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近年、ニュース記事やテレビ番組で「ダイナミック・プライシング」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。
しかし「ダイナミック・プライシング」がどのような場面で利用されているのか、また導入することでどのような課題を解決できるのかまでは、あまり知られていません。
この記事では、「ダイナミック・プライシング」とは何か、導入事例や導入するメリットを紹介します。
目次
ダイナミック・プライシングとは
ダイナミック・プライシングとは
「利用料金や商品価格を変動させる仕組み」
ダイナミック・プライシングとは、顧客の需要とサービス提供者側の供給の状況に合わせて、利用料金や商品価格を変動させる仕組みのことです。
ダイナミック・プライシングはホテルや航空・レジャー施設などの業界では頻繁に活用されています。利用料金を繁忙期(オンシーズン)と閑散期(オフシーズン)で統一せず、それぞれの期間で価格設定を行います。
顧客の需要が高まっている商品・サービスや供給量が需要量より少なくて不足が発生している商品は価格を上げて利益を最大化し、逆に需要が少なく買い手や利用者がいない商品・サービスは価格を下げ販売数の増加を促進します。
日本では5月のゴールデンウィークや8月のお盆期間、9月のシルバーウィーク、年末年始がサービスの利用者数が増えるため繁忙期になりやすく、サービス利用の需要が高まります。
このような時期に合わせて価格を高く設定することで収益を最大化でき、閑散期のような収入が少ない期間があっても、一年を通して安定した経営を行うことが可能になります。
ダイナミック・プライシングの仕組み
ダイナミック・プライシングは商品・サービスの需要によってコントロールされます。
以前は、設備やサービスの運営にかかる設備利用料金や人件費・水道光熱費などの「固定費」と売上高に連動して増減する「変動費」を加味し、「利益」をより多く発生するように計算をしながら、人為的に価格を変動させていました。
しかし近年の技術革新により、人工知能(AI)が値決め計算をして価格変動を行うことが可能になりました。
過去の顧客情報を統合し、適切なタイミング・適切な価格で商品・サービスを提供することができます。
ダイナミック・プライシングを導入するメリット
ダイナミック・プライシングを導入するメリットは「利益の最大化」「設備・人材の有効活用」の2点があります。
利益の最大化
「利益の最大化」は、ダイナミック・プライシングを導入して企業側が得られる最大のメリットです。
高需要時に価格を高く設定することで利益をより多く獲得でき、低需要時には価格を下げ販売促進することで在庫や廃棄を削減できます。
設備・人材の有効活用
ダイナミック・プライシングを活用すると、一年を通しての需要を平準化できます。
客が少ないのにもかかわらず設備を繁忙期時と同様に動かしたり、人員を繁忙期と同数動員してしまうと余分な固定費(人件費・光熱費)が発生してしまいます。
繁忙期と閑散期の需要を平準化することで、余分な費用や労力を削減し設備・人材の有効活用が可能となります。
ダイナミック・プライシングを導入すると、場合によっては顧客が通常価格よりもリーズナブルな価格で商品が入手できるケースが発生するため、顧客満足度の上昇にもつながります。
ダイナミック・プライシングの導入業界
レジャー施設
事例として「スキー場」「遊園地」が挙げられます。
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スキー場
まず「スキー場」についてです。
スキーがシーズンスポーツであるため、繁忙期と閑散期がはっきりと分かれています。そのため経営状態をコントロールしていく観点からダイナミック・プライシングの導入は非常に有用です。
「利益の最大化」という利点に加えて、「早期予約の利用客の確保」や「長期利用客の確保」が見込めます。
「早期予約の利用客の確保」は早期予約の価格を低く設定することで予約数の増加を促進します。
また「長期利用客の確保」は「早期予約の利用客の確保」にも関係します。長期利用客は毎シーズン決まった期間に利用する顧客が多いため、確実な収益源となります。
より多くの長期利用客を確保が利益の上昇にも直結します。
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遊園地
次に「遊園地」についてです。
代表的な例はユニバーサルスタジオジャパンです。2019年1月から時期や曜日に分けて提供する価格体系を導入しました。
遊園地は基本的に期間ごとの運営費に大きな差がなく、繁忙期と閑散期の来客予測や需要の変動予測がしやすいため、適正価格での提供が比較的容易です。
繁忙期は入園料を高く設定し利益をあげて、閑散期は入園料を低く設定し販売量を増やすことで来客を促進します。
最近では、東京ディズニーリゾートも入園料の変動制を導入する予定であるため、さらにダイナミック・プライシングの需要が高まっているといえます。
小売業界
小売業界、特にオンライン販売は業界的にもダイナミック・プライシングが早く導入された業界です。
Amazonでは購買頻度や在庫状況などにより、価格を変動させています。商品購入に限らず、スポーツの観戦チケット・ミュージカルチケット・ライブチケットなどもダイナミック・プライシングを活用することで販売促進を行っています。
近年オフライン販売においてもダイナミック・プライシングが広まっています。
ローソンでは実験的にダイナミック・プライシングが導入されています。賞味期限が近い商品を特定し顧客に通知するシステムの導入により、廃棄ロスの低減・販売促進を行っています。
旅行業界
旅行業界はダイナミック・プライシングという仕組みが生まれた業界です。
旅行業界はスキー場と同様に季節や天候など多くの要因が関係します。そのため需要の変化が激しい業界です。収益を高め稼働率を向上させるためにもダイナミック・プライシングは必要不可欠です。
ダイナミックプライシングの導入で商品やサービスの価格だけに限らず、利益の増大や販売促進が見込めるため、組織の経営全体を最適化できます。
ダイナミック・プライシングサービス3選
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特徴
- 滞留在庫を自動検知、優れた在庫管理機能
- 最適な価格を自動で感知し、利益を最大化する学習機能
- 販売実績・利益実績によって価格が変動
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まとめ
ダイナミック・プライシングは近年、多くの業界で導入されています。利益を最大化するためにも今後、多くの業界で導入されるでしょう。
よりよい経営状態を維持するためにも、ダイナミック・プライシングを導入し、需要に合わせた経営を実現しましょう。