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こんにちは、日々ゲーマーとして腕を磨いているかめきちです。
今回は、私が5年に渡りプレイしている、あのビックタイトルで活用されているAIの仕組みについて取材してきました。お伺いしてきたタイトルは、ドラゴンクエストX(以下、DQX)!
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ドラゴンクエストX 作品紹介
ドラゴンクエストシリーズとしては初のMMORPG作品として、ユーザに楽しまれています。そんなMMORPGにおけるAI活用はどのように行われているのか、開発者のお二人にお話を伺うことができました。
ドラクエ10と言えば、やはりバトル。皆さんが日々LV上げに励み、強敵に挑むときには欠かせないシーンですよね。そして、プレイヤーの皆さんが感じるあの質問もぶつけて来ましたよ。
実際にプレイされている方はイメージしやすいと思いますので、AIの仕組みを学びながら読んでみてください。
インタビューをお伺いしたお二人

齋藤 将之さん(左) 1992年 北里大学獣医畜産学部修了後、株式会社ビー・エム・エルに入社。細菌検査業務という異色の経歴を持つ。 1996年 株式会社フロム・ソフトウェア入社。代表作「アーマード・コア」「フレームグライド」など。 2000年 株式会社チュンソフト入社。代表作「3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!」など。 2004年 株式会社スクウェア・エニックス入社。ダージュ オブ ケルベロス -ファイナルファンタジーⅦ-開発、ファイナルファンタジーXIII開発、共通エンジン開発を経て、現在ドラゴンクエストXフレームワークプログラマーチーフ。
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勝目 佳孝さん(右)2003年立命館大学大学院理工学研究科情報システム学専攻修了後、株式会社セガへ入社。代表作はどろろ、ファンタシースターユニバース。2006年に株式会社スクウェア・エニックスへ入社し、現在ドラゴンクエストXのバトルプログラマーチーフ。
バトルにおけるAI活用

DQXのAIと言えばサポート仲間

かめきち

勝目さん


モンスターは個々のAIで状況を判断して行動しているんです。
神僧侶が出来上がった背景



当初、堀井さん(「ドラゴンクエスト」の生みの親)とも僧侶のAIについて話し合ったのですが、プレイヤーが倒されたまま何もできないよりはこの方がいいだろうという話になり、わざと反応速度を遅らせるような処理は入れずに、現在に至っています。


天地雷鳴士の召喚する”げんま”はモンスターAIがベース!


AIはサポート仲間を参考に作られているのでしょうか?


ボスモンスターに実装されているAIとは?





ボスAIと絡めることでより、バトルを盛り上げる事も出来たのですが、サポート仲間に開発の想定した行動をさせてしまうと、このボスには必ず押し合いをすべきなどの戦術の固定を招く恐れがあることや、処理自体もより複雑になるために断念しました。


レグナードの絶妙な戦闘バランスはプレイヤーから作られた!?



バトル中のデータを活用しても良いのですが、上記の通りお客様に任せる形で戦略や戦術を考えていただきたいという意図から、戦いに制限を設けることはしていません。








ゲームを作る上でのAI活用




齋藤さん





あのバランス感覚には驚かされますね。

RMT(リアルマネートレード)を監視する機械学習の仕組み

特にドラクエ経済圏を作る上で重要なバザーの売買データ活用について教えてください。



生ログデータを見ただけで「RMTをしている」と判断できるので、驚かされるのですが(笑)


今、そんな彼らの業務を、機械学習で実装できないか検証を行っているんですよ。人が実際に検出できている”特徴があるデータ”なので、アルゴリズム化出来ると考えています。
DQXで活用されるデータ



しかし、データ量が膨大で、サービス開始当初からのデータをすべて貯めておく事はできないので、用途に応じて保管方法と期間を変えています。


お客様から頂く緊急度の高いお問い合わせに関しては、すぐに解答が出せるよう高速なデータ検索システムを用意しているのですが、それでもゲーム中でリアルタイムに活用するのにはパフォーマンスが足りません。



膨大なデータを扱う上で工夫していること






私達も先を見越して、かなりしっかりとログフォーマットを策定したつもりですが、それでもデータの取り回しが厳しくなってきています。
データサイエンティストの方々にこの様な事を云うのは釈迦に説法かもしれませんが、フォーマットの策定などは、先の更に先を見据えて慎重に設計して頂くのが良いかと思います。
まとめ

Ver4.2も好評発売中!!

先月の5月30日にVer4.2アップデートが実施されました!
プレイヤーのみなさんが楽しみにしているストーリーや、やりごたえのあるコンテンツが実装されていますので、最近、プレイしていないという方もぜひアップデートしてみてはいかがでしょうか?
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AINOW編集長、毎日数時間ゲームをこなすゲーマー。
サービスデザインを得意とし、課題からサービスを最速で立ち上げる職人。