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2018.09.04

[HIKE VC NEWS] シリコンバレーIOT X AIイベントレポート/FACEBOOKもヘルスケアへ参入/広告のコピーもAIで/自動運転車デリバリーサービスの発表が相次ぐ

最終更新日:


本稿は、サンフランシスコ・東京を拠点のAIスタートアップ特化型シードファンド、Hike Venturesが8/15に配信したメールレターのバックナンバーです。Hike Venturesはアメリカ・カナダを中心に投資をしています。「人とアルゴリズムの協業によって豊かさを生み出すエコシステムpの創出」をモットーにアメリカ、カナダ、日本のシード段階のスタートアップの支援を行っています。バックナンバーはこちら。メール配信を希望の方は、Hike Venturesウェブサイト内フォームより登録お願いします。


 8月23日シリコンバレーにあるプラグアンドプレイにてSukiyakiとHike Ventures共催で、IoT+ AIのピッチイベントを開催しました。参加頂いた皆様ありがとうございました!!今回は、日本からの関心が高い分野、サプライチェーン、ロボティクス、音声、アセット管理分野で以下のスタートアップに登壇頂きました。

  • Litmus Automation
    トロントとサンノゼを拠点にIoTデータプラットホームを提供。工場には、メーカーや年式が異なる様々な機械が稼働しており、それらインタフェースの異なる機械たちから網羅的にデータを取るのは至難の技です。Litmus Automationプロダクトは、どんな機械からもデータを取得することが可能で、AIを工場内で役立たせるために必要な第一歩を踏み出すのをサポートします。その後は、データを使って、機械をリアルタイムでモニタリングしたり、同社のパートナーのmnuboを接続して故障予知機能を追加することがでます。
    日本へも進出しており、Zig-saw, 富士ソフトがパートナー。日産自動車, ROHM Semiconductor, Nissinが顧客となっています。
  • PINC
    ドローン、コンピュータビジョン、RFIDなど様々なテクノロジーを駆使し、倉庫・ヤードの在庫状況(どこに何があるか)をリアルタイムに把握します。同社のプロダクトは、倉庫内の棚の在庫から巨大なヤードに駐車された車まで様々な製品に対応しています。
    ダイムラー、DHL、キンバリークラークなど多数の企業で利用されています。

写真は、PINCホームページより

  • Covariant.ai
    これまで産業用ロボットに何か仕事をしてもらうためには、動きの1つ1つを細かくプログラムを書く必要がありました。また、倉庫でのピッキング作業など扱うものが毎回変わるような状況では、ロボットはUFOキャッチャー状態になってしまい、うまく適応することができませんでした。Covariantは、この問題をVRを使ったロボットの教育と、ロボット自身の試行錯誤による強化学習で解決しようといています。イベントでは、ダンボール内に無造作に置かれた商品群を1つ1つ上手に取り出していくデモビデオが紹介されました。
    強化学習で著名なUCバークレー校のPieter Abbeel教授が共同創業者。
  • Fluent.ai
    一般的な音声コントロールシステムは、音声を一旦テキストに変換してから言語解析を行いユーザの意図を理解します。Fluent.aiでは、人間の子供が言語を学習するときのように、音声から直接ユーザの意図を理解します。この技術により、プログラムを従来より小さく、高速に実行することができます。音声をベースにしているため、どんな言語にもすぐに対応することが可能です。また、Fluent.aiの技術は、ノイズにも強いため、車内のような環境でも正確にユーザの声を認識することができます。
    家電や自動車などのハードウェア上で稼働するバージョンと、クラウドバージョンを提供しています。
  • Density
    深度センサーを使い、匿名性を保ちつつ、施設への人の出入りを正確にカウントするデバイスとソフトウェアを提供。企業は、これらのデータを使ってスペースの稼働状況を把握し、オフィススペースのレイアウトや増設などをデータに基づいて判断をすることができる。また、APIが用意されているので、他のアプリケーションとの連携も可能。例えば、Densityとカレンダーを連携させれば、予約されているのに使われていない会議室を特定し、社員の会議室を探す時間を削減する等。
    米国公生成研究所(NIH)が10,600に及ぶアノテーション付きCTスキャンデータを公開

【トピックス】

製造業×AI

  • MITの研究者がデザインを最適化するAIを開発
    今回は開発されたAIは、エンジニアがCAD上で行う様々なシュミレーション(バランス、耐久性)するために行う製品の仕様(サイズ、形状)を変更する作業を自動化する。最終的に得たい結果を入力すれば、AIがデザインを自動的に提案してくれる。

ヘルスケア×AI

  • Facebookとニューヨーク大学がMRI高速スキャンの研究プロジェクトを開始
    プロジェクト名は、fastMRI。実際にスキャンするデータを少なくし、残りを深層学習で補完することにより、MRIにかかる時間を現在の10分の1にすることが目標。fastMRIが実現すれば、子供や病人等の負担を減らすとともに、高価なMRI機械の稼働を上げることができる。今後、FacebookはAIモデルを他のディベロッパーにも公開し、ニューヨーク大学は画像を公開する予定。
  • Waterloo大学が血のサンプル無しでグルコース値計測する技術を開発
    InfineonとGoogleとのコラボで、60GHz波のレイダーデバイスを開発。デバイスが発する電波と機械学習により液体中のグルコース値を85%の精度で読み取ることに成功。ゴールは、スマートウォッチで血中グルコースをモニタリングすること。

モビリティ×AI

  • スーパマーケットチェーンのKrogerがNuroと自動運転車によるデリバリーパイロットを開始
    パイロットは、アリゾナ州のScottsdaleにて実施する。最初は、Nuroの技術を搭載したPriusを利用する。配送料は、$5.95。当初は、1つの郵便番号のエリアでスタート。
  • AutoXがSan Joseで自動運転によるスーパーの商品デリバリーを開始
    ユーザは、デリバリーして欲しい日の一日前にアプリで商品(GrubMarket.com かDeMartini Orchardから)を注文しておくか、車が運んでくる商品の中から買い物をする。当初はSan Joseの400世帯のみがターゲット。今後は、Mountain View、Palo Altoへも拡大予定。
  • Grabがヘルスケア事業へ参入
    中国のPing An Good Doctorsとジョインベンチャーを設立し、東南アジアのユーザーに対してメディカルコンサル(AI)や薬の配達、アポのブッキングのサービスを開始する。

【調達ニュース】

フィンテック×AI

  • Mines (San Mateo) Series A $13M
    Credit as a serviceを提供。金融機関、モバイルキャリア、リテールが顧客向けにレンディングを行うためのホワイトレーベルプロダクトを提供。携帯電話から情報等を使い独自の与信アルゴリズムを構築。現在ナイジェリアにてサービス中。
    The Rise Fund、Velocity Capital等から調達。
  • Money Lion (New York, NY) Series B-1 $29M
    パーソナルファイナンス+ローンアプリ。ユーザのクレジットスコアの向上や収入と支出のバランスを保つようにサポートする。低金利ローンも提供。Edison Partners等から調達
  • Exabel (Oslo, Norway) Seed $4.7M
    プロの投資家向けのAIアナリスト。リアルタイムにマーケットの動きを検知し、それに対応する金融商品の値動きの予測・お知らせをうこなう。

マーケティング×AI

  • Phrasee (London, UK) Series A $4M
    広告に利用するキャッチコピーをユーザー毎に自動生成してくれる。
    Galvanise Capital, Albion Capital, Next Fifteen Communications Groupから調達

インシュアテック(保険)×AI

  • Oscar Health (New York, NY) Corporate Round $375
    個人・ファミリー・企業向けの健康保険を提供。クレイムデータの分析等にAIを利用。
    Alphabetから調達
  • Ins For Renascence (Shanghai, China) Series A $14.5
    保険会社向けに保険加入希望者のリスク診断を行うプロダクトを提供。
    Matrix Partnersから調達

ヘルスケア×AI

  • Sempre Health (San Francisco, CA) Series A $8M
    薬の服用などの健康管理をきちんと行って、医療費の抑制に貢献しているユーザに対して薬のディスカウントなどのインセンティブを与える。例えば、薬が切れた場合に、新たな処方箋を期日までに買ったユーザーには、定価$30の薬を$10にて販売。現在Novo Nordiskと提携し、糖尿病向けの薬のダイナミックプライシングを行っている。2018年末までに15製薬会社との提携が目標。
    Rethink Impact, Social Capitalから調達
  • Tempus (Chicago, IL) Series E $110M
    医療機関から集めたデータ(試験結果、画像、治療履歴等)を分析し、医者に対して特定の患者に対する最適な治療方法や関連情報を与える。これまでに、250の医療機関から200万の医療データを集めた。
    Baillie Gifford, T. Rowe Price, NEA, Revolution Growthから調達

サプライチェーン×AI

  • On the dot (London UK) ステージ不明 £8 
    ラストワンマイルのデリバリーサービスを提供。リテール(Eコマース)の、配達時間(1、2、4時間)に応じて最適なデリバリーサービスを提供。
    CitySprint Groupから調達。
  • Boxed (New York, NY) Series D $111M
    オンラインCostco。今回のAeonから調達を受けたことにより、BoxedはAeonに対して、ロジスティクス、ロボティクス、AIの活用に関するノウハウを共有し、Aeonのデジタルトランスフォーメーションをサポートする
    Aeon, Alpha Square Group, CDIB Capital, Nomura Securitiesから調達

ゲーム・エンタテインメント×AI

  • Visor (San Francisco, CA) Series A $4.7M
    ゲームプレイをリアルタイムで解析し、プレイヤーをコーチする。現在は、Overwatchに対応
    Accel, YC, Afore Capital, NextGen Ventures Partnersから調達

写真は、Visor社Blogより。

  • Gecko Robotics (Pittsburgh, PA) Series A $7Mz
    レーザー、磁気、カメラなどの各種センサーを搭載したロボットを使ってタンクやボイラーを外側から検査する。
    Founders Fund、The Wastly Group等から調達

写真は、Gecko Roboticsホームページより

IOT・製造業×AI

  • Canvass Analytics (Toronto, Canada) Seed $5M
    IoTからのデータを元に故障等を検知することにより、予期せぬ製造の中断などを防ぐのを助ける。
    Gradient Ventures, Bedrock Industries, Viaduct Ventures, Real Venturesから調達

エンタープライズ×AI

  • Observe.AI (Santa Clara)  Series A $8M
    コールセンターのオペレーター向けAIアシスタント。顧客とオペレーターの会話をリアルタイムで解析し、オペレーターに対して最適な対応を提案する。
    MGV, Liquid 2 Ventures, Hack VC, Emergent Ventures, YCから調達

カメラファースト

  • Clobotics (Shanghai, China) Series A $11M
    コンピュータビジョンプロダクトを風力発電機の検査やリテール向けに提供。
    Nntian Infotech VC, Wangsu Science and Technology, KTB Network, GGV Capital 等から調達
  • SenSat (London, UK) Seed $4.2M
    写真や空間データを取り込みコンピュータシュミレーションが可能な3Dデータへと変換する。インフラストラクチャや建築業界などで利用されている。
    Force Over Mass, Round Hill Venture Partners, Zagmから調達

写真は、SenSatのホームページより。

  • PLNAR (Austin, TX) Series A $3.9M
    スマホカメラで室内を測定し、3D空間データを生成する。インテリアデザイナーや、保険のクレイム、DIYなどのユースケースを想定。
    ManchesterStory Groupから調達

写真は、PLNARのホームページより。

  • Ubiquity6 (San Francisco, CA) Series B $27M
    ARオブジェクトを実際の空間に置いて他のユーザとシェアすることができるアプリを開発。AR内でバスケットゴールを設置してみんなでプレイしたり、ペットを飼ったりできる。
    Benchmark, Index Venturesから調達

写真は、Ubiquity6のホームページより。

メディア×AI

  • New Knowledge (Austin, Texas) Series A $11M
    企業やブランドをネット上の虚偽情報から守る。
    GGV Capital, LUX Capitalから調達

モビリティサービス×AI

  • Ghost Locomotion (Mountain View, CA) ステージ不明 $15M
    自動運転技術を開発しているステルスモードのスタートアップ。普通の車を自動運転車に変える技術を開発しているようだ。MileMarkerというダッシュカムアプリ(運転している間、前方をカメラで録画するアプリ)を提供中。同アプリでデータを集めている模様。
    エンジェル投資家から調達。
  • Uber (San Francisco) Corporate Round $500M
    今回のToyotaからの出資により両社は自動運転技術開発で協業する。
    Toyotaから調達
  • Yihang.ai (Beijing, China) Series B $32M
    自動運転技術を開発。
    CICC Jiacheng Investment, Source Code Capital, CICC Alpha, Matrix Partners Chinaから調達
  • SkyRyse (Hayward, CA) Series A $25M
    垂直離着陸ができる自動飛行タクシーを作ることがゴール。現在はヘリコプターに搭載し、視界が悪いエリアでの操縦補助に技術が利用されている。Uberは10年以内の自動飛行タクシーの実現を目指すが、SkyRyseはそれよりもずっと早く実現できるという
    Venrock, Eclipse Trucks Ventures等から調達
  • Carmera (Brooklyn, NY) Series B $20M
    独自の手法で入手したダッシュカム等のデータを分析し、工事や道の閉鎖などの情報をリアルタイムでマップ上に反映させる。これによりカーナビや自動運転は、すぐに最適なルート変更を行うことができるようになる。New York, San Francisco, 東京、ソウルに展開中
    GV, Matrix Partnersから調達

サプライチェーン×AI

  • DoorDash (San Francisco, CA) Series E $250M
    オンディマンド・フード・デリバリー。今回の調達後のバリエーションは、$4B。2018年3月にソフトバンク・ビジョン・ファンドがリードしたラウンドのバリューションは$1.4B。現在、年間成長率250%
    Coatue Management, DSTから調達
  • Kodiak Robotics (Palo Alto, CA) Series A $40M
    長距離トラック向けの自動運転技術を開発。
    Battery Ventures, CRV, Lightspeed Venture Partners, Tusk Venturesから調達。

Eコマース×AI

  • Narvar (San Francisco, CA) Series C $30M
    Eコマースサイトでユーザが商品を買うときの配送時期の通知や、商品到着までのコミュニケーション、到着後のケアなどを行い、お客の満足度を上げるプロダクトを提供。BOSE, Sephora, GAP, Tumi, Everlane, Levi’sなど450社が利用している。
    Accel, Battery Ventures, Salesforce Ventures, Scale Venture Partnersから調達

セキュリティ×AI

  • Exabeam (San Mateo, CA) Series D $50M
    企業のSOC (Security Operation Center)向けのプロダクト。ネットワーク上のセッション情報をモニタリングしリスクを自動検知。
    Lightspeed Venture Partners, Aspect Ventures, Cisco Investments, Icon Ventures, Norwest Venture Partnersから調達
  • Semmle (San Francisco, CA) Series B $21M
    ソフトウェアソースコード内のセキュリティ上の脆弱性を生む可能性の部分を自動的に検知してくれる。Microsoft, NASA, Nasdaq等が顧客。また同社は、8万のオープンソースプロジェクトの全てのコミットもモニタリングしている。
    Accelから調達

【買収ニュース】

  • Intelが、深層学習エンジンのVertex.aiを買収
  • Flipkartが、音声認識のLiv.aiを買収
  • Foxconnが、言語解析と音声認識のMorgan Cognitive Technologyを買収

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