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2021.09.01

AI(人工知能)が発明者として認められる時代に|オーストラリアの歴史的な判決

最終更新日:

オーストラリアの裁判所は、人工知能(AI)が特許出願の際に発明者として法的に認められるという、先例がない判決を下しました。

大したことではないと聞こえるかもしれませんが、人間だけが発明者になれるという法律の基本的な前提に疑問を投げかけるものです。

DABUSと呼ばれるAIは「人工的な神経システム」であり、そのデザインは世界中で一連の議論や法廷闘争を引き起こしています。

2021年7月30日、オーストラリアの連邦裁判所は、「発明者は人間でなくてもよい」という歴史的な司法判断を下しました。

これは、南アフリカで特許当局により司法判断を経ずにAIを「発明者」とした特許が認められた数日後のことでした。

DABUSの発明者スティーブン・ターラー氏と彼の弁護団は、DABUSが発明者として認められるよう、2年以上にわたってグローバル的な宣伝を展開してきました。

DABUSは、特許を取得するために必要な「発明のステップ」を自律的に行うと彼らは主張しています。

ターラー博士は、南アフリカとオーストラリアの判決に満足していますが、彼にとっては決して法的な戦いではなかったと述べました。「それは哲学的な戦いであり、この創造的な神経システムが、認知、創造性、感覚、意識の説得力のある存在であることを人類に納得させることができた。」と語っています。

DABUS問題を主導している英国の弁護士であり、「The Reasonable Robot」の著者でもあるライアン・アボットは、AI・人間の行動と比較して評価する際に、法律上での「ダブルスタンダード」に気いたため、「人工発明家制度」を提唱したいと言います。

「例えば、製薬会社がAIシステムを使って新薬を開発した場合、特許を取得できませんが、人間がまったく同じことをした場合には特許を取得できます」とアボット博士は言います。

従来数日かかった特許調査が数秒で行え、未経験人材でも迅速な権利化が可能になるツール?>>

DABUSの仕組み

DABUSとは、”device for the autonomous bootstrapping of unified sentience “の略で、自動的に発明できるようにプログラムされたシステムです。

技術面においては、切断されたニュートラルネットの「群」であり、「思考プロセス」と「記憶」を継続的に生成し、時間の経過とともに独立的に新しい発明を生成します。

2019年には、DABUSを発明者とする2件の特許出願が、10数カ国と欧州連合で行われました。

1つ目の発明は、「フラクタル幾何学」に基づいた容器のデザインで、積み重ねてロボットアームとして活用するのに理想的な形状だと主張しています。

photo by DABUS

2つ目の出願は、「強化された注意を引きつけるための装置」で、人間の神経活動を模倣した特定のパターンでリズミカルに明滅する光です。

photo by DABUS

アボット博士は、「この判決は、オーストラリアがAIの社会的利益を最大化し、イノベーションを促進するための重要な進展である」と述べています。

AI特許の限界を検証する

ターラー博士の弁護団は、特許制度の限界を検証し、改革を促すことを目的としています。

アボット博士は、「技術が進歩すると、人が自ら発明するのではなく、人が発明できるAIの開発を進んで行うようになり、いい特許制度とは言えません」と述べています。

AIによって自律的に発明されたものであるという理由で、数多くの特許が申請されず、AI投資に不安が生じているケースもあります。

例えば、テクノロジー企業のSiemensでは、2019年に新しい自動車の懸架装置がAIによって開発されたため、特許を申請できませんでした。

同社のエンジニアは、発明の過程で意見を述べたと主張できず、自分たちを発明者として記載できなかったからです。米国では、間違った発明者を特許申請書に記載した場合、刑事罰が科せられます。

アボット博士は、「社会に価値のあるイノベーションを起こすAI開発を奨励する特許制度を望んでいます。」と言っています。

AIが有害な発明を生み出す可能性

AIシステムを発明者や創作者として記載することを認める論拠の一つは、説明責任を果たしていることです。

例えば、特許が承認されて登録されると、公的な登録簿に掲載されるため、誰でも発明の詳細を調べられます。

DABUSの2つの発明は有用なものですが、自律的に発明を行う技術が一般的に普及すればするほど、有益ではない、あるいは潜在的に有害な発明が開発される可能性もあります。

ある評論家は、特許庁がAI全般およびAIが生み出す発明を管理するために、共通のガイドラインを作成することを提案しました。

キャンベラ大学のブルース・ベア・アーノルド准教授は、AIの可能性について、法的・倫理的な議論し、難しい課題への対策が重要だと言います。

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