導入完了はゴールじゃない。利用浸透のためのSlack API活用施策4選
ディップでは2020年12月からSlackを全社導入し、従業員のコミュニケーションもGmailやその他ツールから移行しています。
Slackのメリットはなんといってもその拡張性と柔軟性の高さです。APIを活用し、あらゆる業務をSlack上に集約し、起点にすることによって、無駄なツール移動をなくすことができるように様々な施策を打ち出してきました。
本記事ではディップが今までにおこなってきたSlack活用施策のうち、特に効果の高かったものを厳選して4つお伝えします。
①Slack上での打刻機能
コロナ禍でストレスフルになった打刻作業
2020年、世界的なパンデミックにより、多くの企業がリモートワークへの移行を余儀なくされました。ディップも例外ではなく、リモートワークの比率が増加するとともにSlackが導入されました。コミュニケーションの軸がSlackとなり、打刻と業務報告を同時にSlackで行いたいというニーズに応えるため、Slackでの打刻連携機能を開発しました。
ディップではもともと勤怠システムを使用して出退勤打刻を行っていました。
コロナ禍以前の会社に出社していた時は、その人が席に着いたら業務開始だと目に見える形でわかっていましたが、リモートになってからはSlackのチャンネルで報告することが主流となってきました。そのため、勤怠システムで打刻したあとに、Slackチャンネルに移動し「業務開始します」と、それぞれのツールで出勤報告をおこなう必要があったのです。
Slack起点に集約することでストレスフリーな体験に
これらの問題はツール間の移動をなくすことで解決できると考え、Slackで打刻とチャンネルへの出勤退勤連絡ができるようなAPI連携を設計・開発しました。
これにより打刻と業務報告に必要な時間も短縮され、またツール間の移動も無くなり、社員のストレスも解消されました。
毎日行う業務のストレスは小さくても、積もり積もれば大きな負担となります。そのような課題を解決できたという点でこの施策は大きな効果をもたらしました。
②問い合わせ処理管理ツール
Slackメッセージで問い合わせを管理したが、メッセージが埋もれていってしまった
ディップではITに関する社内からの問い合わせ窓口として、情報システム部FAQサイトに問合せフォームを設けています。そちらに入力された内容がSlackの専用チャンネルに投稿される仕組みとなっており、情報システム部の担当者がその投稿のスレッドで問合せしてきた方とのやりとりを行って進捗を管理するといった運用形態をとっています。
情報システム部側では解決済みの問い合わせに関しては、スタンプを付けることで処理の進行状況を管理していましたが、処理するのに時間を要する案件だと、スレッド自体が埋もれていってしまい、未完了の案件を探し出すのに時間がかかってしまうなど、管理方法に課題がありました。
必要なメッセージが埋もれないよう、運用体制に合わせたリマインドツールを開発
Slack APIを用いて作成したツールで、毎日定時に未完了の案件を専用のチャンネルに一覧形式で投稿されるようにしました。これを各担当者が毎日確認することで、未完了のままとなってしまうことを防止しています。
また毎朝投稿される未完了の案件の一覧には各問合せ投稿へのリンクだけでなく、それぞれの案件の担当者へのメンションもついているので各自が自身の担当を把握しやすくなっています。
このようにSlack APIを活用した自社でのツール開発だと、自社の運用体制に合わせて最適な仕組みづくりをすることができ、とても便利です。
③スタンプ起点のメッセージ転送システム
小さな「面倒くさい」がたまると業務にも徐々に支障が出てくる
ディップではSlackの導入以来、様々な運用ルールを定めてきました。ルールに従い運用していく中では、ルーティン化された業務も数多くあります。それらの業務の中から自動化できるものはワークフロービルダーを使い自動化を進めています。今では社員が自らワークフロービルダーを作るケースも多く、6月下旬現在で1454個のワークフロービルダーが存在しています。
そのなかでも代表的なのが全社で共有されるタスクをスタンプ1つで別チャンネルに転送できる機能です。
全社にまつわるタスクはgeneralチャンネルで共有され、それを各個人が持ち帰ったり、各部門の担当者がURLをコピーして自部門のチャンネルに転送したりしていました。
生じるタスクとしては、「SlackのURLのコピー→自部門のタスクチャンネルへ移動→コメント書いて貼り付け」の3ステップなのですが、これが積み重なるとかなりの負担になります。またこの3ステップを面倒だと思う人が増えると、誰かが共有してくれるだろうと皆が考えてしまい結局タスク共有が遅れることにもつながっていました。
メッセージの共有をわずか1ステップに減らし、社員の意識改革にもつなげた
そこで開発したのがSlackのスタンプ起点のワークフロービルダーです。該当メッセージに対してスタンプを押すだけで、自社のチャンネルに転送ができるようにしました。
これにより、たった1ステップでチャンネルへの転送ができるようになったほか、タスク共有の心理的ハードルが下がり、皆が主体的にタスク共有を行うようになりました。
また本ワークフロービルダーの活用事例は部門外とも共有することで、他のチャンネル等でも活用されるようになっています。
④Slackユーザー一括追加
チャンネル作成に時間がかかり、本来の業務に集中できなかった
Slackの導入以降、ディップのコミュニケーションはとてもスピーディーでシームレスなものへと変化していきました。一方で、2500人以上の社員が在籍しているため、新たなチャンネルを作った際にそのチャンネルに人を追加するのに、多くの時間を要するという課題があったのです。
大人数のチャンネル追加をする際に1時間以上かけて該当者を地道に選択する作業が発生していました。
Slackでチャンネルにメンバーを追加するには、「ユーザー名」「アドレス」「SlackID」のいずれかを入力することが必要です。メンバーディレクトリに多くの人が登録されているワークスペースにて「ユーザー名」「アドレス」で追加しようとすると近しいユーザーとして複数人が掲出されてしまい、選択を誤って意図しない人がチャンネルに追加されるケースもありました。
Slack APIを活用したシステム開発で本来の業務に集中できる環境を
大規模チャンネルの作成に1時間以上かかってしまう――このような状況を改善するべく、本件でもSlack APIを活用し、ユーザーを追加したいチャンネル内で「/adduser」と打つとAppが立ち上がるように設計しました。
Appが立ち上がると、
・追加したいユーザーの「アドレス」入力欄
・指定チャンネルの間違いがないかの確認、人数の確認
・実行
の3段階が行われます。実際に登録が成功したかどうかもbotから通知がいくようになっています。失敗した際もどのユーザーが失敗したのか通知されるようにしました。
導入後の反応としては、全従業員を招待して進めなければいけないもの、雇用形態別に案内しなければいけないものなどを担当する部門からは感謝の声があがっています。
このツールができる前は「チャンネルユーザー追加の時間」として最長で3時間押さえて対応していたそうです。本来の業務に集中できない要因が取り除けたのかと思います。
まとめ
ディップでは導入したITツールの利用が浸透するように、導入後も積極的に改善策を打ち出しています。なかでもSlackはユースケースに合わせて柔軟に機能を追加したり変更することが可能なので、今後もより使いやすくなることを目指して継続的に改善に取り組んでいきます。
ディップで行っている様々なDXに関する取り組みは、このDX magazine上で随時公開していますので、ぜひご覧ください。
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