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2019.03.07

【自然言語処理活用事例】作業の効率化、感情理解をする

最終更新日:

こんにちは、AI編集部のぱるです。

以前、「自然言語処理の基礎知識」について簡単に説明した記事をリリースしました。これを読んだ方は、自然言語処理が何なのか、という“技術面の理解”をしていただけると思います。

では、実際にこの自然言語処理技術を活用したプロダクトは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか?

今回は、自然言語処理を活用したプロダクト3つとその導入事例をそれぞれ2つずつ紹介します!

人の判断の手助けをする「KIBIT」

KIBITとは

KIBITとは、株式会社 FRONTEOが提供する人工知能エンジンのことで、人の行動を学び、判断のサポートを行う技術となっています。これによって独自のビッグデータ解析技術を提供し、現在は、弁護士や警察官、医師など、多方面で活用されています。KIBITは、一般的なビッグデータ解析とは異なり、少量のデータから学習し、小規模な設備で膨大なデータを分析・判定することができます

【事例1】レポート作成の効率化

某大手重工業では、経営層が自社事業ドメインの経営判断や業界動向を理解するための調査レポートを定期的に作成していました。しかし、人手での作業であったため、非常に手間がかかることが課題となっていました。

そこで、KIBITをベースにしたアプリケーション『AI助太刀侍』に、熟練マーケターの暗黙知を学ばせて情報の仕分けを行い、最大で10倍の効率向上を見ることができました。

【事例2】顧客の声の分析

某大手アパレルでは、自社ECサイトの商品レビュー投稿欄、ウェブサイトの問い合わせフォーム、コールセンターへの問い合わせなどの様々な顧客の声が社内に蓄積されていました。この膨大なデータを他の部門に送る際、整理をするのに非常に手間がかかっていました。

そこで、KIBITにより、色柄・フィット感・要望・他社比較などの詳細な観点から情報を自動的に仕分け・スコア付けすることで、有益な情報の抽出と効率的な分類が実現されました。また、整理された情報から、顧客の声による商品改善への知恵が見つかり、これまでにはなかった新しい商品開発もできるようになりました。

手書き書類をデータ化する「Tegaki」

Tegakiとは

Tegakiとは、株式会社 Cogent Labsが提供する手書きOCRサービスのことで、申し込み資料や、アンケートなどの様々な手書き書類の文字を高速・高精度に読み取ることができる技術です。平仮名、カタカナ、漢字などの様々な種類の文字に加えて、チェックボックスや複数行の読み取りなど、高い利便性も備えています。また、業界特有の言語モデルと連携すれば、業界用語にも対応させることができます。

【事例1】申込書の入力作業時間を22.2%削減

病院や施設向けのレンタルリネンサプライを行う株式会社カクイックスでは、毎月数千枚以上の手書きの申込書をセールスフォースにて入力する作業により、残業の日々が続いていました。

そこで、操作がわかりやすく、精度が高いことを決め手にTegakiを導入し、効率の良い手書き申込書のデータ化を実現しました。これによって、申込書類の入力時間は、導入前と比較して22.2%削減されました。

【事例2】膨大な手書き採寸データを数分でデータ化

オーダースーツ・シャツのECサービスを運営する株式会社FABRIC TOKYOでは、店舗スタッフが採寸したデータを手書きで帳票にメモしています。その採寸データは、エクセルに平均13~15分かけて手入力が行われ、月間数千件にもなるデータ全体からみると非常に効率の悪い作業となっていました。しかし、採寸は細かい計算を紙で行うことから、手書きで帳票にメモするという作業は維持することが望まれていました。

そこで、手入力した帳票をTegakiを使ってデータ化することで、月間180時間という大幅な業務時間削減が実現されました。

他にも、Cogent Labsが提供する「Kaidoku」についての記事もあるので、一緒にご覧ください。

言葉、意味、気持ちを理解する「TrueText」

TrueTextとは

TrueTextとは、Jetrunテクノロジ株式会社による自然言語処理エンジンのことです。これは、製品レビューの評判解析や、ソーシャルメディア分析、音声認識・画像認識システムなどといった多彩なサービスで利用でき、ビッグデータ解析に有用な各種機能を提供します。

<TrueTextの主な機能>

  • キーワード抽出
  • カテゴリ分類
  • 感情分析
  • 意味解析
  • 読み(キーワードのよみがな返却)

【事例1】「しゃべってコンシェル」「iコンシェル」へ言語解析エンジンの提供

NTTドコモの音声意図解釈サービス「しゃべってコンシェル」にTrueTextの「カテゴリ分析API」と「センシティブ分析API」が提供されています。

音声入力による単語やフレーズを解釈し、ユーザーと多彩な対話を行うために、「複数の意味を持つ単語」や「言葉の揺れの多い口語表現」への解析システムに貢献しています。また、プッシュ型レコメンドサービス「iコンシェル」には、スマホ、フィーチャーフォン共に文書の意味を解析し、プッシュ型のレコメンド機能の基盤として活用されています。

【事例2】「emopa」におけるテキストの解析エンジンの活用

シャープ株式会社のスマートフォン用サービス「emopa2.0」は、スマートフォンから友達のように話しかけてくれるサービスです。

これにTrueTextを活用させることで、emopaが収集したニュースやTV番組情報を解析し、ユーザーの好みに応じた「話すもの」を瞬時に分類・提供しています。

おわりに

今回は、データの分析を行う「KIBIT」、手書き文字をデータ化する「Tegaki」、感情などの情報を取得する「TrueText」といった、それぞれ異なるサービスを提供する3つの技術について紹介しました。これらは、全て「自然言語処理の技術」を用いたプロダクトとしてまとめることができます。

このように、実際に導入された事例を知ることで、自然言語処理は私たちの身近なものに採用され、より良い製品の提供につながっていることが実感できますね。今回の事例以外に、私たちが普段使用している身近な製品にも活用されているかもしれません。皆さんもぜひ、探してみてください。

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