営業のデータ活用をDXで支援する。煩雑なレポート作成業務の自動化に成功したDX事例

2021/04/07
2022/02/14

ディップではより良いサービスをお客様に展開できるように、データ分析や営業活動における知見の集約に取り組んでいます。

収集したナレッジの利活用をさらに促進するため、2020年、社内DXプロジェクトの一環として、レポート作成自動化プロジェクトが遂行されました。

さまざまな苦難を乗り越え自動化を実現した本プロジェクトの責任者、増田由利子にインタビューを行いました。

 

増田由利子 プロフィール

制作戦略推進部ナレッジマネジメント課 課長

客接点を持つうえでのデータレポート作成や営業を前に進めるための戦略資料の企画・作成、情報集約サイト「ナレッジマート」の運営を担当

 

煩雑な処理や分析スキルの属人化など、課題が山積していたレポート作成業務

――まず導入前の状況、運用方法を教えてください。

これまで、営業がデータレポートを得るためには、作成の申請を行い、ナレッジマネジメント課でデータ抽出、中間データ作成、ビジュアライゼーション、PDF化、提供という工程を踏む必要がありました。

Excelを活用した算出ツールの展開や課内のテンプレートのブラッシュアップだけでは解決しない問題が多数あったのです。

営業でのデータ利活用には課題が山積していた

 

――どのような課題をお持ちでしたか。

まず、営業現場ではデータを申請してから取得するまでにタイムラグが発生していました。

とりわけ、営業アシスタントにおいては、データ取得環境に制限がある中、営業からデータのリクエストを受けることが多く、営業ニーズと実際の取得環境に大きな溝がありました。

さらに、営業マネジャーにおいても、データ取得の環境は、メンバーと同等のものしかなく、マネジメントをする上で必要なデータ的観点が持ちにくい状況でした。

 

――システム導入検討の経緯について教えてください。

Excelでデータを裏に貼りつけて、データを集計してレポート化するツールは、2018年以降さまざまな観点で比較ができるように提供していましたが、動作が重い、UIがそれぞれ少しずつ異なるという問題がありました。

また、自組織では、バイトルやはたらこねっとが大きくなるにつれて台頭してきた「データ抽出における工数の肥大化」や「同じ形式で異なる地域・職種・期間を作成し直すためにデータを作り変える必要性」など不毛なことをしているという感覚が日々ありました。

営業人員増や顧客課題の複雑化に伴い増加していくデータニーズに対し、バックヤードの人員増だけでは解決しないという思いもありました。

そこで、「データルールを順守した良質なデータレポートを現場で得られる環境を作る」必要があると考えました。

 

現場での利用を考え、営業が使いやすいツールを選定

――どのシステムを選びましたか。

ルーティン的な工程の仕組み化を実現するためにBIツール(ビジネスインテリジェンスツール)の導入を行いました。本プロジェクトではGoogle Data Studioを選定しました。

 

――そのシステムの選定のポイントになったところはどこですか。

営業自身が操作することを考えたときに、操作が簡便なもので行いたいと考えました。Google Data Studioは、以前よりナレッジマネジメント課では課内で活用していたので、操作のしやすさは認識していました。

また、当初は別のBIツールの導入も検討していたのですが、連携がしやすいものとしてdip Roboticsからこのシステムの提案を受けました。

ビジュアライゼーションを担保できることも選定ポイントの1つとなりました。

 

ナレッジマネジメント課を中心に、関連部署を巻き込んだ連携体制

――どのような体制で取り組みましたか。

社内自動化組織のdip Robotics、バイトルやはたらこねっとの企画部署であるメディアプロデュース統括部、メディア開発を担うシステム開発部、ナレッジマネジメント課で連携し、プロジェクトを進めていきました。

dip Roboticsにはデータ連携や暗号のようなデータベースの情報をレポートに使える情報に変換してもらいました。

メディアプロデュース統括部にはデータガバナンス、データの整合性の検証を行ってもらいました。

システム開発部にはデータの乖離が発生しないかなどの監査的な役割を担ってもらいました。

各部署との密な連携体制

 

――本取り組みで困難だったことについて教えて下さい。

データガバナンスについてのとらえ方含め、上記の各部署との合意形成が最も困難でした。

以前は人がデータを見てレポートを作成することで、データの解釈をある程度一致させるといった制御をしていましたが、ツールの展開によって、営業現場で多様な解釈がされてしまうことも懸念でした。

また、レポートを設計する上では、バイトルおよびバイトルNEXTと、はたらこねっとでデータベースが異なっていたため、リリースタイミングに差が発生してしまいました。データの整合性を担保することについても時間をかけて検証を進めました。

 

――どのように問題解決しましたか。

関係者とは密なコミュニケーションをとり続けました。合意形成には、「現状」と「あるべき姿」を押さえること、しっかりとした根拠が必要だということも学びました。

また、営業展開においては、「スモールスタートで進めて成功を積む」ということと「やっていいこと、悪いこと」を分かりやすくセットする機会を設けるということで解決に至ったように思います。

整合性については、複数のデータ元と比較することや、なぜその結果になるのか、集計軸や計算のタイミングの違いなどに対し「なぜ・なぜ」と仮説・検証を繰り返し担保していきました。

 

「D-ta」導入により、山積していた課題を一挙解決

――現在の運用を教えてください。どのような利用方法をしていますか。

レポートツールは「D-ta」と命名しました。バイトルのデータレポートは2020年4月から営業アシスタントに展開し、2020年8月から営業管理職に展開が完了しました。2020年12月からは、はたらこねっとのデータレポートも展開をしています。

 

――どのように課題が解決されましたか。

まず、営業マネジメント上でのデータ利活用ができるようになったことです。
メディア状況の把握が簡便にできる状態になったことで、データを根拠にお客様へのフォローや提案の指示ができるようになったという声を多数いただきました。

次に、データ取得のスピードが上がったことです。
オンライン営業が一般化し、商談までの期間が短くなり、下準備にかけられる時間が減るなかでも、本ツールでデータ把握が迅速に出来るようになったという声を頂きました。
また、レポートの平準化が図れたことです。バラバラだった営業アシスタントやナレッジマネジメント課が提供するレポートのUIやデータ作成の方法が統一化されつつあります。

そして、バックヤードの工数削減ができたことです。
コロナ禍でさまざまなデータリクエストが増えてきましたが、D-taで事足りるケースも多く出てきました。結果として営業アシスタントの工数削減にもつながりました。

新ツール導入によるDXで一挙に業務効率改善

 

――導入してよかったと思う点や便利な機能があれば教えてください。

データ作成という業務についての改革が行えた点です。要件定義にはだいぶ時間がかかりましたが、繰り返される工程はオートマティックに近い状態で実行できるようになったことで、その分、別のことに時間を使えるように変わったと思います。課の業務として同じ作業を一生し続けなくてはいけないという感覚は変わっていったのではないかとも感じています。

また、便利な機能としては、一つ目に、毎日同じ時間帯にレポートを自動配信をしてくれることが挙げられます。
日々、サイトの件数がどう変化しているのか、応募者の属性に大きな変化はないかなどのレポートが自動配信がなされるので、見に行かなくても把握できる状態を作り出すことができます。

二つ目は、お気に入りの条件を登録すれば、すぐにその検索結果が表示されるように自分で設定できるということです。

自動配信されるレポートの画面

 

――運用上で生じている課題などはありますか。

利用状況には差があり、ケーススタディーの紹介など浸透施策が改めて必要だと感じます。

状況が想定と違った場合の対処方法などのセットも改めて必要だと思っています。

 

今後は顧客ニーズをとらえレポートをブラッシュアップし、活用領域を拡大していく

――今後取り組みたい改善はありますか。

顧客ニーズを鑑みたレポートのブラッシュアップに取り組みたいです。そして、活用領域を拡大したいと考えています。また弊社のデータドリブン営業によって、顧客の課題改善が進むよう、定着支援をしていきたいです。

他にもレポートの自動配信をSlackと連携して実現できないか模索中です。

 

ありがとうございました!

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