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こんにちは、AINOWの亀田です。
今回はMUFG Fintech アクセラレータプログラムでグランプリを受賞して、大注目のxenodata lab.のオフィスにお邪魔してきました。
なんと、オフィスは一軒家を借りているそうで、友人の家を訪問するような感覚で、とてもアットホームな職場でしたよ。
目次
xenodata.labを企業した背景
亀田
公認会計士をされていたそうですが、企業に至るまでの背景を教えてください。
関さん
学生時代からITの世界で起業することを漠然と考えていました。その中で公認会計士時代は、財務諸表監査だけでなくシステム監査の仕事をしてITに関する知識も自然と身に付き、財務知識とITの融合のような分野にとても興味を持っておりました。
亀田
その後、ユーザベースでのご活躍が起業の理由にも繋がりそうですが、どのような背景で起業されたのでしょうか?
関さん
アジア最大級の経済情報プラットフォームであるSPEEDAの事業開発責任者として、国内外の市場環境調査、プロダクト戦略の立案、仕様設計などを行ってきました。SPEEDAには企業のデータが膨大にあり、分析するための企業データは即時に出せてとても便利なのですが、そのデータを用いて分析をする、特に文章のような定性データを分析することはどうしても人間の手が必要になってしまう。この部分を解決したくて起業を決意しました。
亀田
人間の手がかかっている部分をどのように解決したいと思ったのですか?
関さん
まずは公認会計士の経験がある自分として最も手触りのある財務分析についてサービスを手掛けようと思いました。決算短信を見た分析のうち、だれがやってもある程度同じような主要科目の分析を、文章のような定性情報を含めて自動化する、具体的には、増収減益という数値情報から見た結果だけではなく、なぜ増収しているのに減益しているのかというその業績背景の分析を自動化しようと考えました。それを、全企業について、発表後瞬時に、安く提供することで、世の中の決算発表後の分析を劇的に効率化できると、そう考えました。
xenodataシリーズのサービス特徴
数十秒で企業の決算短信が可視化出来るサービス
亀田
弊社の情報もわかりやすく瞬時に表示されました。
関さん
ありがとうございます。現在は主要PL科目、事業ごと毎に短信に記載がある限り解説を添えて分析を提供しております。最近では、バランスシート(BS)分析などもほしいという声をよく聞きます。
※実際にディップ(2379)の分析結果を表示していただいた。
亀田
この図表を拝見していると、文章の部分がありますが
これはどのように生成しているのでしょうか?
これはどのように生成しているのでしょうか?
関さん
決算短信の財務諸表、全文章情報、重要な注記情報に記載のある内容を、重要度を加味してを説明する文章を生成をしています。
亀田
アナリストの解説記事が自動生成されるのですね。スゴイ!
関さん
特徴としては数値情報の分析だけじゃなく、文章を解析して因果関係を読み解いていきます。
会計科目毎に増減理由となる文章を紐付けることで、科目毎に解説文を生成することができます。ここに我々の特許技術が使われております。
会計科目毎に増減理由となる文章を紐付けることで、科目毎に解説文を生成することができます。ここに我々の特許技術が使われております。
精度を上げる為の工夫
亀田
文章の自動生成だけも難しいと思いますが、因果関係の説明に関しては、どのようにして精度改善を行われているのですか?
関さん
ここに関しては、主に2つの方法で日々精度を向上させております。一つは、機械学習により、あり得ない文章がが生成されていないか(例えば、減損損失により最終増益など)をチェックしエラーははじく処理を入れております。また、その教師データの作成、生成文章のチェックは目検により熟練したテスターにやってもらっております。
亀田
いくら定量データと言えど解釈を間違える事もありますものね。
意味の分からない文章ではない理由がわかりました。
意味の分からない文章ではない理由がわかりました。
証券アナリストの失職について
亀田
ここまで便利なサービスだと、証券アナリストの仕事内容は大きく変化しそうですね。
関さん
よくAIが仕事を奪うと言われていますが、人間がより高度な事ができるように進化していくと思います。そろばんから電卓、エクセルが登場しても誰も失業する人はいません。むしろ忙しくなっているくらいじゃないでしょうか。今までのような決算後によーいどんでコメントを書くなどのロールは無くなるかもしれませんが、例えばAIではなかなか導き出せない長年の取材や経験に導かれるインサイトを投資家から求められ、それはそれで忙しい日々になるんだと思います。なので、変化に対応できる優秀な方の失職は、いつの時代もどの職種でもほとんど存在しないと思ってます。
プロダクトの作り込みと検証力
亀田
オフィスが一軒家ということで凄く親しみのある雰囲気ですが、どのくらいの人数で開発されているのですか?
関さん
正社員、パート/インターン合わせて12人です。
ソフトウェアエンジニアを中心に構成しており、データ分析の部分は外部のパートナーを交えながら技術力を高めています。
ソフトウェアエンジニアを中心に構成しており、データ分析の部分は外部のパートナーを交えながら技術力を高めています。
亀田
かなり作り込まれたプロダクトですが、どのくらいの年月を費やされたのですか?
関さん
1年半プロダクトの作り込みと精度改善をしてきました。企業数を増やし、様々なパターンをある程度の精度で解析できるようになるところに苦労をしました。
亀田
そうですよね。この精度にはビックリしました。
ちなみに、技術的にはどのような要素技術を使われているのですか?
ちなみに、技術的にはどのような要素技術を使われているのですか?
関さん
一つは独自の自然言語処理による因果関係抽出(特許取得済み)があります。これにより、会計科目ごとに、どのような要因が影響しているかという文章を抽出し、構造化データに落とすことができます。また、その精度を上げるために機械学習も用いております。さらに、PDF解析技術で、これにより今までは手入力でしか取得できなかった、すなわち、単にPDFに記載されているだけの注記データも、手入力無しで自動で数値の抽出ができます。
今後の目指すビジョン
亀田
最後に今後の目指す方向性を教えてください。
関さん
現在は、過去の分析をしてファクトとして解説しているが、今後は企業の業績について将来どうなるのか予測する方に力を入れていきたいです。
編集後記
人間がやるよりシステムに任せた方が効果の出る仕事が明確になってきました。財務分析もその一つ。テクノロジーを駆使して、ユーザ課題を解決するプロダクトをしっかり作り上げて、マネタイズまでも実現している、大変、素晴らしい企業にお会い出来ました。
また、開発風景もとても和やかで楽しく開発ができるのだろうなと思いました。求人も募集中とのことですので、興味をもったらご連絡してみてはいかがでしょうか?