請求書郵送に終止符を。リリース直後から効果を生んだ電子請求書導入の成功要因とは

2021/07/02
2022/02/14

【森田愛美 プロフィール】

経営統括本部経理財務部業務管理課 リーダー
全社の売上に関わる請求発行から入金管理までを一貫して行う。

「バイトル」「はたらこねっと」などの求人サイトを展開しているディップでは、毎月大量の請求書を発行しています。
以前はこれらの請求書を全て手作業で封入し郵送していましたが、工数増大などの課題があったため、電子請求書導入プロジェクトが立ち上がりました。先日、電子請求書の導入が完了し、さっそく工数削減などの効果を生んでいますが、そこまでの道のりではさまざまな困難や工夫があったそうです。
今回はその電子請求書導入プロジェクトを主導した森田に話を聞きました。

大量の請求書の郵送業務で膨大な工数がかかっていた導入前

――導入前の状況、運用方法を教えてください。

業務管理課では、毎月約18,000枚の全社分の請求書を発行・発送しています。
WEB請求書導入前は速達や同封といった発送方法ごとに請求書を振り分けてから印刷・紙折り・封入封緘を行い、郵便局に出すという流れで発送するため、発行~発送に毎月660時間以上かかっていました。

――どのような課題をお持ちでしたか。

まず、1日で約7,000通を発送することもあり、工数が多く時間がかかることが課題でした。業務改善など新たな施策を行う時間を十分に取るためにも、工数を削減したいと思っていました。

そして、郵送の場合クライアントに届くまでに1~2日かかるため、発送スケジュール外の発行や速達発送等の個別対応も多数発生していました。
その一方で、クライアントの請求書紛失や、住所不備による不着等も毎月起こっており、修正や再発行の処理に、営業~事業管理~業務管理と各部署に工数がかかっていました。

――システム導入検討の経緯について教えてください。

コロナウイルスの影響でテレワークが推進される中、請求書の発送についてはどうしても出社が必要でした。
ディップが紙で請求書を発送しているということは受け取る側のクライアントも同じく出社が必要です。
場所を問わずに発送と受け取りが可能な仕組みの必要性を感じていたため、前述の課題の解決も見込んで電子請求システムの導入を実施することにしました。

使い勝手の考慮はもちろん、今後も見据えたシステム選定を

――どのシステムを選びましたか。

楽楽明細を選定しました。

――そのシステムの選定のポイントになったところはどこですか。

一つ目は、クライアントのユーザビリティの高さです。
せっかく電子請求システムを導入しても、クライアントに利用していただけないと意味がありません。
できるだけ多くのクライアントに電子請求に移行してもらうため、スマートフォン対応などクライアントマイページの使いやすさを重視しました。

二つ目は自由度の高さです。
事業の拡大に伴って商品が増加していく中で、商品特性に合わせて自由にいくつものフォーマットを作成できることもポイントになりました。実際にこれまでひとつひとつ手作業で作成していたような請求書も簡単に発行できるようになりました。

三つめは債権管理の強化ができることです。
請求書を確認していない場合、入金遅延が発生する可能性が高くなるため、請求書をクライアントがダウンロードしたかどうか及びダウンロード日時の確認ができる点もポイントになりました。

何度もテストを重ね、クライアントに寄り添ったシステムの開発を推進

――どのような体制で取り組みましたか。

業務管理課がPMとなり、dip Roboticsや社内のバックオフィス系部署と密に連携しながら進めてきました。

――本取り組みで困難だったことについて教えて下さい。

どれだけ電子請求に移行できるかが今回のプロジェクトの最大の課題でした。
WEB請求書の利用には、初回のみクライアントに登録手続きを行っていただく必要があります。
一度登録していただければその後は自動的に請求書が各クライアントの専用ページに反映されるため、できるだけ多くのクライアントに登録手続きをしていただけるような案内の仕方とフローについて比較・検討を重ねてきました。

――どのように問題解決しましたか。

申込をWEB上で行っているクライアントに対して優先的にアプローチし、申込送付時に利用しているアドレス宛に案内を送付することにしました。
部内のメンバーにも協力を仰ぎ、案内メールを受け取った後の登録フローを何度もテストすることで、クライアントが混乱せずスムーズに登録できるようなものを作成しました。
また、事業部ごとに契約形態の特性があるため、チーム内で担当を持ち各事業部と連携して対応方法を検討することで全社でのリリースを迎えることができました。

リリースからわずか三週間でさっそく見えた効果。さらなる導入促進へ。

――現在の運用を教えてください。どのような利用方法をしていますか。

WEB上で申込が発生したクライアントに対して週次で案内メールを送付し、リアルタイムで登録状況を反映させて、発送方法を判別しています。
リリースからまだ3週間ですが、すでに約5,000件のクライアントが電子送付に賛同してWEB請求書へ登録してくださっています。

――どのように課題が解決されましたか。

まず、発送作業が「CSV取込→承認」のたった2工程で完結するようになりました。
6月の大量発送日(約7,000通/日)では30%のクライアントにWEB請求書をご利用頂き、
当日の作業時間を2時間30分削減することができました。

そして、クライアントマイページへの即時反映と1年間のデータ保存機能により、遅着、不着、紛失の発生率も0%にすることができました。

――導入してよかったと思う点や便利な機能があれば教えてください。

前述の選定ポイントにもある「自由度の高さ」は、フォーマットだけでなく項目や所持できるデータの種類も幅広く、発送に関わる前後の業務も含めて、今後も様々な改善や施策が打つことができるという意味で大きな利点でした。
便利な機能としては、「クライアントマイページ統合機能」を用いることで社内都合で複数請求先を利用する企業に対し、無駄なログイン・ログアウトの工程を省くことができ、ユーザビリティUPに繋がっています。

――運用上で生じている課題などはありますか。

従来通り郵送での請求書送付を希望されるクライアントが一定数いらっしゃいます。ディップのようにDX化が進んでいる企業ばかりではないので、懸念点を払拭しメリットを伝えていくことで、今後そういったクライアントにも電子請求へ移行していただきたいと思います。

電子請求をスタンダードにしていく。森田の描く今後の展望

――今後取り組みたい改善はありますか。

電子請求への移行率をさらに向上させ、電子請求をスタンダードとした請求書の運用を確立していきたいです。
特に請求書発行後の営業・事業管理の確認や依頼フローを改善することで各部署の工数を削減し、全社の生産性向上に貢献していきたいと考えています。

ありがとうございました!

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