[HIKE VC NEWS] アルツハイマー病の初期診断を行うAI/採用時の書類選考にAIを使うべきか?/マイクロソフトの配車アプリへ投資


本稿は、サンフランシスコ・東京を拠点のAIスタートアップ特化型シードファンド、Hike Venturesが10/15に配信したメールレターのバックナンバーです。Hike Venturesはアメリカ・カナダを中心に投資をしています。「人とアルゴリズムの協業によって豊かさを生み出すエコシステムpの創出」をモットーにアメリカ、カナダ、日本のシード段階のスタートアップの支援を行っています。バックナンバーはこちら。メール配信を希望の方は、Hike Venturesウェブサイト内フォームより登録お願いします。


 Forbes Japanによると、米国では現在、65秒に1人がアルツハイマー病を発症しており、2050年までには33秒に1名にまで増加し、患者数は現在の推計570万人から約1400万人まで増加すると予想(米アルツハイマー病協会)されています。日本においては、OECD加盟国で人口に対する認知症患者の割合が最も高いとされており、それら患者のうち6割をアルツハイマー病が占めており、今後65歳以上の人口が増えて行く中、介護負担の増大が懸念されています。しかし、残念ながらアルツハイマー病を根本的に治療する方法はまだ見つかっていません。

これまでの研究で、アミロイドβと呼ばれるタンパク質の断片が溜まってくることがアルツハイマー病患者の認知症を招く原因と考えられています。また、アミロイドβの蓄積がアルツマイマー病発症の15−20年前から始まっていることも観察されています。もし、アミロイドβを発症前のなるべく早い段階で察知し、進行を遅らせる治療を開始することができれば、本人と家族の負担を軽減させることが期待できます。

Hike Venturesでは、従来はアミロイドPETなど高価で時間のかかるアミロイドの蓄積検査を目のスクリーニングテストだけで手軽且つ低価格行うことを可能にする技術を開発したOptina Diangnotics(カナダ ケベック州 モントリオール)への投資を行いました。

Optinaは、特殊な光で網膜を撮影するカメラと、撮影された画像をコンピュータビジョンを使って解析するソフトウェアを開発し、これまでの実験では、従来の方法と同程度の精度が得られています。同社は、北米に続いて日本を戦略的な市場と捉えており、米国にてFDA取得後日本における展開も進めていき、たくさんの方に定期的に利用頂ける検査方法を提供していきます!


【トピックス】

気になるニュース

  • Facebookが2020年にAI研究所の人員を2倍にすると発表
    現在同社のAI研究所 ‘Facebook Artificial Intelligence Research’ (FAIR)の社員は180−200名。2014年にGoogleに買収されたDeepMindは、買収時の100名から700名まで増加している。AIのトップ人材を巡って、DeepMindやAmazonを含め他のテック企業と熾烈な人材獲得競争が続いている。
  • Googleが正しい質問を考え出すActive Quextion Answering(ActiveQA)をオプープンソース化
    ActiveQAは、ユーザと既存のQ&Aシステムの間に立ち、ユーザからの質問をどのように言い直せば、Q&Aシステムが正しい回答を返すかを考えてくれる。例えば、以下の例のように、’When was Tesla born?’という質問を’Which year was Tesla born?’や’When is Tesla’s birthday?’といった別のセンテンスも使ってQ&Aシステムへ問い合わせ、最も情報性の高い回答が得られる選択していき、正しい質問の仕方を学習していく。

採用時の書類選考にAIを使うべきか?

Amazonは、大量の履歴書からベストな候補者を絞り込むAIの開発プロジェクトを2014年から行ってきましたが、同プロジェクトを2017年の頭に中断していたことが報道されました。(あくまでも試験的なプロジェクトで実際の採用には参考程度の利用に限られていた)理由としては、過去の採用データを使ってAIを学習させていたため、女性候補者へのスコアが低くなってしまうというバイアス問題があったからです。例えば、“women’s chess club captain.”という経歴や、特定の女子大に関して低く評価されていました。

一方で、多くの企業がAIを使った書類選考に対して前向きな姿勢を崩しておらず、AI選考に対抗するコンサルティングサービスなども出てきています:

  • LinkedInが採用のダイバーシティをサポートするAIツール群をリリース
    • 自社の職種毎のダイバーシティを見える化。業界平均との比較も可能。
    • ダイバーシティを実現可能な地域をレコメンド
    • リクルーターが候補者検索時にダイバーシティを意識した検索結果を表示など。
  • 英国の会社が学生に対して9,000ポンドでAIのビデオ面接をパスできる方法を伝授するサービスを開始。
  • 採用時に差別的な扱いを受けたと感じた候補者(全体44%)中56%の人が、AIは人間よりも先入観がないと信じていると回答

今後、採用・人事関連の課題を解決するスタートアップが沢山登場し、企業の導入検討が進むにつれて様々な議論が沸き起こりそうです。

ボイスファースト

  • GoogleがDuplexのリリースを開始
    今年の春のGoogle I/Oで発表されたDuplexは、ユーザに変わって、レストラン予約の電話をかけてくれる音声AIサービス。まずはNew York, Atlanta, Phoenix, San Franciscoでサービスを開始。レストランには、Duplexが電話していることが最初に説明されます。また、レストランはDuplexからの電話を受けたく無い場合はOpt-outすることができます。

カメラファースト

  • Facebookが3D写真機能をリリース
    ニュースフィード上で写真を立体的に見せる3D写真機能を公開。既に2018年5月のF8カンファレンスで発表されていた機能が、今後数週間以内に全ユーザーが利用可能に。
  • 3Dオブジェクト簡単にスキャンできるアプリ
    Laanlabsがリリース予定の3D Scanner Proは、カメラを向けるだけで簡単にオブジェクトの3Dスキャンが可能。iOS12から新たに追加されたAR Quick Lookにも対応しているので、スキャンしたオブジェクトをメッセージなので簡単に他のユーザと共有ができる。

ヘルスケア

  • スマホのフラッシュとカメラで血圧の変化が分かるiPhoneアプリ
    アプリ名はVitality、開発したのはVital Labs。光電式容積脈波記録方と呼ばれる技術を使い、スマホのフラッシュで人差し指を照らし、カメラで撮影した画像から血管の伸縮を計測。アプリは現在は、ベータで2019年にリリース予定。
  • 慈恵大学病院がDeepMindの乳がん向けAI開発プロジェクトにデータを提供
    提供されるのは、2007年から2018年の3万人の女性から撮影されたレントゲン写真(データは匿名化済み)。DeepMindは、すでに英国からもデータを収集しているが、慈恵大学病院からのデータにより、これまで以上にバイアスのかかっていないAIモデルを開発することができる。
  • Googleが転移性乳がんを発見するAIを開発
    システム名は、LYNA (Lymph Node Assistant)。これまでの実験では、スライドレベルでは99%の精度で発見することができている

IOT

  • スプレー可能なアンテナ
    Drexel大学は、どんな表面もスプレーするだけでアンテナに変えてしまう技術を開発した。従来の鉄製のアンテナよりもパフォーマンスがよく、IoTの軽量化、小型化、省電力化に役立つ上に、インストールが簡単になる。

【調達ニュース】

サプライチェーン×AI

  • Project44 (Chicago, IL) Series C $45M
    世界で175,000の運送会社のシステムと連携し、トラック、貨物列車、輸送船などあらゆる運送手段のプランニング、トラッキング、到着予想を行うプラットホームを提供。
    Sapphire Ventures, Emergence, OpenView, Omidyar Technology Ventures等から調達。
  • Loadsmart (New York, NY) Series A $21.6M
    荷主からの運送依頼に対してトラックを自動でリアルタイムマッチング。荷主から送られてくる運送依頼ドキュメントを自動で読み取る機能などでも機械学習を利用。
    Maersk Growth, Connor Capital, Chromo Investから調達

ヘルスケア×AI

  • Sopris Health (Denver, Colorado) Venture Round $3.4M
    診察中のお医者さんと患者のやりとりを聞き取り自動でテキスト化してくれる。
    Access Venture Partners, Techstars, Cue Capital, Rockies Venture Fund等から調達
  • Deep Lens (Columbus, OH)
    Lab as a Serviceを提供。医療イメージデータをアップロードすると、複数の病気に関してAIの診断を行ってくれる。
    Sierra Ventures, Rev1 Ventures, Tamarind-Hill Fundから調達

旅行・トラベル×AI

  • Hopper (Montreal, Canada) Series D $100M
    ユーザが旅行したい地域のホテルや飛行機のチケットの価格変動をモニタリングし、どのタイミングで購入するのが最もお得かをレコメンドしてくれる。
    OMERS, BDC Venture Capital, Investment Quebec, Citi Ventures, Brightspark Venturesから調達

オートモーティブ

  • Grab (Singapore) Corporate Round $200
    東南アジアの配車アプリのリーダー。今回のマイクロソフトからの出資を受けて、GrabはシステムをAzureへ可能な限り以降し、Azure上のAI製品などを活用する
    Microsoftから調達
  • Aeva(Mountain View, CA) Series A $45M全天候に対応した次世代LiDARシステムを開発。車や通行人の動きを予測するソフトウェアパッケージも提供。
    Canaan Partners, Lux Capitalから調達
  • ClimaCell (Boston, MA) Series B $45M
    ハイパーローカルエリアの正確な天気予報情報を提供。
    Clearvision Ventures, Ford Smart Mobility, Envision Ventures, Canaan Partners, Fontinalis Partners, JetBlue Technology Ventures等から調達
  • RoboSense (Shenzhen, China)  Venture Round $45M
    LiDARとLiDARのデータを処理し周辺を認識するソフトウェァを開発。
    SAIC Motors, BAIC Group, Cainiao Logistics (Alibabaグループ) から調達

マーケティング×AI

  • RankScience (San Francisco, CA) Seed $1.8M
    SEOのA/Bテストの自動化。
    Initialized Capital, BoxGroup等から調達。
  • CrowdRiff (Toronto, Canada) Series A $9M
    旅行サービスに特化し、パフォーマンスの最も高い写真(Instagramへユーザが投稿した写真を含む)を選んで掲載してくれる。
    Leaders Fund, Alpha Capital, Gibraltar Ventures, BDC Capital Corporationから調達

リテール×AI

  • Black.ai (Melbourne, Australia) Seed $1.2M
    店舗内でのユーザの商品のカートへの出し入れをカメラを使ってトラッキング。キャッシャーレス店舗の実現を可能にする。
    Blackbird Ventures, Right Click Capital等から調達

HR×AI

  • GoodTime.io (San Francisco,CA) Series A $5M
    候補者のスキルからインタビューする社員の自動選定やスケジュールの自動調整を行ってくれる。
    Bullpen Capitalから調達
  • ZipRecruiter (Santa Monica, CA) Series B $156M
    ジョブマッチングサイト。
    Wellington Management Company, IVPから調達

不動産×AI

  • Cherre (New York, NY) Seed $9M
    様々な情報元から物件に関するリアルタイムに詳細かつ正確なデータを作り上げる。
    Navitas Capital, iLOOKABOUT, Dreamit Ventures, Red Swan Ventures, Carthona Capitalから調達

エンタープライズ×AI

  • Lilt (San Francisco, CA) Series A $9.5M
    世界のトップ1%の翻訳者とAIを使って短納期&質の高い翻訳業務を行う。
    Sequoia Capital, Redpoint Ventures, Zetta Venture Partners, XSeed Capitalから調達
  • Machinify (Palo Alto, CA)  Series A $10M
    構造化・非構造化されたデータから、AIモデルを自動生成。面倒なデータのクリーニング等を行う必要が無い。
    Battery Ventures, GV, Matrix Partners, DAG Ventures, Benchmarkから調達

コアAI

  • SLAMcore (London, UK) Series A $5M
    センサーデータをアクションが可能な空間データへ変換する。ロボットやドローン向き。
    Amadeus Capital Partners, Mirai Creation Fund, Toyota AI Ventures, MMC Ventures, Octpus Venturesから調達
  • Artificial Solutions (Barcelona, Spain) Series D $15.8M
    会話型アプリケーションを構築するための自然言語インタラクション技術を提供。35言語に対応している。
    投資家不明

【買収ニュース】

  • GoogleがチャットAIのOnwardを買収
  • Magic LeapがメッシュコンピューティングプラットホームのComputesを買収
  • Epic Gamesがゲームのチート防止テクノロジーのKamuを買収
  • ServiceNowが自然言語検索技術を持つFriendlyDataを買収
  • Appleがリアルタイムグリーンスクリーン技術を持つSpektralを買収。(実際に買収したのは去年)

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