10年後には33%の仕事がAIで代替 -ビジネスパーソンへの意識調査-

人工知能技術が発達し、わたしたちの生活にも徐々に変化を与えつつある今、通信教育事業を手がけるユーキャンが、20代〜40代のビジネスパーソン310人に意識調査を実施したと発表しました。

10年後の未来を各自の業務に照らし合わせ、AIやAIを搭載したロボットが台頭する時代に求められるスキルや代替されない資格に関して問うものです。

その結果、10年後には世の中にある業務量の33%がAIなどに代替されると推測されたといいます。記事で詳しく内容を一部紹介します。

また、この調査の結果を踏まえ、ロボット研究の第一人者である石黒浩大阪大学教授がコメントをしています。

石黒教授
 10年後くらいであれば、 ロボットにSF映画に見られるような画期的な発展はなく、 今から多少進むレベルだと思っています。

ロボットとは高度なデータ処理・分析能力を持った自律型機械といえます。 人間には出来ない膨大な量のデータを高速で、 ひたすら処理・分析するのに長けています。 すなわち、 データや検品作業など、 ある意味“単純”な作業はロボットへの代替が進む仕事といえるでしょう。

しかし、 人間がやっている仕事は、 そんなに単純な仕事ばかりではないということを理解いただきたいと思います。 多くの仕事の場合、 10年のうちにその仕事全体がロボットに奪われるということはないと思います。

私は、 あえて「10年後ロボットに奪われない仕事」は何かという問いに答えるなら、 日本社会では当たり前と思われていたようなコミュニケーションを必要とする仕事。 つまり、 カウンセリングのような、 人の心をくみ取りながら、 人と関わりを持っていく仕事だと思います。

「全く代替されない」という回答が40%

「世の中の業務がAIなどのテクノロジーにどれくらい代替されるか」という質問に対し、 平均33.2%が代替されると回答しています。

しかし、「自身の業務が10年後、AIに代替されていると思いますか」という質問に対しては「代替されない」と回答した人が40%に登りました。

石黒教授

10年後、 ロボットに代替される仕事」は必ずあると思います。 データ処理や検品作業など、 ある意味“単純”な作業は、 明らかに人がやるよりも、 ロボットの方が長時間、 疲れることなく遂行できます。

また、 ロボットとのワークシェアは、 すでにある程度進んでいると言えます。 医療の現場では、 ロボットの方が正確に検査できますし、 厨房はロボットだらけという飲食店も増えてきています。

ただし、 それらの仕事の全体がロボットに奪われるということはないので安心してください。 患者さんへのカウンセリングのように人と心を通わせることが必要な仕事は、 これからも人間がすべき仕事ですし、 どんな時も不測の事態に対応できるのは人間だけです。 ロボットはあくまで道具だと考えるべきです。 道具が発展し世の中がどんどん便利になっていくのです。 さらに、 ロボットを上手く活用することで人をもっとサポートしたり、 もっとハッピーにできるような新しい仕事も生まれてくると思います。

AIに対して不安よりも期待が大きいことが明らかに

将来的にAIやロボットなどのテクノロジーが発達し、仕事を代行していくことに対して

「期待している」が51%
「不安を感じている」が30%

という結果になり、期待している人が多いことが判明しました。期待する理由は「人間がすべき仕事に集中できる」などが挙げられました。

しかし、一方で「AIなどについてどれくらい知っていますか」という質問に対して「知らない」と答えた人は54.5%と半数以上に登っており、AIなどに関する知識不足も顕著であると判明しました。「知らない」と回答した人はAIに対する不安も大きいことがわかっており、AIの正しい情報を伝えることが重要です。

10年後までに身に着けたいスキルは「専門資格」「実行力」「論理的思考力」「課題発見力」

10年後、AIなどのテクノロジーが発展する中で身につけたいスキルとして

専門資格 28.1%
実行力 24.2%
論理的思考力 23.9%
課題発見力 23.2%

が上位に入っています。

石黒教授

私は、 ロボットが発展していく中で、 人が身につけるべきスキルはコミュニケーション力やカウンセリング力のような、 人と関わるスキルだと思います。 ですから、 人と関わる仕事やカウンセリング能力が必要とされる「保育士」、 「介護福祉士」、 「メンタルヘルス・マネジメント(R)」がロボットに奪われない資格に選ばれたのは、 納得です。

具体的な例として、 これまで介護の現場では、 食事や入浴といった身体的な補助を提供するのに精一杯で、 カウンセリング的な要素は重要視されてきませんでした。 しかし今後は、 ロボットの活用により身体的な補助の負担が軽減し、 カウンセリングの要素がより重要視されていくでしょう。 対話がない高齢者介護は想像することはできません。 そんなことになれば、 より認知症の方が増えてしまいますよね。

他の仕事でも同じです。 ロボットには、 万人に対してホスピタリティのある仕事は難しいです。 だからこそ、 人と関わるスキルを高めるべきだと思います。 これからは、 人と関わり、 人間関係を深めるようなサービス、 カウンセリングなどの仕事へのニーズが高まってくると思います。

私は、 人が生きているのは人と関わるためだと考えています。 一番の理想は細かい作業は全部ロボットがやってくれて、 人がいろいろな形で人と関わるような世の中です。 そうして、 より“人間”を感じられるような社会になるのではないかと思います。

石黒浩教授プロフィール
1963(昭和38)年、 滋賀県生れ。 ロボット工学者。 大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻・特別教授、 ATR石黒浩特別研究所客員所長&ATRフェロー。 知能ロボットと知覚情報基盤の研究開発を行い、 次世代の情報・ロボット基盤の実現をめざす。 人間酷似型ロボット研究の第一人者。 2011年、 大阪文化賞受賞。 主な著書に『ロボットとは何か』『ロボットは涙を流すか』『人と芸術とアンドロイド』『“糞袋”の内と外』。 哲学者・鷲田清一氏との共著に『生きるってなんやろか?』

 

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