経営陣が語るDXのポイント:個別性×リアルタイムで一人ひとりが最大のパフォーマンスを発揮できる職場に

2021/08/02

この記事は、ディップをけん引するトップたちがDXをどのように捉え、ディップの未来をどのように描こうとしているのかを伝えていく「経営陣が語るDXのポイント」シリーズです。

ディップは「カケザンプロジェクト」や営業支援アプリ「レコリン」など、社内業務の自動化やDXを進めてきました。そして現在では、お客様に対してもデジタルサービスの提供を開始し、特に中小企業のDXを推進しています。

こうしたディップのDXの取り組みは「人事」にも改革をもたらしています。人事における業務の効率化だけでなく、評価制度の見直しや最適な人材配置、採用に人材データが活用され始めています。次々とイノベーションを起こしていくディップにおいて人的リソースをどうマネジメントしていくかはとても重要です。

今回は、長年人材や組織の開発・育成に携わっているCHO・鬼頭 伸彰に現在の「人事×DX」の取り組みやこれからの方向性についてインタビューしました。

鬼頭伸彰 プロフィール

CHO・人事本部長
建築設計事務所勤務を経て株式会社リクルートキャリアにて中途入社。営業職の経験をした後、人材開発部門の責任者として全社の人事企画、研修企画、組織開発を経験。株式会社OJTソリューションズ(トヨタとリクルートの合資会社)にてトヨタ式の組織開発プログラムの開発およびコンサルタントを経験。その後、技術者派遣の株式会社メイテックにて、人材開発部門の責任者としてエンジニアおよび一般職の人材育成、組織開発に従事。2014年ディップ株式会社入社、現在はCHO人事本部本部長(執行役員)。

人事におけるDXの本質は枠を作らずに個を尊重できること

――人事という仕事はこのDXが進む中でどう変わっていっているのでしょうか。

従来の人事は、仕組みや枠組みを作って、そこに社員を当て込みしていくような考え方が強かったように感じています。等級と呼ばれる人を入れる枠組みを作っておいてその枠の中に社員を当てはめて、給与を決めたり、昇給を決めたりする考え方ですね。

しかし、そもそも人の能力や志向性というのは個別性が高く、枠からはみ出してしまうことが多いんですよね。社会人としての基礎能力はそれほど高くないのに、極めて高い専門性をもつような人もいます。実際のところ、同じ仕事をしているように組織図では書かれていても、人それぞれ役割の内容や責任範囲は違います。これまでの人事はそうした枠からはみ出た部分を見ずに、最小公倍数としての枠を作って運営していたところがありました。

人事におけるDXの本質は枠を作らずに個を尊重できること

現在、さまざまな人やその成果に関する情報をデジタルデータとして多く収集できるようになり、その処理の技術もAIなどを含めて高くなっています。そのことで、枠を作らず個は個として対応できるようになってきていると感じます。

人事の諸制度も、「最近はこういう人が多くなってきているからこういう仕組みを作ろう」というように、デジタルデータから変化を読み解き、そこから仕組みが作られる流れにあると思います。

このように人事におけるDXの本質は人の個別性に深く対応できる点、尊重できるようになる点だと思ってます。自動化というのも大事ですがDXの要素の1つでしかありません。そして何よりも大切なことは、DXが先行するのではなく、まず「なぜ個別性に対応したいのか、なぜ大切にしたいのか」という目的や哲学があって、そのためにDXを使うという姿勢だと思います。

――個別性を大切にするとどのような良いことが起こりますか。

個別性が仕事に反映できるようになると従業員の体験がどんどん変わってくると思います。「会社は自分のことをよく理解してくれている」「これは自分にまさにフィットしたかゆいところに手が届く施策だ」と従業員が感じられる状態が作れると思います。

例えば、コミュニケーション研修のように大きなくくりの研修ではなく、「話がどうしても長くなりがちな人のためのまとめて話す力研修」のようにピンポイントの課題やニーズに応える研修をしたりすることもできるのではないでしょうか。

人事で取り組んでいるDX

――実際に今人事の中でDXに取り組まれている事例はありますか。

ちょうど今管理職研修をしています。少し前だと人事で研修テーマを設定して、研修コンテンツを作って、研修を実施するみたいな流れでした。現在、研修はすべてオンラインで行なっていて、スプレッドシートでグループワークをしたり、個人のワークを進めています。

そうしたスプレッドシートに受講生が入力したテキストはすぐにテキストマイニングをして傾向をつかみ、受講生がどんなことで今悩んでいるのか、どんなトピックスにふれることが学習につながるのかを軌道修正しながら研修を進めています。
また、参加した受講生たちのアイデアが集約されることで、研修のテキストも磨かれていきます。

――社員がそれぞれの能力を発揮できるよう、さまざまな工夫がされているのですね。DXという新しい取り組みをしていく中で人事の働き方は変わってきているんでしょうか。

人事のメンバーにはプログラミングができるようになっておいたほうがいいよと話します。これまでの枠を決めて動かす人事は、Excelを使い倒すことでなんとかやってこれました。

しかし、個別性を重視する人事は沢山のif文による場合わけのプログラムで処理をすることが必要になります。もちろん簡単なif文はExcelでもできますが、やはり限界があります。

――人事の仕事自体がシステムではなく人に向いてるから自動化からは遠いような気がしていましたが、実際にはかなり推進されているんですね。

仕事の与え方にも個別性を

――人の特性のデータというのは売上などの数字で得られる定量的なデータと比べると収集や把握・処理が難しいと思いますが、なにか考えていらっしゃることはありますか。

会社として社員のどういった有意義なデジタルデータをどのように集めていくのかは重要です。有意義なデータほど集まりにくいというのは課題としてあります。現状、例えば、社員の経験や知識、行動要素に影響する前職での経験はデータとして使えるものが限られます。また、パフォーマンスに影響してくるであろう睡眠に関するデータとかは取りづらいですよね。

データ層をどうやって豊かにできるか、どうやって吸い上げて抽出するかを人事のノウハウとして培っていかなくてはいけないと思います。人事はこれからどのようにデータを分析して必要な仕組みを生み出せるかということが大事になります。

仕事の与え方にも個別性を

私が人事をしていてとても悲しいと思うのは、仕事に適応できなくて悩んでしまったり、自信を失ってしまう社員が毎年何人かいるということです。

その人の能力や志向性を深く把握して、その人の特性にあった仕事の教え方や任せ方が細かくできれば仕事についてのストレスは大きく下げられると思うんです。

社員一人ひとりの能力、個性を把握してそれに合う場所を提供して最大のパフォーマンスを発揮できることが必要で、そのときにDXが求められます。

――究極の適材適所ということですね。

これからの人材に求められること|俯瞰してビジネスを見る力が問われる

――DXを推進するディップでは今後どういった人材が求められるのでしょう。

私は「抽象化力」をもった人材だと思います。

今までは、問題が発生したときに解決の手段を模索していくことが中心でしたが、今は問題の根源にある構造や、問題を問題としてみるべきかという哲学が問われているのだと思います。

自動化がさらに進展しアーキテクチャも発達していくことで、具体化が加速していきます。それをもう1個上の概念で見る、つまり抽象化概念をもたなくては結局人がアーキテクチャの1つになってしまいます。

アーキテクチャから見たら単一だけれどもプロダクトや業界を絡めたら違うところに参入するっていうことも増えてくるのではないかと思います。そうなればビジネスの見立ても変わってくるのではないでしょうか。

「抽象化概念をもつ」とは

人事DXの現在地と見据えるビジョン

――現状の課題と目標はなんですか。

リアルタイムでのあらゆることが処理できるようにしたいです。人事の世界というのは給与支払、評価決定、異動、入社処理、などあらゆることがバッチ処理で、待たされるんですよね。給与は今日頑張った分だけがすぐに支払われるようにできるかもしれないし、半期に一度の異動とかじゃなくて、今、必要な人事異動はボタン一つで瞬時に完結するというのができるかもしれない。

時間かかるのが当たり前と思考停止になっていることが多いと思うので、できるだけ自動化することで待たせることがない、思い立ったら瞬時にできる人事を目指したいですね。

――鬼頭さんが今後ディップの人事としてやっていきたいことを教えてください。

社内DXなど全般的にはいい方向に進んでいるところだと思うので、現状をポジティブに捉えています。

ただ、DXを行うときの発想方法や考え方を”どう支えていくのか”が重要で、これからさらにDXを進めていこうとするときに課題になると思います。また、経営層が新しい発想を理解できるかということがかなり大きいと思います。なので、会社全体でDXを正確に捉える必要がありますね。

――新しい人事のあり方から全社におけるDX推進のお話、大変興味深かったです。ありがとうございました!

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