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AIが漫画を作り出せることはご存じですか?
AIが描いたイラストがたびたび話題になりますね。その精度はどんどん向上し、私たちも気軽に使えるようになりました。そして次はAIが漫画を描く試みが始まっています。すでに成功したプロジェクトもあり、実際に読むことも可能です。
本記事では、AIと漫画の関係、作成ツールやAIを活用した漫画のプロジェクトなど網羅的に解説しています。
本記事を通してAI漫画の魅力を深めてみてください。
目次
AIと漫画の関係性とは
漫画を描くのにはシナリオ作りやキャラクター設定など、様々な工程が必要とされます。そして、1つの作品を完成させるのには莫大な時間と労力がかかります。
AIの手を借りることで人間の作業が楽になったり、新しい物語を生み出すことが可能になります。人間の力とAIの能力を組み合わせることで、漫画の新しい可能性を引き出すことができるのです。
AIを活用して漫画を作る流れ
AIは漫画を作る全ての工程を代用できるわけではありません。AIが漫画を作る際には、大まかに2つの要素について使用されます。
以下では手塚治虫の最新作をつくるプロジェクト「ぱいどん」を例にそれぞれ説明していきます。
(参考:コミックプラス)
キャラクター作成
キャラクターを生成するために「ディープフェイク(敵対的学習:GAN)」という技術を活用します。このディープフェイクはジェネレーター(generator)とディスクリミネータ(discriminator)の2種類のAIで構成されており、画像の生成を行います。
まずジェネレーターで、手塚治虫作品を意識した偽物の画像を何枚も生成します。次にディスクリミネータで、ジェネレーターが作った偽物の絵を見破ります。この作業を何度も繰り返すことでAIが学習し、偽物の絵が巧妙になることでオリジナルのキャラクターが出来上がるのです。
最初は上手くいきません↓
だんだん顔らしくなってきました↓
最終的に手塚治虫の特徴が感じられるキャラクターに仕上がりました。↓
(引用:手塚治虫の新作漫画に挑んだ裏側 ーAIを活用したあらすじ&キャラクター生成)
ストーリー作成
ストーリーには起承転結がありますね。慶応義塾大学栗原研究室によると、物語の展開は「発端」「展開」「結末」の3つに分けられ、さらにその中で「日常」「事件」などの13の段階に分けられるそうです。AIがこの流れに基づき話を作り、矛盾が生じないよう人間が補正することで、ストーリーのもととなるプロットが出来上がります。そのプロット案をシナリオライターが肉付けし、内容を膨らませることでストーリーが完成します。
全てAIがストーリーを作ることは難しく、AIが生み出したネタを元に人間が考える必要があるようです。
(引用:手塚治虫の新作漫画に挑んだ裏側 ーAIを活用したあらすじ&キャラクター生成)
AI漫画作成ツール
コマ割りなどどうすればよいかわからないですよね。AIの技術を活用すれば簡単に漫画を作成することが可能です。
以下でそれぞれ解説します
マンガコマッタラー(現在はサービス停止)
マンガコラッターとは、AIが文章から漫画を作るサービスです。文章を入力すると、コマ・吹き出し・アタリが表示されます。
これによってプロの漫画家が行っているロジックを享受することができ、労力を減らすことによって製作コストを削減したり、修正数を減らし時間を確保したりすることができます。
Vnace AI
複雑な建物や実在の人物を描きたい場合、写真を自動で線画にしてくれるAIツールがあります。例えば「VANCE AI」は顔写真を得意とするAI線画ツールで、被写体を正確に認識し、数秒で線画にすることができます。
この機能を使えば、アシスタントを雇わずともえない一般の方でもクオリティの高い絵が完成しますね。また、大幅な時短短縮にもつながります。
AIを活用した漫画のプロジェクト
AIを活用したプロジェクトが次々と登場しています。その活用法はさまざまです。
以下でそれぞれ解説していきます。
ヤンマガAIラボ!
ヤンマガAIラボ!は講談社とSANKYOがコラボしたプロジェクトで、AIによるストーリー開発の裏側に迫るルポ漫画です。
「AIに泣けるストーリーは作れるのか」などの挑戦をゆるくコミカルに描いており、AI開発の大変さや面白さを知ることができます。
一筋縄ではいかないAIの開発について知りたい方にお勧めです。
AI4コマ漫画
AI4コマまんがは、ストーリー生成AI「フルコト」を使用し、AIに4コマまんがを描かせるというプロジェクトです。前半では起承転結の起・承・転まで公開され、最後の結末は読者の想像にゆだねられます。後半では応募から集まった読者が考えた結末を読むことができ、さらにAIが作った結末も知ることができます。AIは私たちが想像もつかないような意外な結末を用意してくれているため、とっても面白いですよ。
マンガレコメンドAIサービス MAI(マイ)
マンガレコメンドAIサービスは、読者におすすめの漫画を紹介してくれるサービスです。
このシステムをもとにした「コレヨモ!」は読者がまだ知らない漫画に出会えることを目的としており、気になるキャラクターを選択したり、読後の感情をAIが認識したりすることで読者の趣向に合った漫画をおすすめしてくれます。
「キーワード検索」や「ジャンル検索」に囚われない新しい漫画との出会い方を提案してくれます。
手塚治虫の新作「ぱいどん」
ぱいどんはAI技術を用いて作られた手塚治虫の新作漫画です。プロット作りとキャラクター作りにおいて2種類のAIが使用されました。
過去作からセリフや展開を文章化し、更にあらゆるキャラクターの設定を表にまとめることで手塚治虫らしい作品に作り上げています。また、キャラクター生成は「転移学習」によって、手塚治虫の特徴を出しつつ安定した顔に完成させました。
手塚治虫の作品といえるのか、ぜひ実際に読んで確かめてみてください。
おわりに
AIを活用することで新しい漫画の楽しみ方が広がっています。
作り手は作業効率が良くなり便利な機能を気軽に使えるようになるでしょう。読み手はAIが作った作品に感動したり、笑い転げるようになるかもしれません。
はたしてAIは人間のように複雑で突飛でオチのある作品を作れるようになるのでしょうか。
ぜひAI漫画の今後の展開に注目してみてください。