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みなさんが働いている会社、もしくは目指している会社の人材は、「人材」ですか?「人財」ですか?「人“財”」という言葉には、従業員への期待や大切にしたいという意思が込められているように思えます。
こんにちは。サイコロLabの野口です。
今回は、求人をテキストマイニングして、「人材」を用いる企業と「人財」を用いる企業では、どんな魅せ方の違いがあるかを分析してみようと思います。
成果の出せるような力と考え方を育む「人財」、未来に向けて視野広く育む「人材」
そもそも実際に企業では「人財」をどのような意味で使っているのでしょう?
今回は、word2vecという手法を使って「人財」の意味を分析してみようと思います。
word2vecは、大量のテキストデータから各単語の意味ベクトルを計算し、単語同士の「意味の近さ」を教えてくれます。
分析にむけて、インターネット上で公開されている新卒向けの求人原稿から「人財」という単語を使用している会社は1687件分集めてきました。また、比較対象として、「人材」という単語を使用している企業の求人を1700件収集しました。分析には、合計で3387件の求人を用いました。
結果は以下の通りです。
どちららでも「育成」「次代」という未来に向けて育てるメッセージで「人材/人財」が用いられることがわかります。
違いに着目すると、「人財」特有で現れる単語は「戦力」「考え方」で、一方「人材」では「視野」「将来」「通用」でした。「人財」を用いる企業では短期間で成果の出せるような人財を育むことを、「人材」を用いる企業ではじっくりと変化の多い現代社会で活躍できる素地を広く育むことをアピールしているのかもしれません。
最後に、「人財」と最も意味が近かったのは「人材」でした。「人財」と「人材」を同一の原稿内でどちらも違いのない意味で使われることが多いのでしょうか…。せっかく意思を持って使っているはずなのに、ちょっぴり勿体無いかもしれません。
「人財」を最も多く使う業界はIT業界
次は、業界によって「人財」という単語の使われる頻度に違いはあるのでしょうか。
先ほどのデータから、「人財」を使っている企業を業界別に集計してみました。
ランキングを見てみると、ソフトウェア・情報処理のようなIT業界が最も多く、次に、介護・福祉、建設という順になっていました。
「人財」企業の求人には、形容詞が多い?
次に先ほどトップだったIT企業に絞って「人財」と「人材」を使う企業を2つのグループ(両グループ178社ずつ)に分けて、求人情報をテキストマイニングしてみました。
今回は、ユーザーローカル社のテキストマイニングツールを用いて分析しました。
下の結果は、片方のグループだけに出る言葉、よく出る言葉、両方に出る言葉を出力したものです。
この結果を見ると、「人財」を使う企業群は、形容詞を多用し、ニュアンスを確実に伝えようとしていることが見て取れます。あるいは、他社との差別化をはかろうとしているのでしょうか。
ポジティブな言葉で溢れる人財企業
先ほどと同じテキストデータをネガティブな単語ポジティブな単語で分けて出力したものが次の図になります。
左上に注目してみると、「人財」の方がポジティブな単語が多く含まれていることが分かります。
まとめ
今回は、「人財」と「人材」の使われ方の違いに着目して求人上での訴求点の違いをテキストマイニングしてみました。
ちなみに、私は春から「人財」を使っている企業に入社予定です。
分析・執筆:野口祐一(サイコロLab.非常勤研究員)