新規事業をディップの柱に。全社からアイデアの原石を発掘する、dip2025アクセラレーターの仕組みを大公開

2021/07/14
2022/02/14

今里順平 プロフィール

経営統括本部 経営企画部 経営企画課チーフ
dip2025(中期経営計画)の事務局運営、新規事業開発(ソーシング、出資までのPM)、インサイダー情報の管理、経営会議事務局の運営などを行う。

社内での新規事業開発を本格的に開始するにあたり、始動したのがdip2025アクセラレーターです。全社員が応募可能な育成型の起業支援制度で、第1期では1000件以上の応募を集めることに成功しました。
今回はそんなディップのアクセラレーションプログラムを主導した今里に話を聞きました。

社員の中で眠っていたのは1200のアイデア、新規事業をディップの第三の柱として確立していく

――導入前の状況を教えてください。

ディップの新規事業は次世代事業統括部であったり、事業本部長以上の方々が発端となるものが中心でした。

――どのような課題をお持ちでしたか。

新規事業開発を成功させるためには、「量」がとても大事です。施策前の状況ですと、数か月、半年に一度と数がとても少なく、どれも成功するという訳ではないので効率がとても悪いです。

そんな中、現場レベルで素晴らしいアイデアが生まれていたとしても、吸い上げる仕組みが無いので、会社としても機会損失になりますし、アイデアを思い付いた社員にとっても貴重なキャリアのステップアップ機会を失わせたことになります。

――施策導入検討の経緯について教えてください。

dip2025で掲げた、2025年に売上高1000億円企業を達成するためには、既存の人材サービス事業とDX事業に並ぶ第3の柱が必要でした。新規事業をその第3の柱として確立するための一つの施策として動き出しました。

アイデアの「数を増やす」×「質を高める」で新規事業の成功数を増やす

――今回の施策のポイントになったところはどこですか。

dip2025をまとめる段階で社員のやりたいことなどを公募してみたときに、そこに多くのアイデアの種があることに気づきました。社員から1200ものアイデアが集まったのです。

そこで、社員なら誰でも簡単に応募することが出来るようにして、アイデアの原石が埋もれないような施策を目指しました。これにより新規事業開発の数を増やそうと考えました。

また、選出後はメンターが伴走しながらアイデアのブラッシュアップ(育成)をしていくようにして、一つひとつの新規事業の種の成功確率を高める仕組みづくりを進めました。

――どのような体制で取り組みましたか。

事務局は経営企画部側で行い、メンターはAIスタートアップ向けのAI.Accelerator、学生起業家向けのGAKUcelerator -ガクセラレーターを運営している次世代事業統括部にお願いしました。

――本取り組みで困難だったことについて教えて下さい。

まず、募集アイデアに偏りがあることが悩ましかったです。ディップの事業の特性上、人材サービスをテーマにしたアイデアが生まれがちですが、事務局としてはDXやSDGsなど、既存の人材サービス事業や枠組みにとらわれない幅広いアイデアが欲しかったのです。

また、採択後の事業の進行スピードが思うように加速しないのも悩みでした。中には営業と平行してやる人も多いため、忙しくて中々進まないといった課題がありました。

――どのように問題解決しましたか。

一つ目の応募アイデアの偏りがあるという課題についてですが、これは長期的に解決していく問題だと認識しています。もちろん人材サービス関連のアイデアの採択も行いますが、それ以外のアイデアも積極的に採用していくことで、長期的に全社の従業員が「人材サービス以外でもいいんだ!」と考えるようになり、普段からアイデアを考える際にも固定観念にとらわれない柔軟な発想ができるようになるのではないかと考えています。

具体的には以下を実施予定です。
・新規事業のつくりかた講座を開いて、アイデアの出し方を学んでもらう
・事務局側から求人以外のテーマ例を投げかけて、求人バイアスに引っ張られないようにコントロールする

二つ目の課題に関しては、採択後のプロジェクトの進行体制を見直すことで改善できないか現在模索しています。例えば、経営企画課がプロジェクトチームに加わり、社内調整やTODOの進捗管理など、プロジェクトを進行するうえでボトルネックとなっていることをサポートできないかというのも一つ検討台に上がっています。

予想以上に多くのアイデアの原石が集まった第1回

予想以上に多くのアイデアの原石が集まった第1回

――現在の運営方法を教えてください。どのように実施しているのですか。

まずはSlackでアイデア募集をしています。Slackで気軽に応募できるようにすることで、応募のハードルを下げています。そこから優秀アイデアの選定、その後数回のピッチを通してさらに厳選したうえで、最終的に社長へのピッチの場を設けるという流れにしています。

――実施してみてどのような結果でしたか?

予想を上回り新規事業のアイデアは沢山集まりました。
第1回目のアクセラレーターでは、1,200件の応募、13名が予選を通過し、3回のピッチを通して最終的に4件が採択されました。
第2回目では、154件の応募、8名が予選を通過し、現在採択に向けて奮闘中です。

――導入してよかったと思う点があれば教えてください。

新しい事に挑戦し続けることは人々の幸福度を上げることに繋がると個人的に思っているのですが、dip2025アクセラレーターの実施によって、その機会を全従業員に等しく提供できていると考えています。

会社にとっての機会という観点で見た時も、社員の中で眠っているアイデアの原石を掘り起こすというのは非常に価値があり、意義深いものだと感じています。

今後は採択されなかった人にも成長環境を与え、再挑戦する機会を設けていきたい。

――今後取り組みたい改善はありますか。

社長ピッチで選出されなかった方々に対して、継続的に育成プログラムを施して、チャンスを再度与えていくような仕組みづくりを進めていきたいと考えています。

ありがとうございました!