経営陣が語るDXのポイント:「やってみよう」 CBO岩田が語るDX時代の営業組織とは

2021/06/11
2021/08/02

この記事は、ディップをけん引するトップたちがDXをどう考え、ディップの未来をどう描こうとしているのかを伝えていく「経営陣が語るDXのポイント」シリーズです。

ディップの創業は1997年、約20年にわたり市場の変化に対応し成長してきました。電話からWebへ、携帯からスマートフォンへ、テキストから動画へ。こういった変化と成長の根本には、営業組織のたゆまぬ変化への努力がありました。

また、ディップの営業が使うツールも進化しており、独自のCRMアプリ「レコリン」が活用されています。顧客探索と商談入力業務にかける時間を従来の半分、年間で約60,000時間以上を削減することに成功しました。

今回は、長年営業のTOPとして活躍しているCBO(Chief business Officer)・岩田 和久に、DX時代の営業組織や過去のストーリーについてインタビューしました。

岩田 和久 プロフィール

ディップ株式会社 取締役 CBO(最高事業責任者)
<略歴>
広告代理店勤務を経て、2000年に当時社員10名程であったディップのビジネスモデルに可能性を感じ、入社。メディア事業の第一人者としてディップの草創からの急成長を牽引。

20年間に渡り市場の変化に対応したディップの営業組織

紙媒体ではできないことを

――競争が激化していますが、岩田さんは20年以上にわたり、どのように変化に対応してきましたか?エピソードを交えて教えてください。

紙媒体が中心だった時代に、紙媒体ではできないことをネット上で実現したことがディップの成長の源泉でした。

20年前は紙媒体が中心でしたが、ホワイトカラーの企業からWeb化が進んでいき、一方で現業系を中心とした有期雇用はそのWeb化が最後まで遅れていました。新卒や中途採用のサイトは、PCを中心にWeb化が進んでいましたが、当時はPC環境を持たない企業様やユーザーが多くいらっしゃいました。そのような中、ディップは「携帯からスマートフォンへ」という潮流を逃さずに、スマートフォンに集中して戦略を立てて実行していたので、変化に対応できたのではないかと思っています。

大きなターニングポイントで言うと、動画を載せたことですね。Web化が進む中で、さらにその先へ行こうと考えた結果、冨田社長の発案で動画を活用することになりました。当時は動画を撮影し、公開するまで大きなハードルがありました。しかし、ユーザーの視点に立ち、サービス内に動画があるのとないので、どちらの方が満足度が高いかと考えた時に、動画の必要性を感じたので、思い切って乗り出すことにしました。

私たちは、紙からネットに移行した際に、紙に掲載されていた情報がネットに移行しただけではなく、さらにその先を考え抜き、実行してきました。紙媒体からWeb化に対応した1次発展、今は1.5次発展の段階にいるので、2次発展に向けてこれからの市場の変化に合わせてやるべきことがたくさんあると思っています。

――変化に対応する上で、大変だったことや苦労されたことはありますか。

動画のように新しいサービスを始める場合、ユーザーに1番理解していただく必要があります。どうしても新しいことには抵抗がありますよね。動画サービスを出した当初は、多くのお客様が「おそらく活用した方がいいとは思うけど、周りがやっていないからどのような効果があるかわからない」という状況でした。そこを「一緒にやりましょう」と説得することが、一つのハードルでした。

動画のサービスがうまくいったポイントとしては、組織として営業を突き動かしたことが大きな要因だったと思います。営業に「絶対あった方がいいですよ、やりましょう」という気持ちがないと、お客様の気持ちを動かすことはできません。営業一人ひとりをその気にさせることで、お客様の行動を変化させることができるのではないかと思っています。

――対面でお客様に熱意を伝えて、説得したことが鍵だったんですね。コロナ禍でお客様とのやり取りが変化してきていると思いますが、いかがですか。

コロナ禍で、オンラインでの商談も普及しました。今後の情勢次第ですが、オンラインと対面の2つをうまく使い分けできたらいいと思っています。お客様によっては、事前にお伺いする時間が決まっていたけど、当日行ってみると忙しくてお話しできないこともあります。オンラインでのコミュニケーションができるようになったことで、「今から30分大丈夫です」というお客様にも対応できるようになりました。

今、社内でDXの取り組みが進んでいます。オンラインで営業できたり、レコリンを活用したりなど、1.5次発展の段階でも営業が効率的に動ける仕組みが整い始めました。

今後もお客様のご都合に合わせて、オンラインと対面を使い分けて、柔軟に関係性を構築してきたいと考えています。

市場に合わせて変化し続ける

――岩田さんほどの立場の方になると責任も重く、変化に対して、意思決定する難しさがあると思います。なぜ岩田さんは、責任を全うしながら変化することができているのでしょうか。

同じ土俵に競合企業がいる中で、ディップは現状に疑問を持ち、どのように変えていくかを考え、既存のルールに捉われず、新しい企画やアイデアを全力でカタチにし、価値を見いだしたことが大きかったと思います。100%の確信を持つことはできませんが、現状維持のままでも、競合他社との差が広がるだけですので。

新しいルールを作る時もユーザーファーストを忘れずに、こう変えたらお客様が喜んでくれるのではないか、ユーザーが使いやすくなるのではないかということを常に念頭に置いていました。

新しいルールができたり、社内で新しい動きが起こった時、私はメンバーに「これを実行することによって、お客様にとってこんないいことがあり、目指すところにより早く到達するためにみんなで決断して、一緒に取り組もう」と理解、納得してもらい、組織を動かしてきました。

――メンバーからの理解が得られたため、営業組織全体で足並みを揃えて、変化に対応できたんですね。その点で言うと岩田さんは「組織の変化の重要性」は大事なポイントとして捉えているのですか。

必ず変化する必要はありませんが、必要だから変化してきたし、今後もそうしていかなければならないと思っています。例えば、変化しなくても、このままいけばあと数ヶ月でゲームに勝てたり、競合を追い抜かすといったケースもあると思います。
しかし、20年前のディップとリーディング企業との差を見た時に、どうしたら追いつけるか、スピードを上げていけるかと考え続けていたため、組織全体が変化していきました。

ディップは、今後もより早いスピードでお客様やユーザーの支持を集められるように、変化を起こし続けていきます。私たちが変化することによって、競合他社のアドバンテージに取って変わることもあるかもしれません。20年前に比べても大きく変わりましたが、もっと変化が必要なのではないかと思います。

「やってみよう」から伝播するDX

――現在、岩田さんはCBOとしてどのようにDX推進に携わっているのですか。

私の関わり方としては、「やってみよう」と言っています。これをやれと言うよりも、現場から上がってきた声や感想、障壁などに対して改善策を練って新しく提示することが、私の担うべき役割だと思っているからです。

DXという言葉には、色々な捉え方があると思いますが、営業組織では、ITツールが入ることにより、効率化されたり、営業一人ひとりの改善点が見えたりなど、仕事の進め方が格段に進化しています。しかし、先ほど、1.5次発展というお話をしましたが、ITツールを活用して生産性が跳ね上がる段階まで、まだ到達していません。DXの取り組みにより削減された時間がユーザやお客様に充てられ「こんなシゴトと出会えた」「ここまでフォローしてくれるんだ」という2次発展までには、もう一踏ん張りする必要があります。

――約1,500人の営業チームでDXを推進するために、「営業DX課」が大きな役割を果たしているのでしょうか。

営業DX課は、2020年の下期に発足した、営業がDXを企画し推進する組織です。

会社の規模が大きくなったため、プロジェクトを横断的に推進していたり、各所の課題を吸い上げて、改善につなげています。事業部ごとで事情が変わるため、営業のしかたも異なっていたり、出てくる課題もさまざまです。ですので、横断できるチームを設けました。事業部ごとに解決策を与えて、どれほど機能するのか、まだ検証中ですが、今後、社内DXのプロジェクトに深く関わってくると思います。

岩田が目指すディップの営業組織

――これからさらに組織をどのように進化させていきたいと思いますか?岩田さんが目指すディップの営業のあり方や体制について教えてください。

今、ディップのサービスでは、他の求人情報サービスに掲載されている町の大将がやっている寿司屋が出なかったり、大手ハンバーガーチェーンはあるけど、地域で食べログ4.0のハンバーガー屋さんは出てこないということが起こっています。中堅・大手のお客様のシェアが取れているのですが、逆を言うと、その点で他社のサービスと差がついているということです。ですので、今後は、そのようなお客様とコミュニケーションが取れるように、組織を改革していきます。

今まで、1社のお客様に対してディップの営業1人でお客様とコミュニケーションを取ってきましたが、さらに満足度高くご利用いただくために、1社に1人ではなく、2人、3人が担当することで、お客様と適切な接点を作り、他社のサービスで手に入らない情報を伝えていくことに着手していきます。
また、今社内で取り組んでいるデータDXをさらに進めることで、データをもとに新たなお客様と接点を作っていけるのではないかと考えています。その点をDXには期待しているし、営業組織としても活用するために変化していきたいと考えています。

「経営陣が語るDXのポイント」シリーズ

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