経費精算の工数を年間9000時間削減!RPAとの連携で管理の自動化も実現
ディップではRPAなどを活用した業務効率化を推進する組織「dip Robotics」を2018年11月に設立し、業務の自動化や事業の生産性向上に日々取り組んでいます。
「dip Robotics」が推進したプロジェクトの代表例として「ジョブカン経費精算/ワークフロー」導入とRPA導入による活用事例が挙げられます。レガシーだった経費精算とワークフローのERPシステムから、クラウドシステムへのリプレイスを行い、交通機関の利用履歴を手動入力していた経費精算の効率化を行いました。
今回はそのプロジェクトのPM(プロジェクトマネージャー)を務め、年間9000時間の経費精算の工数削減に導いた西野翠に、課題の解決方法や新システム導入後の浸透方法とその効果などについて聞きました。
西野翠 プロフィール
商品開発本部 次世代事業統括部 dip Robotics PdM課 リーダー
DX magazine powered by dip 編集長2014年4月新卒で大手グローバルメーカー入社。経理・営業企画を経て営業の見積システム開発に携わり、その経験から情報システム部やシステム支援へキャリアチェンジ。
2019年2月にディップ株式会社にジョインし、現在は次世代事業統括部で全社システム導入や構築をPMとして推進する。
会社規模の拡大に伴い、現状に見合わなくなっていた以前のシステム。
――導入前の運用を教えてください。
ERP(統合基幹業務システム)のワークフロー・経費精算を約10年利用していました。
申請・承認作業はほぼ電子化できていましたが、システム導入から時間が経ち、社員数も急増していたため、「今のディップにはどのようなシステムが合っているか?」を再考するタイミングでした。
――以前の運用で課題はありましたか。
交通費精算の際に経路などを全て手動で入力していたため、月末月初の申請作業が手間でした。移動経路を自動入力できなかったので、一ヶ月のスケジュールを確認し、移動ごとに「駅情報の入力」「定期区間を手動削除」「経路検索」「金額確定」というステップを踏むしかなかったのです。弊社の社員は半分以上が営業職で、皆訪問が多いため大変そうでしたね…。
また、表示される画面が会社貸与のiPhoneに最適化されておらず、PCブラウザ画面の様式のままiPhoneで拡大して閲覧していました。特に出張が多い承認者・役職者にとって負担でした。
管理側としては、フリーワード検索や任意の申請の出力ができない点が不便でした。
――ジョブカン導入の決め手を教えてください。
様々なシステムを比較しましたが、カスタマイズ性は高いが運用しづらい、フォームの作成が大変、ワークフローの機能は足りているが経費精算は足りていないなど、これだ!というシステムになかなか出会えませんでした。
ジョブカンはワークフロー、経費精算どちらも十分な機能があり魅力でした。特に、ICカードとの連携やスマートフォン対応が営業職・承認者の工数を削減できると感じました。
また、シンプルで使いやすいデザインも決め手の一つでした。
さらに、使用している人事システムとAPI連携が可能なほか、検索方法や出力項目が柔軟なので管理側の工数削減が期待できると思いましたね。
部門を巻き込んで運用ルールを作成し、各拠点のジョブカン担当と本社が連携。
――初期設定などはスムーズに行えましたか?
まず特定の営業拠点でテスト運用を行いました。使用した営業メンバーからの反応が良く、全社導入することになりました。
その後、運用にあたっての社内ルールを決めたのですが、各部門を巻き込んで検討を進める必要があり大変でした。また、以前のシステムで多種類の申請書が運用されていましたので、ジョブカンに引き継ぐ申請書の精査も発生しましたね。
経理・法務・人事などバックオフィス部門の方々と連携してルール作りを進めました。
――全国に営業拠点をお持ちですが、各拠点への浸透や問合せにはどのように対応されていましたか。
本社では説明会を実施しましたが、全国にある拠点に出向いて機材設置や説明会を行うのは難しいですよね。そこで、各営業拠点で1名ずつジョブカン担当を決めてもらいました。ジョブカン担当がメンバーに操作方法などを教えてくれたので助かりました。現在ではICカード読み取り機を全拠点に設置し、経費精算を行っています。
いきなり全ての申請書を移行すると混乱するので、まずは交通費精算からスタートしました。徐々にその他の申請書を追加していきました。
また、操作に関する質問が出ると予想できたため、ワークフローに問合せフォームを作りました。経費についての質問は経理に、システム利用についての質問は情報システム部に届くよう経路分岐する仕組みです。
交通費精算の自動化で経費精算業務を年間約9000時間削減
――現在の運用と効果を教えてください。
先ほどお伝えした通り、経費精算は営業職を中心にICカード読み取り機能を活用しています。ワークフローも前システムから必要な申請書を移管しました。
特に経費精算はこれまで全て移動経路・料金を手打ちしていましたので、とても便利になったと社内から喜びの声が届きました。
どのくらい時間を削減できたか調査したところ、平均で営業職1名あたり一ヶ月約30分削減という結果でした。弊社には営業職が約1500名在籍していますので、1年で考えると約9000時間削減できます。これまで事務作業で消費されていた数千時間が別の業務に使えると考えると、導入効果は高いと思います。
また、ジョブカン導入とこれらの効果から、四半期の部門MVPに選ばれたことがすごく嬉しかったです!
――申請フォームや経路はどのように管理されていますか。
全ての申請書を我々で作成・管理することが難しいので、権限をある程度事業部側に渡しています。
新規フォーム作成や経路編集を希望する場合は担当者から申請してもらい、決まった期間のみ編集権限を付与する運用方法です。
RPAとバッチで人事・会計・購買システムと連携。事務作業を徹底自動化。
――ジョブカンと他システムとの連携によりバックオフィスの工数を削減していると伺いました。
はい。システム連携により事務作業を可能な限り削減しています。
例えば、人事システムからジョブカンに従業員データを流し込み、ジョブカンの稟議・経費精算データが購買システムや会計システムに入るようにしています。他にも、業務委託社員の受付をワークフローで申請し、スプレッドシートに出力される仕組みを作りました。
ジョブカンのデータをRPAで出力し、スプレッドシートに反映させたり、内製バッチで取り込み先システムの仕様に合ったCSVを成形したりしています。
しかし、RPAの運用が大変なので、今後API連携がより豊富になることを期待しています!
――欲しい機能があれば教えてください。
経路の作成を簡易化できると嬉しいです。組織変更などで一つ経路が増えると数十回同じ作業をしないといけないので、この作業をスリム化したいですね。また、スマートフォンアプリのリニューアルも楽しみです。
ありがとうございました。
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