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順天堂大学が2019年6月4日、キリンホールディングス、 三菱UFJリース、 グローリー、 日本生命保険、 三菱UFJ信託銀行などと連携して「神経変性・認知症疾患共同研究講座」を設置し、 高齢化に伴って発症するパーキンソン病や認知症などの神経変性疾患、 認知症疾患の予防、 早期発見・診断・治療のための探索的研究の実現に向けた産学連携の取り組みを開始したと発表しました。
この共同研究講座では、 日本IBMのAI・人工知能技術やデータ解析技術を研究開発に活用していくとしています。
現在、 日本は超高齢社会に突入し、 パーキンソン病や認知症など、 加齢に伴い発症率が増加する神経変性・認知症疾患は大きな社会問題になっています。 認知症有病者数に関しては、 2025年には約700万人に達するとみられ、 65歳以上の5人に1人が認知症になるとされています。
このような患者の多くは、 運動機能障害や認知機能障害のため、 通院することさえ困難であることが多く、 診断や治療への障壁になっています。 また、 現時点では、 これらの疾患は根治が困難ですが、 適切な生活習慣の実践や早期発見による社会的な支援が、 症状の発症や進行の防止につながるとされています。
順天堂大学は、 パーキンソン病や認知症といった代表的な神経変性・認知症疾患に関する診療実績も多く、 パーキンソン病だけでも患者数は4,000人以上に上ります。 また、 この共同研究講座の設立に先立ち、 2017年10月には順天堂大学と日本IBMが共同でタブレット端末を利用した遠隔診療サービスの導入を開始しており、 このタブレット端末を通じて、 多くの神経変性・認知症疾患患者の診療を支援してきました。
神経変性・認知症疾患共同研究講座では、 これらのビッグデータの収集・解析や臨床的研究を通して、 神経変性・認知症疾患における「予防」「早期発見・診断・治療」「悪化防止」「生活レベル維持」につながる研究開発に取り組むとしています。
神経変性・認知症疾患共同研究講座は神経変性・認知症疾患の研究では血液検査や画像診断検査のデータを用いる従来のプロセスではなく、 日常における生活スタイルや食事の嗜好性などのデータを収集・解析することを探索。 特定の食品の摂取などがどのように疾患の発症・進行や、 治療方針の策定に有用であるかを検証し、 より良い治療方法の開発を目指します。
また、すでに開始しているパーキンソン病及びパーキンソン症候群患者を対象とした遠隔診療の内容を発展させ、 AI ・人工知能を用いた診断支援、 データ収集、 進行予防などに役立つ機能など、 利便性の高いネットシステムの開発を目指します。
服部 信孝 教授(講座代表者:順天堂大学医学部神経学講座)によるコメント:本研究では、 神経変性疾患及び認知症疾患における「予防」「早期発見・診断・治療」「悪化防止」「生活レベル維持」などに対して、 遠隔診療及び特定の食品による介入が有用であるか否かを検証し、 先制医療及び新規治療方法の探索を目指していきます。 共同研究で得られた成果は、 本研究に参画している各企業が専門とする分野において事業化し、 社会に還元してまいります。
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