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株式会社ディー・エヌ・エーがAIとIoTを活用した商用車向け交通事故削減支援サービス「DRIVE CHART(ドライブ チャート)」の提供を2019年6月4日から開始したと発表しました。
ソフトウェアのアプローチで運転ミスを削減
「DRIVE CHART」は、商用車向けのサービスで、車内外を写す専用車載器の映像、加速度センサーやGPSを元に、AIによる画像認識で危険運転状況を可視化し、運転特性をドライバー自身だけでなく管理者と共に把握・改善することができるサービスです。
国内においては、自動車の運転支援技術の普及などにより、死亡事故発生件数は減少傾向にありますが、全国では年間47万2165件の事故が発生していて、事業用の商用車だけでも年間3万2655件発生しています。
事故の原因は90%以上がヒューマン・エラーと言われており、事故削減には、人に頼らない自動運転化と、運転ミスを起こさないような人の能力の拡張の2つのアプローチがあります。
「DRIVE CHART」では、DeNAの強みを活かし、普及しやすく人と交通環境の両面を改善できるソフトウェアでのアプローチを行うサービスです。
車内外に向けられたカメラで危険運転を検知
「DRIVE CHART」では、株式会社 JVC ケンウッドと共同で開発した専用車載器に内蔵された加速度センサーやGPS による車の挙動だけではなく、車内外向けカメラの映像を車載器内で即座にAIで解析し、地図情報などと組 み合わせることで、習慣化された危険運転行動やドライバーの状態に潜むリスクまで検出可能です。
外向きカメラでは前方の車両や歩行者、車線などを認識し、一時停止や制限速度超過などの危険運転を検知します。
社内向けのカメラではドライバーの顔向きや目の開度を認識することで、脇見運転などの危険運転を検知。今後は居眠りの検知などの機能も追加される予定といいます。
ドライバーは、検出した危険シーンと検出された場所を確認の上、動画で振り返ることができるほか、目標を決めスコアで改善の推移を実感できるため、当事者意識を維持できます。
安全管理者は、各ドライバーの目標達成度合いや声がけすべき運転状況が一目で把握可能で、客観的な情報を元にコミュニケ ーションを取ることができます。ドライバー自身や安全管理者との振り返りに加え、外部の専門家を含めたサポートチームからの運用改善のためのアドバイスを受けることも可能です。経営者を巻き込んだ支援も行います。
事故率がタクシーで約25%、トラックで約48%改善
株式会社日立物流、株式会社首都圏物流などの協力の下、2018 年4月から10月にかけて実証実験を行った結果、過去5年の同時期平均比で、 事故率がタクシーで約25%、トラックで約48%改善したといいます。また、自社車両の修繕費でも効果が現れた上に、事故規模の縮小も確認されました。
「DRIVE CHART」は今後、プライバシーに配慮した上で、交通環境のビッグデータを活用し、自治体や警察などと連携の上、道路の安全や道路管理、防犯など社会全体の交通環境整備を目指すとしています。
昨今、交通事故に関する報道が相次ぐなか、自動運転とは違ったアプローチで交通事故の減少にAIを活用する「DRIVE CHART」の取り組みに今後も期待です。
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