AIにできることはまだあるかい

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さて、社会課題というと難しく考える方もいるかもしれませんが、わたしたちの生活を構成するさまざまなことが社会の一部であり、日頃の生活の中にとてつもない技術の進歩が隠れていたりします。

今回は、現在公開中の映画にちなみまして、AIテクノロジーが天気予報の精度を劇的に向上する話題をご紹介させて頂きたいと思います。

天気予報はどうやって行われているか

数値予報とは

何気なく空を眺めていたら、『こんなものどうやったら予測できるのか?』と途方もない気持ちになりますが、私たちのよく目にする天気予報の予測には風や気温などのデータの数値を元に物理学の法則が用いられており、数値予報と呼ばれています。大気予測といった方法を用いて予測されています。

気象庁によると、我が国の官公庁として初めて科学計算用の大型コンピュータが導入されたのは昭和34年(1959年)のことでした。そして長年そのコンピュータによって天気予報の予測がされ続け、今年2019年はまさに60周年を迎えようとしています。

「新たなステージ」に備えた対策

言わずもがな、我が国は四季折々がある反面、台風や地震、津波などさまざまな自然災害の宝庫と言ってもいいと思います。

その中でも、近年の異常気象の被害は凄まじく、奇しくも「未曾有」という言葉を頻繁にニュースで耳にする時期も少なくないのではないでしょうか。

そうした自然災害に対して「想定外」が起こらないよう尽力するとともに、利便性と災害のリスクを考慮しながら、自然と共存できる住み方を考えるといった生活スタイルの転換も今後は考えていく必要があるかもしれません。

気象庁では、近年の集中豪雨や台風等による被害が相次ぎ発生し、雨の降り方が局地化、集中化、激甚化している事態を「新たなステージ」として提言や取り組みを行なっています。

出典:Stacey DialによるPixabayからの画像

天候予測にAIを活用していく

各種、数値予測モデルによる予測

現在の気象庁では、予報する目的に応じていくつかの数値予報モデルを運用しています。

これらのモデルには、日本周辺から地球全体まで、予報領域や期間に応じてさまざまなモデルが利用されていますが、まだまだ個々の積乱雲が表現できる程ではないそうです。

出典:気象庁「数値予測モデルの種類

目指すは精度99.9%の天気予報(ウェザーニュース)

天気予報にAIを取り入れて、予報の精度向上を実現した事例として、ウェザーニュースの事例をご紹介いたします。

天気予報の精度は予報を計算するため、データの”多さ”に着目し、なるべく多くの”実況状況”を集めた方がより正確な予測に繋がります。

自前の観測機だけでなく、全国から届く1日13万の実況データを集めたことによって目先の天気予報の精度を大きく上げることができるようになってきました。

そしてその結果、従来20km四方だったものが1km四方まで細かな予測ができるようにまでなったそうです。

出典:目指せ精度99.9%、ウェザーニュースの予報が わずか1年で大幅に改善した前代未聞のプロジェクト – ウェザーニュース

気象庁では、理化学研究所の革新知能統合研究センター(東京)とも提携を進め、AI・人工知能技術を気象の観測や予測の更なる精度向上に活用する研究を始めると発表しました。

上記でご紹介した複数の数値予報モデル(計算プログラム)の計算結果をAIを活用してスムーズかつ適切に組み合わせることによって予測の精度向上を目指しています。

例えば今後は地域ごとの降水量予測、その誤差の範囲を5日先まで把握し、特別警報に匹敵する豪雨となる確率の算出をしたり、従来の技術では予測が困難であった台風の急発達について気象衛星の画像や各種データからAIでより高度で信頼性の高い前兆の予測を捉える研究などを進めていくなどを予定しているそうです。

SDGsの対応する目標、ターゲットは?

さて、前回の記事にて「社会、経済、環境あらゆる側面の社会課題が挙げられている」とお伝えしたSDGs 17目標の中では、今回の記事はどのように項目が当てはまるでしょうか。

捉え方によって各種ご指摘はあるかもしれませんが、代表的なものとして下記が挙げられます。未来技術推進協会の過去記事にて、17目標と169のターゲットに関してまとめた記事もございますので、よろしければ合わせてご覧ください。

目標11 住み続けられるまちづくりを
11.5 2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。
11.b 2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015-2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。
目標13 気候変動に具体的な対策を
13.1 すべての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する。
13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。

予期せぬ豪雨により土砂崩れや液状化が発生、交通機関に影響が見られるなど、東北大震災・津波のように世界的な大災害でなくとも、社会や経済活動への影響は無視できないものになっています。

最後に

今回は、気象予測をテーマに、SDGs × AIについてご紹介しました。
引き続きさまざまな事例を紹介しながら、未来技術推進協会で具体的に取り組んでいる事例も紹介できるようになれば幸いです。

現在、未来技術推進協会では、17目標、169のターゲット掘り下げて共有する勉強会を開催しており、アイデアを膨らませていくことでプロジェクト、事業化して具体的にを目指しています。

普段の生活の中でAIを使って改善できることなどあれば、ぜひ一緒に形にしていきましょう。

ライター:井上 聡
未来技術推進協会では主に広報として活動し、熱意ある若手技術者や社会課題に興味がある方々の活動を発信している。昨年からフリーランスエンジニアとして活動しながら、今年5月ドイツで開催された国連イベントにも未来技術推進協会メンバーとして参加。
2019年8月23日 2019年8月27日更新

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