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海外のAI系コンテンツに触れたい方におすすめ。
AINOWは翻訳記事だけではなく、海外記事の要約をまとめたコンテンツも配信していきます。
目次
海外記事要約まとめ
AIに関する本当のスキャンダル:驚くべきAIのStcok Photoの数々
著者 Adam Geitgey
著者のAdam Geitgey氏はAI製品を開発しているエンジニアでありながらコンサルタントも務め、オンラインAI技術講座Lynda.comを運営している。同氏がMediumに投稿した記事では、巷にあふれているAIに関する記事に挿入されたトップ画像の傾向について論じている。
AI関連記事のトップ画像はロボットハンド、「AI」という文字のロゴ、ロボット本体の3つがモチーフになっているものが多い。こうしたAIに関する紋切り型のイメージ画像を普及させた人物として、AI教育における第一人者であるAndrew Ng氏の名が挙げられる。同氏がオンライン学習サイトCourseraで開講している機械学習講座のロゴには、古典的なロボットのイメージ画像が採用されている。
しかしながら、こうした典型的なAIに関する画像は、AIを正しく伝える画像ではないと言わざるを得ない。それゆえ、これからのグラフィックデザイナーはAIに関するより適切な画像をデザインするべきなのだ。
状況を表現しレンダリングするニューラルネットワーク
著者 S. M. Ali Eslami、Danilo Jimenez Rezende
DeepMind社に所属するリサーチ・サイエンティストであるEslami氏とRezende氏が公開した同社公式ブログ記事では、「想像力」を駆使して効率的な空間把握を実行するAIについて解説されている。
ヒトはテーブルを見て3本の脚しか見えていなくても、テーブルの形状と置かれた位置からテーブルの脚が4本あることを想像することは容易い。その一方で、現在のAIは欠落した情報を補うような認知能力を不得手としている。こうしたなか、同社はGQN(Generative Query Network)と呼ばれる空間情報を隅々まで収集しなくても空間を把握できるAIを開発した。その空間把握の仕組みは、生成ネットワークと言われる機能が情報を収集していない任意の空間情報を生成することで空間全体の情報を補完し完成させる、というものだ。つまり、AIが知らない空間に関しては、「想像して」空間情報を補うというわけである。
以上のような任意の空間を想像できるAIは、従来より時空間に関する物理学や運動を理解できるAIの開発、さらにはVRあるいはAR関連のアプリに応用できると考えられている。
AIとディープラーニングはどのようにして超音波を使ってガンを診断するのか?
著者 Tony Kontzer
著者のTony Kontzer氏は20年以上にわたり多数のテック系メディアに記事を投稿してきたジャーナリスト。同氏がGPU開発最大手NDIVIAのUS版公式ブログに投稿した記事では、ディープラーニングを活用して乳癌を早期発見する事例を解説している。
乳癌の検診方法にはマンモグラフィーと超音波検査の2種類がある。マンモグラフィーは検査精度が高いが、高価な機材を導入しなければないため、検診できる場所が都市部に限られている。対して超音波検査は、安価に検診できるが画像の診断には医師の熟練が必要とされる。そこで超音波検査の診断をサポートするAIが開発された。このAIは、超音波検査の画像を学習データとしてディープラーニングを実行して、乳癌の兆候を発見できるように医師をサポートする能力を獲得したのだ。
以上のAIを開発したアメリカ・ミネソタ州ロチェスターのメイヨークリニック上級研究員であるViksit Kumar氏はインド系アメリカ人なのだが、インドのムンバイに住んでいた母親を乳癌で亡くした経験がある。こうした経験から、同氏は発展途上国でも普及させることができる安価で高精度な乳癌検診システムを実現したいと思い、件のAIを開発したのである。
なぜわれわれは社会倫理的な懸念からAIを非難するのか?
著者 Kalev Leetaru
著者のKalev Leetaru氏は、20年以上にわたりインターネット社会におけるデジタルデータの活用に関する著述活動にたずさわり、現在はジョージ・ワシントン大学のアメリカ本土およびサイバー空間に関するセキュリティーの研究センターでシニア・フェローを務めている。同氏がUS版Forbesに投稿した記事では、AI活用に関する倫理的な議論の風潮を批判している。
AIをめぐる倫理を論じる時、しばしば「AIに固有の問題」と「データ活用の問題」が混同される。そうした混同の事例として、市街監視システムに顔認識機能を実装したAIを導入する是非を問うという議論があげられる。この問題は、実は「データ活用の問題」である。というのも、AIの導入を斥けたとしても、ヒトによる監視ならば容認できるのか、という問題がすぐに問われるからだ。
こうしたAIの倫理性をめぐる混乱を避ける簡単な方法は、問題となっているAIの機能をヒトが実行した時に非難されるに値するか、と問うてみることである。ヒトが実行しても非難される問題であるならば、その問題はAIに固有の問題ではない。このように混乱を避けたうえで、AIに固有の倫理的問題こそを真剣に議論すべきなのだ。
ヒトvs機械:MLB中継で投球を予測する
著者 Dennis Oleksyuk
著者のDennis Oleksyuk氏は、 世界で有望なAI企業100に選出されたAIをエンターテインメント分野で活用することを推進している企業DataRobotでAIサービス研究チームのディレクターを務めている。同氏が同社公式ブログに投稿した記事では、同社が開発したメジャーリーグ公式戦における投球を予測するウェブアプリについて解説している。
メジャーリーグでは、ビリー・ジーンがデータ駆動型スポーツ・アナリティクスを始めて以来、データにもとづいた戦略・戦術分析が一般的となっている。同社は、こうしたスポーツにおけるデータ活用をさらに推進すべく、メジャーリーグの公式戦における投手の球種を予測する機械学習システム「PITCH 」を開発した。同システムは、投球に関連する様々なデータをAIに機械学習させることで球種を予測する。そうしたデータには、以下のようなものがある。
・投手の直近の投球データ
・対戦する打者に関する投手のパフォーマンス履歴
・投手の利き手
・試合の点数
・試合中の天候
・球場に関するデータ
以上のようなデータを機械学習して、同システムはメジャーリーグ公式戦における球種をリアルタイムに予測するのだ。なお、同システムはウェブブラウザから閲覧可能であり、予測精度についても日々更新されている。
Special Thanks (翻訳協力):吉本幸記