトップとなるのではないかと予想されています。

特に香港や深圳などの経済特区での開発が盛んで、 バイドゥ(北京)やアリババ(杭州)、Tencent(深圳)といった強大な新興企業が世界を席巻しています。

また、研究においては清華大学が有名です。中国のAIに関する論文の発表数や発明特許の登録数はいずれも2位であり、着々と勢力を伸ばしています。

イスラエル(ハイファ)

主なAI関連企業:Applitools Ltd.、Workey Employees Recruitments Ltd.、Prospera Technologies、OrCam Technologies Limited

主なAI研究機関:テクニオン・イスラエル工科大学

イスラエルは1980年代からITソリューションやソフトウェア系のスタートアップ企業が多数設立されたことで、IT分野での国際的地位を築いていきました。

現在では、イスラエルはそのIT分野における技術力の高さから、「第二のシリコンバレー」とも呼ばれています。イスラエルはAI研究の中でも事業化にて特化した技術の研究に力を入れており、またテクニオン・イスラエル工科大学がAI研究が盛んで、卒業生によるAI関連スタートアップ企業が数が多いことで知られています。

イスラエルのスタートアップには世界からシリコンバレーに次ぐ多額の投資が集まっています。そして、GoogleやApple、Facebookといった有名企業はイスラエルにAI開発の拠点を設置し、現地の人材の活用やスタートアップとの連携によって、AI技術の強化を目指しています。

これらは皆イスラエルが世界から高い評価と期待を集めていることの証であると言えます。

シンガポール

主なAI関連企業:ViSenze

主なAI研究機関:シンガポール国立大学

シンガポールでは政府が率先して、AI研究を促進しています。2018年には今後の5年間で1億5000万ドルもの予算がAI研究のためにあてがわれました。

特に、政府は混雑時の交通整理や金融など最先端の技術力の強化に力を入れており、AIが社会に実用化されてから国民総生産(GDP)の成長率が倍増しました。

また、交通渋滞や高齢化といった先進国の社会問題の解決のために、AIを搭載したロボットの幅広い活躍を目指しています。

台湾

主なAI関連企業:Appier(沛星互動)

主なAI研究機関:台湾大学、台湾人工智慧実験室(Taiwan AI Labs)

台湾では政府によるAI産業育成計画によって、年100億台湾ドル(約360億円)を今後3年間に渡って、AI関連産業に投資する計画が表明されました。

また、台湾は世界的な大手IT企業も注目しています。というのも、台湾はAIやデータ分析に関する専門的な人材が豊富で、他国に比べて人件費が安いという特徴があるからです。また、台湾には台湾積体電路製造(TSMC)やホンハイ精密工業といった大手IT関連供給企業の本拠地であるため、大手IT企業が開発・設計したものをそれらの企業が受注生産する環境が整っています。

そして、台湾は中国に近く、中国進出を狙う企業にとっても魅力的です。

マイクロソフトは台湾にAI研究拠点の設置を計画しています。また、IBMは台湾で100人のエンジニアを雇用することを発表しました。

このように、数々の大手IT企業が台湾進出を企図しており、「AIハブ」としての台湾となることが国内外から期待されています。

欧米

アメリカ(シリコンバレー)

主なAI関連企業:Google、Apple、Facebook、Amazon、 Microsoft

主なAI研究機関:スタンフォード大学、カリフォルニア州立大学(UC)バークレー校

アメリカのカリフォルニアにあるシリコンバレーは世界でもトップのITが盛んな地域として有名です。

シリコンバレーの歴史は第二次世界大戦や冷戦を通して需要の高まったレーダー技術の研究にまで遡ります。ハーバード大学の研究所Harvard Radio Research Lab(RRL)がこの分野の研究を担っていましたが、この研究所の責任者であり「シリコンバレー の父」と言われるフレデリック・ターマン教授がスタンフォード大学に就任した後にマイクロ波の研究に力を入れてスタンフォード大学を発展させました。また、ターマン教授は学生の起業を促進する方針であったことからシリコンバレーに学生によるスタートアップが急増し現在のシリコンバレーの礎になりました。

現在、シリコンバレーにはGoogleやApple、Microsoftといった世界的な有名企業が本社を置いており、世界でもっともIT開発が盛んな地域だと言われております。

また、当地の大学の卒業生には起業を目指す人が多く、AI関連のスタートアップ企業が多いのも特徴です。そのようなスタートアップ企業から将来のGoogleやAppleのような企業が出てくることも期待されており、これからもIT界のトップとしての地位を保持していくと思われます。

エストニア(タリン)

主なAI関連企業:Guardtime、Realeyes、Click&Grow

主なAI研究機関:エストニア大学

エストニアは世界からは「世界最先端の電子国家」と呼ばれています。

エストニアはロシアの支配下にあった時代、ロシアからIT産業を任されていました。そのため、国内のIT産業が発展し、独立後はIT産業によって国の立て直しのために通信インフラやインターネットを構築したことからIT大国としてのエストニアが始まりました。

また、エストニアが電子国家となった背景には、国内にも要因もあります。エストニアは面積は九州と同じくらいですが、人口は約134万人と非常に少く、人口密度が30人(人/㎢)という低さです。そのため、銀行や役所などを実店舗で構えるよりもオンラインで済ませた方が効率的であると言えます。

エストニアはインターネットが社会権として認められており、確定申告や取引も電子決済で行われています。また、小学生からプログラミングやロボット開発といったIT教育にも力を入れていることから、国民レベルでITリテラシーが高いのが特徴です。

また、日本に比べて比較的簡単に起業することができるため、学生の起業への意識が高いのが特徴です。有名な通話アプリ「Skype」もエストニアで生まれました。

また、AIを活用した企業であるRealeyesは広告戦略にパソコンのカメラと機械学習を連動したビデオ視聴者の感情分析システムを活かしたサービスを展開しています。また、AgriTech企業であるClick&Growは自動で水分や光を調節してくれる室内栽培システムを使って健康的で新鮮な野菜を生産しています。

また、他にもブロックチェーン企業のGuardtimeなど多くの有望な企業が生まれつつあり、今後の発展に期待ができます。

フランス(パリ)

主なAI関連企業:Shift Technology、Snips

主なAI研究機関:パリ大学、フランス国立情報学自動制御研究所(INRIA)

フランスはAI技術への需要の高まりから、「AI立国」を目指して、政府がAI研究へ多額の支援をしています。

特に、交通・ヘルスケア分野向けのAIに力を入れ、政府は教育や企業に2022年までに15億ユーロ(約2千億円)を支援すると表明しています。

このようなAI開発に政府が力を入れたことで、フランスには世界中から優秀な技術者が数多く集まっています。そのため、最近ではFacebookやサムスンがフランスに研究拠点を創設しました。日本でも富士通が研究拠点をフランスに創設することを計画しています。

イギリス

主なAI関連企業:DeepMind、Arm、Babylon Healthcare Services Limited

主なAI研究機関:アラン・チューリング・インスティテュート、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学

アルファ碁で有名なDeepMindや先日AI事業の促進のためにソフトバンクが買収したArmを輩出したイギリスも世界のAI界をリードする地域です。

また、国内でもトップレベルの研究機関である「アラン・チューリング・インスティテュート」は研究員150人以上、4200万ポンドもの資金によって創設されたもので、英国のAI開発をリードしています。

また、イギリスでも政府によるAI開発への支援が進められており、2018年には政府が50ものAI関連企業・団体に約10億ポンドもの資金を投下しました。イギリスでのAI産業の高まりから、日本のベンチャーキャピタルである「グローバル・ブレイン」はイギリスに同社初のヨーロッパ支社に設置し、3500万ポンドを現地のスタートアップ企業に出資しました。

まとめ

世界の中でもAI研究が盛んな地域では日々AIの最新技術の開発が進み、AIを活かした事業を展開する有望なスタートアップが数多く誕生しています。

今後、そのような地域はこれからのAI開発の発展を担い、大きな貢献をしていくことが期待されています。

これからのAI関連ニュースに興味があるという方は、ぜひこれらの地域に注目してみてはいかがでしょうか。

岡部 凌生

大学:慶應義塾大学商学部3年
趣味:音楽鑑賞、旅行

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