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今日は、8月27日(土)Machine Learning 15minutes!に参加してきましたのでレポートをお届けします。毎回100人を超える予約で大人気のイベントなのですが、なんと今回はGoogleとIBMの2大巨頭からスピーカーが参加。それぞれの機械学習、AIに関する戦略が伺える内容となりました。
その他にもあの巨大サービスのデータを利用した機械学習の方向性、機械学習の実装、機械学習ライブラリ、雑談ができるチャットなどなど、多彩なラインナップになりました。
参加してきたイベントはこんなイベント!
株式会社メンバーズキャリア様主催
第3回 Machine Learning 15minutes!
http://machine-learning15minutes.connpass.com/event/34497/
「Machine Learning 15minutes!」は、「機械学習」について「15minutes以内」で語るLTを6~9人程度で行い、DeepLearningなどの先端的な事例、強化学習などの流行している技術、ビジネスへの応用例など、様々な角度から機械学習についての知見を広げ、LT終了後の懇親会でネットワーキングを行うイベントです。
会場は有明トリトンスクエア。AI研究者やエンジニアが7割、人材育成、企画、データ系の人々が3割という感じでした。それでは、登壇者のプレゼンをご紹介します。
目次
佐藤 一憲
-Googleの機械学習プロダクト-グーグル株式会社
発表資料
Googleのエヴァンジェリストのような立場の佐藤さん。それだけに語り口も洗練されたプレゼンテーションでした。その中でも強調されていた点は3点。
(1)エンドユーザーサービスでの実証:我々が日常利用しているサービスの中で機械学習が日々利用されている。例えばgmailではトラフィックの10%がスマートリプライで占められているとのこと。
(2)誰でもつかえるオープンソース:各技術をAPI形式で公開しコンシューマに対してもサービス化を積極的に支援。例えばTensorflowベースの唐揚げロボットやアイドルの顔認識など、「素人ができちゃった」事例が紹介されました。
(3)精度を支える計算パワー:機械学習を進めるにあたって必要となる計算パワーをgoogoleクラウドで賄い、分散処理の設計実装からエンジニアを開放。精度向上にかかる時間の削減が紹介されました。
後述するIBMさんとの立ち位置の違いがよくわかるプレゼンテーションでした。
平山 毅
-IBM Watsonの機械学習サービスとWatson Knowledge Studio-日本アイ・ビー・エム株式会社
発表資料
発表順から言うとやや不利な平山さん(笑)。しかしそれを念頭に置いてプレゼンを展開し「さすが」と唸る会場。その中でも強調されていた点は3点。
(1)エンタープライズでの稼働:Googleとの大きな違いはエンタープライズを意識していることと紹介。ヘルスケア、金融、製造などのセクターで稼働しそれぞれの機械学習モデル、データの蓄積の枠組みがあることも紹介されました。
(2)クラウド形式での提供:上記の理由から、100%がクラウドから提供され、米軍などを例にあげて機密性の高い情報を扱う実績について紹介がありました。
(3)機械学習を超えたシステム:Watsonを機械学習を超えたシステムと紹介。従来の入出力モデルからの開放を目指す旨の紹介がありました。
前述したGoogleさんとの立ち位置の違いがよくわかるプレゼンテーションでした。
緒方 貴紀
-CVPRから見る2016年のDeep Learning-株式会社ABEJA
やや会場も落ち着いたところで、おしゃれなスライドを展開するABEJAの緒方さんに注目が集まります。
機械学習ライブラリをそれぞれ使ってみて、いいところと悪いところを上げていく内容。アスキーアートや生な感想に笑いがこぼれます。機械学習をまずやってみたい人にとってはまず聞いてみるといい話でした。
五木田 和也
-対話botの技術-株式会社ウサギィ
発表資料
社名の由来ともなっているうさぎのカワイイイラストからはじまる五木田さん。登壇者それぞれの個性がよくわかるLTが続きます。その中でお話されていた点は3点。
(1)会話AIの技術:ウサギィさんが展開している事例と共にウサギィさんの強みである会話AIについて紹介。その中でも五木田さんは書籍を出されるほどの存在。
(2)会話BOTの分類:QA型と雑談型のBOTの区分を紹介。QAは目的的会話で、雑談は無目的的会話というイメージでしょうか。本日話をされるのは近日取り組まれている雑談の方。
(3)雑談BOTのしくみ:試行錯誤を経て雑談BOTが出来上がっていく様を紹介。会話の多様性をBOTに仕込んでいく過程でネットスラングやキャラ付けまでできるようになっている模様。
なんと汎用AIに関する書籍も書かれている五木田さんですが、目的志向型BOTではなく雑談のできるBOTを目指し開発を行っている模様がシェアされました。BOTにキャラ付けをしてらっしゃる話では某アイマスのキャラクター風にツンデレを発揮するBOTに歓声が。
住 朋享-機械学習で食の未来を創るクックパッドのチャレンジ-クックパッド株式会社
発表資料
クックパッドの住さん。非エンジニアでオープンイノベーションやクックパッドの未来を考えたり形にするポジション。誰もが知っているあのサービス「クックパッド」の話で写真を撮られる枚数も増えます。軽妙な語り口でサービスのデータや戦略を語っていきます。その中でも強調されていた点は3点。
(1)6000万人が使うサービス:我々が日常利用しているサービスの中で溜まったデータが元にあるということ。日本で一番料理に関するデータを持っている会社であろうことは誰もが頷くところです。
(2)世界展開100カ国でNO1を目指す:4つの言語圏ですでに展開中とのこと。今後の中期成長戦略となるのがこの領域とのことです。
(3)食の身近な課題を解決:機械学習を進めるにあたっては毎日の料理の面倒を減らしつつ、より健康で自分の状況に合ったレシピと出会える未来に向かうアプローチを中心にロボティクスを含めたビジョンが語られました。
直近で策定されたクックパッドの成長戦略についても語られ、AIを活用したクックパッドの未来の可能性を垣間見ることができました。
久保 隆宏
-機械学習で泣かないためのコード設計-TIS株式会社
発表資料
SIerとしての立ち位置から語られた久保さん。最も実装者に身近な話題になりました。その中でも強調されていた点は3点。
(1)業務システムの開発を主とするTISの中における、久保さんの所属する戦略技術センターのミッションを解説。中長期のスパンでのビジネス化を目指し、プロトタイプ開発を手がけている事例が紹介されました。
(2)某ゲーム会社四コマ漫画のキャラクターを使い、機械学習の実装で陥りがちなケースを紹介。難しいポイントがシェアされました。
(3)機械学習を実装する中で発生する様々な問題について、その原因の切り分けを可能にするための適切な機能分割が提案されました。
実際に実装してみたからこそ言えることが満載のプレゼンテーションでした。
進藤 圭
-AIニュースサイト「AINOW」掲載記事でAIトレンド分析~8月~-dip AI. Lab
発表資料
毎回、本イベントのおやつ枠としてマーケットの目線からみなさんに情報をシェアしているAINOW。その中でもお話した点は3点。
(1)AI関連ニュースは減少傾向:最盛期であった5月からだんだんニュースの本数が減少し、1/10まで減少してきた8月。
(2)事例を求める時期に:期待成長期のあとに必ず来る期待調整期で事例が求められるタイトル分析と閲覧傾向分析からお話。
(3)AINOWのアプローチ:実際に事例があることを証明するマップを作成し8/29にリリース。
マーケット模様をお話しながらみなさんの取り組みの応援になれば、というプレゼンでした。
実際に発表したマップはこちら。クリックでマップに移動します。
全73サービス!「AIサービスマップ 2016 Summer」~活用したいAIがすぐに見つかる~
終わった後は懇親会。
以上、イベントに行くと第一線で活躍されている方のナマの情報を聞くことができるので、大変オススメです。
第4回もAINOWチームが出演予定ですのでお楽しみに。
第4回 Machine Learning 15minutes!
http://machine-learning15minutes.connpass.com/event/36652/