経営陣が語るDXのポイント:「DXは売ってからがスタート。」顧客へのアプローチからビジネスモデルまで変えていくDXの進め方

2021/09/17

この記事は、ディップをけん引するトップたちがDXをどのように捉え、ディップの未来をどのように描こうとしているのかを伝えていく「経営陣が語るDXのポイント」シリーズです。

ディップは「カケザンプロジェクト」や営業支援アプリ「レコリン」など、社内業務の自動化やDXを進めてきました。そして現在では、お客様に対してもデジタルサービスの提供を開始し、特に中小企業のDXを推進しています。デジタルレイバーの提供による業務の自動化や、どこよりも早く採用が決まる求人サービスを目指した改良などが行われています。

ディップでは2019年よりDX事業本部を立ち上げ、その取り組みを加速させています。

今回の記事では、2019年1月にディップに着任しDX事業の立ち上げを担った執行役員 DX事業本部本部長・三浦 日出樹にインタビューしました。

三浦は長年IT業界で新規事業の立ち上げやビジネススキームを作る業務に携わってきました。一見DXとは関わりのないような求人事業を行なってきたディップで、三浦はどうDX事業を立ち上げたのか。他事業部との連携の取り方やニーズを理解するうえでのポイントについて語ってもらいました。

三浦 日出樹 プロフィール

執行役員 DX事業本部 事業本部長 2019年1月入社。モバイルコンテンツに携わり、長きに渡りIT業界に従事。2017年フィンテック系ベンチャーを創業。その後、ディップでの新規事業の事業部長として入社し、現在は執行役員 DX事業本部長を務める。

ディップの強み弱みを分析、理解することで始まったDX事業

――現在の三浦さんのDX事業本部での取り組みを簡単に教えてください。

私はディップに入る前から新規事業の立ち上げを複数の会社で行なってきました。新規事業を立ち上げることは会社がやることではありますが、やはり誰がやるかにかかってくる面が大きいです。社長からは「全面的に事業のやり方・中身は任せる」とおっしゃって頂いています。なので私のこれまでの経験を活かしながらディップの強み・弱みを分析し、それに最適なビジネスモデルを試行錯誤しながら設計しているところです。

どの事業も立ち上げるときが1番難しいです。ディップもこれまでさまざまな挑戦で新規事業や商品開発を行なってきたようですが、私が聞く限りでは大きく成功したものはほとんどなかった。それは決して商品が悪いのではなく、ディップの強み弱みを理解しておらず、ビジネスモデルを構築できていなかったからだと考えています。そこのサイクルを私たちの事業部で動かす取り組みをしています。

――ディップの強みの1つには社員の7割を占める営業の力があげられると思いますが、DX事業を行ううえでこの営業力はどう作用していますか。

営業はたしかにディップの強みであると思いますし、今の事業が立ち上がった1つの大きな要因だと思います。

商品をしっかり売るには、顧客のニーズに合っているものを顧客が払える価格帯で導入し、カスタマーサクセスまできちんとトータルで提供できなくてはいけません。なので営業が強いというのはディップにとって非常にプラスです。

その強みにビジネスの仕組みを私たちが合致させたから現在うまく事業が進んでいます。営業だけでも限界があっただろうし、私たちだけでやっていてもうまくいっていなかっただろうと思います。

DX商品は売ってからが始まり

――DX事業と従来の求人広告事業とではビジネスモデルや顧客との関わり方はどう変わってくるのでしょうか。

従来は「決まったものを決まったように売る」という売り方でやっていましたが、私たちがやりたいのは「お客様の困ったことを聞き出してそこにソリューションを当てはめていく」という売り方なので、プロセスが全く逆になります。販売の仕組みや顧客へのアプローチの仕方などを変えていくことは非常に大変ですし、今も道半ばです。

また、ディップの営業というのはこれまで売って終わりでした。ですが私たちのサービスは売ってからがスタートです。
人材のフロービジネスというのは景気変動を受けて変わってきます。求人広告などのメディア事業は、景気が悪くなると「今はいらない」と顧客に言われて売上が立たなくなります。けれどもDX事業はストックビジネスで、継続的に使うビジネスです。ディップとしてはフローの積み重ねだった一般的なビジネスモデルから、ストックビジネスでも売っていくという形に変わることで経営の安定性やバランスもよくなります。

目の前の1つの受注の売上を最大化させるのではなく、顧客とのビジネス期間を長く、そしてアップセル(上位サービスへの乗り換え)することでライフタイムバリューをあげていくことを考えています。

ヒアリングを通じて顧客の「真の」課題を探る

「カスタマーサクセスこそがDX事業の要」と語る三浦は、新たな商品を検討する際の仮説出しや商品のUI/UXなどを自らもチェックしています。顧客の課題発見から商品化、事業化するまでの過程にはどのようなポイントがあるのか聞きました。

――新たな商品開発をする際の顧客の情報や意見の収集はどのように行なっているのですか。

顧客へのヒアリングは今DX事業本部で全て行なっています。
まずヒアリングは仮説がないと成り立ちません。なぜかと言うとそもそも顧客である中小企業の方たちはほとんど課題と感じていないからです。顧客に何か課題はありますか、困ったことありませんかと聞いても出てきません。

この業界・業種で困っている、手間がかかっていることが何であるのか、現在どういう状況なのか、それはDXで解決できるのではないかと考えながらヒアリングしています。つまり、僕たちのヒアリングは仮説の検証のようなことをしています。

仮説の精度が高ければ高いほどヒアリングの精度も高まります。DX事業本部の商品企画部の中にはヒアリングを行う専任のチームを作っています。優秀なメンバーは全員そのチームに入れているので徹底したヒアリングこそが私たちの事業のコアコンピタンスになると思います。

――具体的な事例を聞かせてください。

「面接コボット」は良い例です。面接コボットは採用管理システム(ATS :Applicant Tracking System)で、他社もたくさん作っています。他社のATSには月額10万円で機能が10個ほど搭載されていたりしますが、実際には使いこなせてないのではないかと考えました。

そこで私たちは『おそらく資金が潤沢にある超大手企業以外は、ATSの値段や使い勝手に課題を持ってるだろうし、 忙しい店長はパソコン対応のみだと管理画面をいちいち確認できないのではないか。』という仮説を立てました。
つまり月額3万円程度で、機能は10個ではなくて本当に必要な機能に絞り込み、スマホにも対応できるようにすれば他社のATSに負けることなく売り出せるのではないかと考えました。

実際に飲食店の店長などにヒアリングをしてみると、忙しくて応募者の対応や面接の時間が取れないことは本質ではないとわかりました。1番困っていたのは「応募者に電話したけど出ない」ということです。たしかに面接の日程調整は応募者が電話にさえ出てくれたら解決する話です。

なので最初に私たちが出した「面接コボットライト」という商品は、今の面接コボットのようにマッチング機能もなく、日程調整の機能もありません。唯一あるのは「お店の店長から何時に電話があったら出られますか」と聞く機能だけでしたが、これが一番店長の心に刺さったんですね。

またスマホ対応にする際には片手でタップできる位置にボタンを置きました。きっと忙しい店長は右手で何か作業しながら左手で管理システムを使うだろう、と。そこまで考えて設計しています。

当初、営業にこの面接コボットを説明したところ、中小企業はATSなんて使いませんよと言われましたが今では1万社以上に面接コボットを利用してもらってます。

人が使うものですから人の気持ちが分かってないままに開発したり営業していても有効ではありません。顧客との対話で本質を理解することが重要です。

――ユーザー中心設計における柱がしっかりあるからこそDX事業や商品開発が推進できているのですね。

シームレスなデータ活用で新しいサービスの利用を促進する

――現在DX事業本部でも営業を抱えながら事業を回しているとのことですが、今後事業が拡大していく上ではメディア事業部の営業の社員もDX事業の営業やヒアリングができる体制にしていくのでしょうか。今後やりたいこと、規模を大きくしていくための取り組みについて教えてください。

事業全体を考えた時に、メディア事業部の営業社員が全て売ることが本当に効率がいいのかどうかは検討しているところですね。彼らがクロージングできる商品が増えれば増えるほど 全体として効率が上がると思いますが、現実としてあれもこれも売ってくれとお願いしても彼らが手一杯になってしまいます。

なので単に商品を増やしたり単品売りにするのではなく、例えばバイトルと面接コボット に人事労務コボットをくっつけて1パックのように売ることができれば売りやすくなると考えています。

「営業に営業をさせずに売っていく」ということも考えていて今水面下では動き出しています。

DX推進担当というのを各本部に2、3名ずつ配置して、その社員たちが代わりに商品概要を説明してくれていますが今のこのやり方もいずれ限界が来るかもしれません。次の仕組みを考えていかなくては単純に商品を増やしても売れなくなってきています。

中期経営計画で掲げたDX事業での売上目標は現在の10倍です。営業を10倍に増やしたり営業一人当たりの売上高を10倍にすることは不可能なので、こうしてITの技術で仕組みから変えていく必要があります。

――「不動産コボット」など採用業務や人材業界とは異なる業界のRPAサービスも展開していますが今後も他業界へ向けたサービスの拡充は考えていますか。

もちろん取り組んでいきます。ディップが次の柱でやっていくとしたらおそらくセールステックです。営業というのは業界関係なく存在します。うまくいっているこの仕組みを横展開していくのが次の動きになると思います。

DXで失敗しがちな主な理由は、IT技術の操作や情報管理が得意でなかったり予算が少ない中小企業に従来の商品をそのまま売り込もうとするからです。ビジネスモデルの構築から入っていくことで他業界でも使ってもらえるような商品を展開していきたいです。

――最後に、競合とのマーケット争いもある中で三浦さんがこれからやっていきたいことを聞かせてください。

現在売上の約半分が面接コボットで一本足打法になっています。なので次のヒット商品を出したいですね。今準備を始めています。売れる商品を出すことでディップ全体の事業の勢いをあげていきたいと思っています。

――ありがとうございました!

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