経営陣が語るDXのポイント:「その仕事は本当に必要か」と問い直すことからDXは始まる

2021/05/17
2022/03/25

この記事は、ディップをけん引するトップたちがDXをどう考え、ディップの未来をどう描こうとしているのかを伝えていく「経営陣が語るDXのポイント」シリーズです。

現在ディップは「Labor force solution company」を掲げており、人とITの力で企業の労働力の諸問題を解決しています。企業のルーチン業務を自動化するRPAサービス「コボット」は2019年の運用開始から6000社以上の導入実績があり、デジタルレイバーの提供にも力を入れています。

一方で、こうした新しい事業の開発や運用、データの管理には常にリスクが伴います。投資判断や戦略・分析の正確さ、コスト削減、セキュリティなどの保守的な面も重要になってくるのがDXです。

ディップでは積極的にDXへ取り組みながら、安心できる基盤環境やシナジー効果を生むデータの利活用も促進しています。

そこで今回の記事では、ディップのDXを支えているCIO・植木 克己にインタビューしました。

植木克己 プロフィール

ディップ株式会社 取締役

<略歴>
大手情報サービス会社に従事したのち、2006年に商品企画本部副本部長 兼 システム企画部長としてディップへ入社。2014年より取締役を務める。

「守りのIT」に求められる考え方とは

「売上に直結する」ディップの情報システムの考え方

――まず所属されている部署やそこでの業務を教えてください。

私が本部長を務める商品開発本部は人材サービス事業のバイトル・バイトルNEXT・バイトルPRO・はたらこねっとの企画や運営、開発などをしています。また、新規サービス開発や社内DXを担う次世代事業統括部や情報システム部も商品開発本部に含まれています。

私たちが担っているミッションは大きく3つあります。

1つ目は人材サービス事業のサービスプロダクトの企画を生み出すこと、2つ目は社内の情報システムをしっかりと回していくこと、3つ目は次世代事業統括部門でやっているような全く新しい取り組みを作り出し、育てていくことです。

なのでCIOという枠に囚われずさまざまな業務に携わっています。

――社内のインフラ整備から社外向けのサービス取り組みまで幅広く関わっていらっしゃるんですね。まず、社内に向けた取り組みについて伺っていきます。ディップの情報システムの取り組みや考え方について教えてください。

会社を東証一部上場企業としてしっかりと回すために社内の情報システムの整備は最優先で取り組んでいます。

ディップは営業が多い会社なので営業の人たちがいかに働きやすい環境をシステム的に支援するかが重要です。通常、情報システムと言うと基幹系がメインで「売上を上げるためのシステムである」という考え方がなかなか定着しませんが、ディップでは売上に直結する情報システムの考え方があります。営業活動にかかる全ての業務を1つのシステム上で運用できるCRMアプリ「レコリン 」を自社で開発し、運用しているのもその一環です。

また、営業に限らず社員全員が効率よく仕事ができる環境を整えることも大切です。社員がお客様であるという考えを取り入れて意識改革をしている最中で、これからもっと推し進めていかなくてはいけません。

「それって本当に必要な仕事なの?」という疑問が地味だけど重要

ディップではいわゆる「攻めのIT」で新規事業の立案や社内のDXを進めてきました。その一方で、セキュリティ面や業務の効率化など「守りのIT」も大きな役割を担っています。

効率化したい・改善したい業務が見つかったとき、闇雲に自動化しようとするのは「あまり意味がない」と植木は語ります。「守りのIT」の視点でDXに取り組む際に意識していることについて聞きました。

――DXを始める時にはどういった視点から考えるのでしょうか。

DXを推進するとき、『煩雑なルーチン業務を自動化していこう、RPA化していこう』と躍起になって取り組みがちですが、それだとあまりうまくいかず、結果として改善できずに終わることがあります。

私たちがとっているアプローチは「なんでその仕事って必要なんだっけ」という疑問から入ることです。その仕事の目的・意義・背景を改めて確認、検討し、必要を感じればフローやプロセスを可視化して効率的な形に組み替えて効率化を図っていきます。

やることは地味ですが、最終的に出てくる成果の大きさが異なってくるので「疑問から入る」というのは重要な考え方だと感じています。部署だけの話ではなく、ディップ全体としても自動化ありきでDX化しないという意識は根付いていると思います。

――実際に行なっている「守りのIT」の具体的な取り組みの一例を教えてください。

セキュリティは先進的なシステムとして、ZscalerとCrowdStrikeを導入しています。

ただ、セキュリティというのは答えがなく、脆弱性とのいたちごっこの面や、セキュリティを高めすぎると社員の利便性が損なわれてしまったりする表裏一体な面もあります。

なので、社員のセキュリティ意識の向上が大事だと考えています。「セキュリティシステムが入ってるから平気だ」という考えではなく、日頃から一人ひとりが気をつけていく必要があります。擬似の標的型メールを送付して社員の対応をテストするなど啓蒙活動も行なっています。

面白いこと・新しいことを始めるのに優れた組織 -アイデアの源泉『次世代』

植木の所属する商品開発本部には次世代事業統括部(以下、次世代)があります。

▼参考サイトjisedai

ディップの「次世代を担う」新規事業・サービスの開発や新規人材の採用企画をしている部門で、学生のインターンも多く所属しています。ここでさまざまなアイデアが生まれ、先進的なサービス、プロダクトの芽を作り出しています。

自由でスピード感があり、「R&D的な役割」を担う部門です。次世代を取りまとめる立場である植木に、次世代の役割について聞きました。

――次世代は社内でどういった存在なのでしょうか。

次世代はパイロット的に新しいこと・半歩先のことを取り組んでいる非常に機動性の高い組織です。

既存の仕組みやサービスを持ち、利益を上げているところの部隊で何かをやろうとすると、どうしても自社競合を起こしてしまったりコンフリクトを起こしたりすることがあります。次世代は、そことはちょっと違った立ち位置で面白いことや新しいことを検討・始めるときに優れた組織ですし、そうしたスキルセットも持ち合わせた人材を揃えています。

――次世代を取りまとめる上で意識されていることはありますか。

彼らが私に話を持ちかけてくるとき、今までの延長線上にないような提案をされることが多いので初めはなかなか理解が追いつかない事もあります。 「レコリン」の提案を最初に聞いた時もそうで、予算承認するまでに多少タイムラグが発生しました。

最終的には「このサービスが社内で何かシナジーを生むのかどうか」、「成功する”におい”がするかどうか」で判断しています。「小さく始め、のちにスケールアップさせる」という彼ら(次世代)のポリシーがあるので、大きな予算を初めから充てることはしません。なので大きく失敗することもない。数を多く打ってもらって、何度も挑戦することができます。

このような新しい取り組みとして「レコリン」などうまくいって効率化を実現しているものもありますが、立ち消えになってしまったものの方がたくさんありますね(笑)

お客様のDXも実現し、双方がハッピーなサービスにしたい

――続いて、社外に向けた取り組みに関して伺います。新しい商品サービスの企画や運営を行なっているということですが、ディップの商品サービスにDXはどう関わっているのでしょうか。

私たちはお客様である企業にもDXを起こそうと導入に向けて積極的に取り組んでいます。

今、バイトルの管理画面で実現していることは人を採用するところまでですが、採用後の従業員の勤怠管理や教育、つまりオンボーディング(従業員を定着させる教育プロセスや仕組み)のところもお客様のお手伝いができるのではないかと考えています。

そこに私たちはDXを取り入れてお客様の業務を効率化しようとサービス検討を初めています。「コボット」(業務の自動化で企業をサポートするディップのサービス)と組み合わせて、採用から教育までを一連のプロセスにしていけないかと検討中です。

従業員の採用や出勤打刻の管理や教育が1つのプラットフォームでシームレスにできるようになれば、お客様も従業員の管理が楽になると思うんです。また、私たちにとってもお客様の従業員の稼働状況などが可視化できれば、提案の幅も広がりますし、いろいろな効率化のご提案が可能になります。双方ハッピーになれるのではないかと思っています。

――DXを社内外で推し進めている今、直面している課題はありますか。

業務プロセスを見直してDXを進めていくと次は「データの壁」にぶつかります。ディップではデータが社内の各部署にまだ分散していたりするため、全社のデータ環境を整備する必要がでてきました。

ディップは潜在的にこうした課題がありましたが、実際にDXが進んでいくとデータがシームレスに使えないことで不便を感じたり、更なる業務の効率化の妨げになっていることでその課題が顕在化してきました。

そこで今期、全社のデータ利活用を推進する「ディップデータデザインプロジェクト」(※)を立ち上げました。データを全社で一気通貫して繋げることでデータドリブンな仕事の仕方に変えていきます。そうすることで顧客の複雑化・多様化するニーズに合わせた提案や「レコリン」などの既存サービスの機能向上が期待されます。

(※)ディップ データ デザイン プロジェクト
社内データの利活用を促進し、ディップの経営、事業、プロダクトの価値を最大化するプロジェクト。現場データや各サイトのデータの統合・分析を行い経営管理や業務の自動化を図るとともに、ユーザーにも最適なWebサービスをデータドリブンで提供することを目指しています。

ディップにおけるDXの現状と今後

――ディップのDXの取り組みの現状をどう感じていらっしゃいますか。またこれからどのようにDXを実現していきたいですか。

紆余曲折しながらみんなで知恵を絞って、一歩一歩着実な取り組みをしてきたと思っています。

私はディップに入社して16年目ですが、入社当時はまだまだIT活用が機能していない会社でした。

当時、「夏になるとネットワークが不安定になるんです」と社員に言われるようなことがありました。データセンターに行ってみると熱溜まりみたいな場所が発生していて、それがネットワーク機器に悪影響を与えていました。そこでまず行ったのはサーキュレーターの設置。その後データセンターを移設した、というのが私のディップでの最初の仕事です(笑)その当時からすれば比較にならないくらいIT面でも大きな大きな成長を遂げていると実感しています。

社内業務を自動化ありきではなく、本当に必要な仕事なのかを検討するアプローチから入ることで社内の効果的なDXを推進し、営業で売上を上げるためのDX(「レコリン 」)を開発・運用、今では社内での経験を活かしてお客様に対するDX提案・サービスを提供するDX事業部も大きな成長を遂げています。

これからさらに活動を進めていく中で、やはりデータの利活用というところでさらに1段越えていかなくてはいけませんし、お客様のDXも大いに推進していきたいですね。

――次から次へとやることが盛りだくさんですね!まだまだ成長していくディップをDXで支える役割は非常に重要であることがわかりました。ありがとうございました!

「経営陣が語るDXのポイント」シリーズ

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