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あなたは外国語を日本語に直すのに、てこずった経験はありませんか。そんな時は、AIに翻訳を頼むのが便利です。
AI技術の発展を背景に、機械翻訳の精度は、数年前には考えられなかったレベルになっています。
この記事では、AI翻訳を活用するメリットを説明したうえで、実際の翻訳ソフトウェアや、翻訳機を紹介します。
今まさに、AIに翻訳を頼みたい方は、是非読み進めてください。
目次
AIが翻訳をどう変えたか
今日のAI翻訳技術の劇的な質の向上は、AIの発展にブレイクスルーを起こしたディープラーニングの影響にあります。
従来、自動で翻訳する技術の開発が進められていましたが、ディープラーニングを活用した翻訳技術が登場することで、精度面での大幅の躍進を遂げました。
従来の統計的な機械翻訳(SMT)は、文章に対してルールを適用させることで翻訳させていました。
一方でディープラーニングを活用したニューラル機械翻訳(NMT)では、厳密な規則はなくモデルが学習のなかで、規則を導き出します。
今日のAIによる機械翻訳は多くの場合、このニューラル機械翻訳を指します。
AI翻訳を利用する3つのメリット
AI翻訳を利用するメリットは何でしょうか。3つの視点で解説します。
大量に翻訳できる
翻訳の大変さは、外国語を勉強した人であれば、誰もが理解できることだと思います。しかし、AI翻訳であれば、元の文章をコピペするだけで、一瞬で翻訳ができます。
なかなか時間がないけど、どうしても英語の情報が必要な忙しい方は、重宝するはずです。
優秀な人材のリソースを確保できる
専門的な翻訳ができる人材は、非常に優秀であることが伺えます。
例えば、まずAIに翻訳させ、そこからできた文章のみを人間の翻訳家がチェックする流れをつくれば、翻訳家は作業をより効率化させられるでしょう。
これまで複雑な業務だった翻訳を、AIで定型業務のような形に。優秀な人材をより、高度で複雑な業務にあてることが可能になります。
属人的な翻訳にならない
翻訳のプロセスは、元の文章を解釈して、別の言語で表現するという流れが一般的です。従って、誰が翻訳するかによって、解釈や表現の仕方にばらつきが生じます。
AIは、そのような属人性を排除した翻訳が可能です。
一方、AI翻訳のモデルは日々、更新・改良されていくものであるため、毎回同じ翻訳結果になるとは限らない点には注意しなければなりません。
無料のテキスト翻訳
まずは、今すぐ無料で使えるサービスを紹介します。それぞれのサービスで特徴が異なりますので、一緒に見ていきましょう。
Google翻訳
Google翻訳は、おなじみのGoogleが開発した翻訳サービスです。
無料で、だれでも簡単に使うことができます。
Google翻訳では、翻訳結果に対して自分で修正を加えることが可能です。こうやってユーザーが加えた修正によりモデルが強化されます。是非、より優秀な翻訳の実現に貢献してみてください。
くれぐれも、突拍子もない修正を加えないように(笑)
LINE翻訳
LINEでも翻訳機能を使うことができます。
「LINE英語通訳」や「LINE韓国語通訳」を友達追加してみてください。彼らにトーク画面でメッセージを送ると、その言語で翻訳して返してくれます。
実はこの翻訳機能、LINEならではの使い道があります。
外国の人とLINEで友達になった時に、トーク画面に「LINE〇〇通訳」を招待します。すると、お互いのメッセージを翻訳してくれるのです。
外国人とコミュニケーションを取る時は最適なサービスだと言えます。
DeepL
高い翻訳精度で有名になった「DeepL」。開発するのはDeepL GmbHで、本社はドイツにあります。
Tech Crunchが公開した記事では、Google翻訳等他社の翻訳ソフトと比較して、もっともDeepLが優れていると評価されています。
有料プランでは、文書のまるごと翻訳や、訳文のカスタマイズが可能です。
基本有料のテキスト翻訳サービス
続いて基本的に有料のサービスを紹介します。法人として翻訳サービスを使い方は要チェックです。
みらい翻訳
みらい翻訳は、Google翻訳と比べるとよりプロフェッショナルな翻訳サービスです。
サービスは大きく3つに分かれています。。
- 企業向けテキスト翻訳サービス
- ベンダー向け音声翻訳APIサービス
- 翻訳エンジンチューニングサービス
機械翻訳用のカスタマイズ機能や、高精度な機械翻訳を望む方のための翻訳エンジンチューニングサービスを展開しています。
自分の事業に特化した翻訳サービスを提供してくれるので、高精度な翻訳を求める方に最適です。
株式会社ロゼッタのT400
株式会社ロゼッタも、AIを用いた機械翻訳サービス「T-400」を展開しています。
T-400ではあらかじめ分野を指定して翻訳をするのが特徴です。
それぞれの専門分野データベースと、ユーザーごとのデータベースを組み合わせた翻訳機能によって、高い精度を実現しています。
特に、医療・科学・法務・金融の分野はオススメとされています。
COTOHA® Translator
COTOHAはNTTコミュニケーションズが提供する翻訳のプラットフォームです。
Wordや、PDF等の文書をそのまま翻訳してくれるため、外国とのやり取りが頻繁に発生する法人の方にはオススメです。
kode-AI翻訳
kode-AI翻訳は、株式会社高電社が提供する翻訳サービスです。
入力されたテキストやofficeのファイルを即時翻訳できます。
サービスの内容は2つに大別できます。
一つ目は「officeクラウド」です。文書の翻訳が可能で図やグラフも解析して翻訳結果に反映させられます。
二つ目は「クラウドAPI」です。Webサーバーと連携できるWeb APIを提供しています。
月間で翻訳可能な文字数によって価格が異なるサービスになっているので、自社のニーズにあわせたプランで仕様することも可能です。
翻訳機
続いて、外国に行くときに大活躍する翻訳機を紹介します。
翻訳機を持っていれば、言語というハードルをある程度なくせるため、海外ライフをより快適にできます。
ポケトーク
ポケトークは74言語に対応した双方向の音声翻訳機で、128の国と地域で利用できます。操作が直感的で使いやすいのもポイントです。
ポケトークは翻訳だけではなく、語学の学習にまでその機能を広げています。
実際に外国人とリアルタイムでのコミュニケーションをする場合や、発音を練習したい人にはオススメのサービスです。
富士通のarrows hello
富士通もarrows helloという、手のひらサイズの機械翻訳サービスを提供しています。
オンライン翻訳、オフライン翻訳に加えて、カメラ翻訳というサービスを搭載しているのが何より特徴的です。
文字を撮影して、翻訳した言葉で表示してくれるので、例えばレストランの食事やホテルでの説明書など、海外に行くときは重宝されます。
翻訳のこれから
ニューラル機械翻訳は基本的に、データが集まれば集まるほど精度を増します。これから、我々のコミュニケーションによってデータが増すことはあれども、減ることはありません。
従ってデータの増加に伴ってモデルの精度は向上し、今後とも機械翻訳の精度は増していくでしょう。
一方でこのままモデルの精度が増したとしても、人間による翻訳の代替が可能だと言い切れない面があります。
私たちは意味を理解して言語によるコミュニケーションを取っています。
しかし、なぜ私たちが意味を理解できるか。あるいは、どうやって意味を理解しているかは、今だ明確に解明されていません。
例えば、学術的な本では、その道の専門家が翻訳をします。それは、その言語で書かれている言葉は、その分野の知見がないと解釈できない。意味が分からないからではないでしょうか。
これからのAI翻訳技術の発展に期待しながら、人間の果たせる役割も見つめなおすことが必要と言えます。
おわりに
現在の機械翻訳技術で可能な範囲の翻訳が役に立つケースはいくらでもあります。例えば海外で突然の重大ニュースや、外国人観光客とコミュニケーションを求められた時などです。
AIを活用することは、AIを育てることにも繋がります。
一方で、現段階では言葉の意味を正確に理解しなければならないコミュニケーションの場合は、まだ機械に代替されそうにありません。
東京大学の入試に挑戦するAI、東ロボくんの開発者である新井紀子氏は、著書(AI VS.文字が読めない子供たち.2018.東洋経済新報社)のなかで、AIの翻訳が意味を理解できない限界を示した上で、日本人の言語能力の低さに問題提起をしています。
AIを活用しつつ、AI時代のこれから人間だからこそできることにも目を向ける必要があります。

『空はまっさお、男は正生』
学習院大学で政治学を専攻中です。
AIなどのテクノロジーで変わる社会・人間・生き方に注目しています。