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かめきちです。今月も「Machine Learning 15minutes!」レポートをお送りいたしますよ。
今回は機械学習をビジネスに取り入れて成果を出されている企業様にお話を聞くことができました。もちろん、研究開発の分野でも実用を見据えてより成果の出やすい研究テーマが多かったです。
「Machine Learning 15minutes!」は、「機械学習」について「15minutes以内」で語るLTを6~9人程度で行い、DeepLearningなどの先端的な事例、強化学習などの流行している技術、ビジネスへの応用例など、様々な角度から機械学習についての知見を広げ、LT終了後の懇親会でネットワーキングを行うイベントです。
目次
東京女子大学情報処理センター
浅川 伸一【VI にする?それともまだ EMacs? VAE を説明してみる】
深層学習、脳科学、ニューラルネットワークなどのテーマで書籍も執筆されており、さらに普段から勉強会も開催されている浅川先生より画像生成などで用いられているVAEについてお話を頂きました。
ポイントは、VAEについて理解を深めるための考え方について。
MNISTで数値の解釈とは、どうやっているのか説明を頂いた後、数式でアルゴリズムの解説、お話しされたアルゴリズムについては下記の通り。
株式会社Nextremer
阿部 智彦【量子アニーリングと機械学習】
ポイントは2点
・量子アニーリングとは?
・量子アニーリングをハードに実装したD-WAVEを使ってみた!
まずは、量子計算についてキーワードの説明を丁寧にして頂きました。(少し難しい)量子計算には、量子アニーリング方式と量子ゲート方式の2つがあるそう。
量子アニーリング方式:
最適化問題という、すべての経路を計算していたらすごく時間のかかる計算を、量子を用いて高速に計算する手法のこと。量子焼きなまし法ともいう。
量子ゲート方式:
量子ビットを半導体に組み込んで、演算させる方式のこと。従来の量子コンピュータといえば、こちらの方式を指す場合が多かったが、量子アニーリングの量子コンピュータ出現によって、立場が逆転してしまったそう。
そして、量子計算を行う上で最も大事なマシンについても解説頂きました。
D-WAVEマシン:
D-Wave社が開発した、量子アニーリングを直接ハードウェア的に実現する装置のこと。黒い大きな箱の中に小さなチップが入っている、さらにユニットセルが量子プロセッサとなっており、その中の超電導閉回路で伝導するとのこと。
そして、みんなが気になっていたD-WAVEを使ってみたレポートは時間の関係で省略に…(泣)次回は詳しいお話を聞いてみたいと思いました。
株式会社セラク
持田 宏平【農業AIハッカソンやってみた】
農業IoTエバンジェリストとして活躍されている持田さんより、農業AIの現状と自社で展開されている「みどりクラウド」についてお話を頂きました。
ポイントは2点
・農業を取り巻く環境の変化
・みどりクラウドの機能について
現在、日本の農業は「天候問題」「農業従事者の減少と高齢化」など大きな問題が取り巻いている。一方、オランダは世界で2位の農業大国、システムが優れているので、生産高も高いそう。しかし、同等のシステムを導入しようとすると、日本ではコストが高すぎて導入できない。そのためにセラクでは農業AIのツールを開発している。
「みどりクラウド」とは?
温度、湿度、日射量、CO2濃度、土壌水分、写真について環境計測と監視・記録を行えるIoT製品。
今後は様々なデータを生育、病理、市場予測へ活用していきたいとのこと。
また、様々な活用方法を検討するためにTFUGと開催したハッカソンの内容も面白かったです。
ジョイズ株式会社
柿原 祥之【NLPx語学】
英会話アプリ「テラトーク」を展開している、CEOの柿原さんより
サービス内で活用している自然言語処理の活用事例について、ご説明頂きました。
ポイントは、評価・誘導に関する箇所に重点を置き、難易度の高い自然言語処理技術をサービスに転換している点。音声分析については、英単語の発音評価で活用、この他にも教材自動生成や作成補助、英語力自動判定に機械学習を用いて工夫しているとのことでした。
最後にエンジニア向けの英会話コースでは、バグ修正の依頼シーンなどマニアックだけど重要な場面が教材になっているのでオススメだそうです。
株式会社ウェブファーマー
大政 孝充【深層強化生成モデル】
人工知能からアプリ製作、Android Wearまで手がける、株式会社ウェブファーマーの大政さんからは、自ら学習して作物を収穫するロボット開発への取り組みについてお話を頂きました。
まず、深層強化生成とは何か?下記の手法を合わせたものだとか。
DQN・A3C:深層強化モデル
VAE・GAN:生成モデル
作物を認識して収穫する動作をシミュレーション環境で試してみたところ、十分な精度が出そうだったので、実世界でも深層強化学習で農作物を生成するモデルを考えてみたそう。構成はアームからラズパイにデータを送り、学習用のパソコンで演算処理を行ったとのことでした。
始めは認識出来なかったり、作物を掴んでも落としてしまっていましたが回数をこなすに連れて、物体も正しく認識して、収穫を行えるようになっていました。
インフォメティス株式会社
蓮尾 高志【電力データと機械学習】
蓮尾さんからは、私達の周りでも身近な電力について、機器分離によって電力を見える化をすると、どのようなことが起こるのか解説をいただきましたよ。
機器分離とは、家庭にある分電盤の根元(主幹)を1箇所測定するだけで、どの家電が、いつ、どれくらい使われていたかを見える化する技術です。
これによって、家の電気代を削減することや、効率よく家の中の家電を操作することが可能になるのだとか。
また、東大の杉山教授やケンブリッジ大のZoubin教授をアドバイザーに招聘し、非定常環境下での適応学習や半教師付き学習、ベイジアンモデリングなどの最新研究成果を積極的に活用しているとのこと。
Dip AI.Lab
亀田 重幸【AIニュースサイト「AINOW」掲載記事でAIトレンド分析~3月~】
私からは、3月取材して話題になっていた記事と今後注目すべき企業様の事例をご紹介させていただきました。
やはりどの企業でも活用方法や実装例を求めている声が非常に強く感じます。AI予算を確保された企業も多いかと思いますが、それに見合う成果づくりがポイントになりそうですね。
登壇時にお話させて頂いた、公開準備をしている、スクウェア・エニックス様のFF15×AIの事例記事などが大変興味深いと思いますので、お楽しみに!
まとめ
最後は恒例の懇親会が開催されました。
4月からはイベント会場も少し変わり、イベント内容もより密になっていくとのことですので期待大ですね。