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2020年2月27日、英会話スクール事業などを手がける株式会社イーオンが記者会見を行い、同社の新事業方針を発表しました。
教育においてはスマートフォンを活用したeラーニングなどが進み、さまざまなデータが蓄積されるようになっています。AIをはじめとしたDX(デジタルトランスフォーメーション)が求められる昨今、イーオンもDXに着目し「教室の価値とEdTechのハイブリッド」により、イーオンにしかできない学習価値を提供していく方針を打ち出しています。
目次
7万2000人に学習を提供するイーオンの事業
まず最初に株式会社イーオンの代表取締役社長 三宅義和氏により、イーオンの新事業の方針について発表されました。
1973年に創業されたイーオンは現在、直営253校を運営しています。
高校生以上を対象とした「英会話イーオン」だけでなく、1歳から中学生を対象にした「こども英会話」や法人や学校向けの英語研修サービスも提供している。その他オンラインでeラーニングも提供しています。
生徒数は約72000名にのぼり、TOEIC950点以上の日本人教師が263名、英検1級を取得した日本人教師が270名在籍しています。
また、イーオンは2018年1月には、KDDIグループに参画し、デジタル化に舵を切っています。
三宅氏によれば、イーオンのDX化もKDDIの知見が大きく反映されていると言います。今までには、2018年11月にはAIを活用した発音診断をリリース。その他もEdTech推進のため、予習や復習をアプリ上で可能にした「イーオン・ネット・キャンパスアプリ」なども提供し、先駆的にDXに取り組んできました。
今後、イーオンは独自にノウハウを積み重ねてきた教室の価値と、EdTechのハイブリッドにより、イーオンにしかできない学習機会を創造し、提供していくことを目指していると三宅氏は強調しました。
そのために活用するのは一人ひとりの学習データです。英語教育のプロフェッショナルを多く抱えるイーオンのノウハウをAIによって再現することで、指導技術を標準化、さらに個別最適化された英会話教育の実現を目指していきます。
三宅氏:最高のサービスをこれからも提供していきたい。イーオンはレッスンを提供し、そのレッスンに付随した予習復習を含めたオンラインでの学習も提供しています。
それにプラスしてデータに基づいたアドバイスができます。
それぞれ1つを提供している事業者は多いが、イーオンではレッスンとネット学習とアドバイスが連動している。その根幹となるカリキュラムがある。
(中略)
その3つの有機的な連動で最強の教育を提供していきたいと思っている。
新たな学習価値を提供するイーオンの取り組み
続いて登壇したのは株式会社イーオン 経営戦略本部の向井崇浩氏です。向井氏からは、これまでのイーオンのDXの具体的な取り組み例やAIを活用した新たな取り組みなどについて詳しく紹介されました。
アプリとレッスンを融合させたイーオンのDXの取り組み
イーオンは今まで、以下の図のように予習と復習の2つのフェーズでのアプリ活用と対面レッスンの3つの大きなフェーズを構築し、英会話の習得を体系化してきました。
また、アプリを活用した予習・復習とレッスンは独立しておらず、裏で「学習データバンク」が構築され、どんな問題で間違えたのか、レッスンでの習熟度などが細かに記録されています。
イーオン・ネット・キャンパスアプリ|カリキュラムと連動した自宅学習を可能に
予習・復習の自己学習ツールとして活用されているのが2019年3月にリリースされた「イーオン・ネット・キャンバスアプリ」です。カリキュラムと連動したスマートフォンアプリで、レッスンの出席率や受講率、自宅での学習状況などを学習データバンクに蓄積しています。
AEON NOTE|教師が気軽にデータにアクセスし細かなサポートが可能に
また、取得したデータを教師が有効活用できるように、イーオンではタブレットを教師に配布し、「AEON NOTE」でデータにアクセスできるようになっています。教師はレッスン時だけでなく自宅学習時のデータなどを参考にすることで、細かなサポートが可能になっているほか、新人の教師でもベテラン教師と同様の学習サポートを行えるようになっています。
AEON Dr.English |自分の英会話力を簡単に診断可能
上記の2つのツール以外にも2020年1月から「AEON Dr.English」が提供されています。
「AEON Dr.English」は、リスニング力とスピーキング力の英会話に必要な力を簡易的に診断できるツールで、画面の指示に下書き、英文を聞いてそれに答えることで、課題を診断し、学習者にオススメの学習法が自動的に推薦されます。
2020年4月からはAIを活用した英会話eラーニングシステムをリリース
2020年4月からはAIを活用した英会話学習サービス「AI Study Design 〜Grammar編〜」をリリースします。アダプティブラーニングの特性を生かした学習方法を体現するために、まずは文法に着目し、学習者がつまずいている文法項目をAIがアルゴリズムに従って出題し、効率的に苦手な文法項目を集中学習可能です。
2020年のさらなるイーオンの取り組みと将来像
今までに紹介してきたサービスなどを活用し、2020年はさらに効率的なレッスン連動の英会話コーチングを行っていくとしています。
具体的身は、イーオンのテキストやレッスンは今まで通りに運用し、その上で、自宅学習などを個別に最適化されたコーチングやアドバイスを実施することで、個々の生徒に合わせた学習スタイルの提供を行っていきます。
また、将来的には以下の図(将来像)のように、学習者の気質やライフスタイル、学習内容などのデータを活用していくことで、くじけることのない学習方法を提供していくとしています。
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