AIでのビジネスコミュニケーション分析を行うコグニティ株式会社は、第26回参議院議員通常選挙において各政党が掲げる公約等をAIで分析し、その全分析結果を公式ホームページにて公開しています。
「何を主張しているのか」だけでなく「どのように主張しているのか」のロジック構成を分析することで、その実現力や危機対応策などについての「論理的思考能力」から各政党の主張を比較し、有権者が納得して投票するための情報提供を5日間連続で実施しています。
「AIトーク分析で考える、2022参院選」特集ページ:https://cognitee.com/2022vote
■分析対象
現在公開中の「公約比較」では、各党が公開する公式YouTube・候補者公式YouTubeの選挙関連動画8本が対象になりました。(他、調査全体では政見放送5本・街頭演説41本)
■分析結果サマリー「AI分析よる各党の特徴」
論理構成の特徴 | 主な「主張」とその根拠・背景理由 | |
自民党 | 少ない情報量の中で概要説明を実施しており、一方向主張で根拠は少ない | 根拠付きの主張は検出されず |
公明党 | 自民党と似たロジック構成だが、話のクセがある | 責任を持って実行できる党として「苦しみを脱却して前に進ませたい」 |
立憲民主党 | 情報量が多いが、各話題に根拠が無く、主張が曖昧 | 根拠付きの主張は検出されず |
日本維新の会 | たくさんの話題を盛り込み、強い主張があるが、論理性が低い | 出生率低下が懸念のため「出産の無償化を実施」 |
国民民主党 | 【論理性あり】主張がはっきりしており、論理的説明が付いている | 1)兵器の技術力の進化に対応するために「防衛力強化が必要」
2)自給率Upニーズの背景と、現方針が慎重姿勢なため「新型炉の原発に変える」 |
日本共産党 | 主張はあり根拠も付いているが、記憶に残りにくい | 高齢化社会対策のため、これまで運用が投機的だった「積立金を取り崩す」 |
れいわ
新撰組 |
【トークスキルNo.1】不必要語句を抑え、問いかけが多く心を揺さぶるが、ロジックに偏りがある | 1) 不景気での増税は経済政策の誤りという理由から「消費税廃止」
2)食糧生産による生活の安定が重要なので「労働力移転」 |
社民党 | 情報量は少ないが、一つの話題を深掘り、ロジックが偏っている | 武力で平和が作れない・民主主義の形骸化が戦争を引き起こすという理由で「戦争を止める」 |
さらに詳しい分析結果については特集ページ(https://cognitee.com/2022vote)で紹介されています。
■分析結果1 「どのくらい、話がスムーズか?」
分析対象である各動画の中で「あのー」「ええと」「まあ」などの不必要語(フィラー)が、何回口にされているかが分析されました。
話者のクセを表していますが、基本的には話す長さに相関して増え、少なければ少ないほど「話すべき内容をよく覚えている・迷いなく」話している指標でもあります。
話量の多さと比較すると、日本維新の会は圧倒的にフィラーが多いと言えます。一方でれいわ新選組は圧倒的にフィラーが少ないと言えます。
■分析結果2 「一つの主張に対するロジカルさ」
各動画の中で出た主な主張に対して「どのようなロジックで説明をしたか」が数値的に示されています。
全体に対する割合ではなく、一つの話題に対してどのような説明をしたか、つまり主張に対するロジカルさを分析しています。
立憲民主党・日本維新の会は、主張に対する直接的な論理構成が検出されませんでした。社民党の数値が大きく見えるのは、調査対象の動画が短くて情報量と話題数が少ないことが理由ですが、一つの話題についてロジカルに話していることには違いありません。
■分析結果3 「どの話題が大事な主張か」
各動画の中で話された情報について、その説明量・補足の数や説明した情報の種類から、どの話題が聞き手の記憶に残るほど説明されたかについて、ランキング形式で検出しています。
自民党・公明党・日本共産党は列挙型の話をしているため、1位に「いくつ主張があるか」が検出されました。日本維新の会は「無償出産」、国民民主党は「給料Up」、 日本共産党は「中小企業の保険料減免」、れいわ新選組は「消費税廃止」、 社民党は「憲法9条」が、それぞれ一番説明された話題となります。
■分析結果4 「主張に対する根拠・背景理由提示」
各動画の中で話された主なトピックに対して、直接的に根拠を持って説明された箇所を抜き出しています。
最もロジカルな表現が多かった国民民主党の主張では、根拠付きの主張が3つ検出され、それぞれ記者からの質疑に対して、根拠付きで回答したものでした。
【分析を実施したCOGシリーズについて】
コグニティ株式会社は独自のAIで科学的にコミュニケーションを分析する「COGシリーズ」を展開中です。これまでに業界特化型や用途特化型サービスをリリースし、2022年4月現在までに国内250社・4万人以上に利用されています。営業トークや昨今導入が進む1on1など、コミュニケーションについて定量化・質の「見える化」が可能となり、フェアな評価arimasenndesitaと人材育成が実現します。今回の分析にはプレゼンやピッチに特化した「COG-PRESEN」が使用されました。
※「COGシリーズ」https://cognitee.com/service
【今後の取り組みについて】
コグニティ株式会社は創業時より「技術の力で、思考バイアスなき社会を。」を使命としており、この使命を果たすためには、誰もが公平に情報を入手し意思決定できる仕組みや技術が必要と考えています。
今回の参院選の各党スピーチのAI分析をはじめとして、今後も公平な意思決定や評価、人材育成などをサポートし、AI分析を活用した公平な社会作りへ貢献するとしています。
大学では広告や広報について学んでいます。
サッカーは見るのもやるのも好きです。
AIの知識を深め、わかりやすい記事をお届けしていきたいと思います!