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2019.12.02

DXとAIの関係性について解説!AIでDXを推進するには!?

最終更新日:

DX(デジタルトランスフォーメーション)に注目が集まっています。AIなどの技術発展を背景に、デジタル技術の利活用が企業にとって事業拡大の鍵となっているからです。

アメリカの「GAFA」を台頭に、集まったデータとAIなどの最先端のテクノロジーを活用して価値の提供方法を抜本的に作り変え、ビジネスモデルの変革に成功した企業が激化する競争の中で生き抜くことができます。

この記事では、AIとDXの関係性を明らかにした上で、活用事例やビジネスで導入するポイントまで幅広く説明していきます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義

DX(デジタルトランスフォーメーション)はスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が2004年に提唱し、「人間の生活に何らかの影響を与え、進化し続けるテクノロジーであり、その結果、人々の生活がよい方向に変化する」という概念です。

また、日本経済産業省は2018年に「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」と定義しました。

DXはAI技術だけで成し遂げられるものではありません。複合的なデジタル技術を使ってビジネスに関わるすべてをより良くし、国内外で優位を築いて事業を続けられるように新しい価値創出することが重要になっています。

▼DX(デジタルトランスフォーメーション)について詳しくはこちら

DXが必要とされる理由

DXが進まないと12兆円の損失に!2025年の壁

経済産業省が発表したDXレポートでは、現状の国内の企業を取り巻くIT関連の課題を解決できない場合、「2025年の崖」が起きてしまいます。それは、2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が生じると予測されていることです。

その一方で、もしDXが実現できれば2030年に実質GDP130兆円超の押し上げができるとも述べられています。

既存システムの中身が複雑化・老朽化・ブラックボックス化していくことで、国際競争への遅れや日本経済の停滞などが起きてしまいます。従って、企業が抱えるレガシーシステムの解消だけではなく、日本企業が持続的に競争力と生産力を保つためには、DXの推進が不可欠であると経済産業省は呼びかけています。

高まるデータの重要性

2000年代からスマートフォンの普及が進み、世の中のデータ量が急激に増えています。さらに、インターネットの発展により、通信基盤が整理され、あらゆるデバイスがインターネットにつながるようになりました。同時に、高速で大量なデータをやり取りするIoT時代が迎えました。AIを構築するために必要な大量のデータを手に入れることが比較的に容易になったことが2010年代の大きな技術発展です。

AmazonやNetflixといった大手IT企業は、膨大なユーザを抱え、得たデータをデータ・ドリブンに活用することで、サービスを生み出したり、改善し、事業を拡大しています。
このように企業に日々蓄積されるさまざまなデータを材料として使い、活用することによって、業務プロセスの最適化や顧客体験の強化、ビジネスモデルの改革などによる価値創出につながります。

しかし、AIやRPAといった領域においては、技術先行の活用事例も多く、PoC(実証実験)の段階でプロジェクトが挫折してしまうケースも多いです。

これは、ビッグデータに対応するデータ基盤や、リアルタイムにデータを処理しビジネスに活用する体制の構築が進んでいないことも起因しています。

AIやRPAの取り組みをはじめる以前に、社内全体でデジタル化を推進し、リアルタイムでデータ活用や部門を超えたデータ共有などに取り組み、顧客に対して提供できる価値を最大化していく改革が必要です。

AI(人工知能)とは

AI(人工知能)の技術が発展したこともDXへの注目が高まったきっかけです。ここからは、AIの定義から事例や課題まで説明します。

AIの定義

AIとはArtificial Intelligenceの略で、日本語では人工知能と表されます。

AI(人工知能)の定義は、専門家の間でもまだ定まっていないのが現状です。さまざまな専門家がそれぞれの定義をしており、統一的な定義はありません。

2010年代に急成長した機械学習技術

現在、データを扱う技術のなかで、特に注目されているのが人工知能です。中でも、大量のデータから自律的にパターンを学習する機械学習の技術が注目されています。

機械学習は、AIの1つの要素技術であり、与えられたデータ(問題)を基にプログラム自身が学習する仕組みになっています。大まかに「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3つに分類することができます。

2010年代に、機械学習の研究が進むことにより、画像認識などで飛躍的な成果を出すようになった結果、高度な処理方法を自動的に獲得することが一部可能になり、AIがブームとなりました。

AIを活用することで何ができるのか?

データの認識(画像認識や音声認識、テキスト処理)

AIは、扱うデータによって、さまざまな活用方法があります。従来ではシステムで扱うことが難しかった画像やテキスト、音声を扱えることも特徴的です。

①「画像認識」

AI(人工知能)の代表的な活用分野は、AIで写真や映像を認識する「画像認識」です。従来のシステムで画像を認識するには、動画像内の物体に対して、色や形など、細かいルールを作る必要がありました。しかし、AIを活用すれば、膨大なデータを学習することで、物体の特徴を自律的に取得し、認識できます。

②音声認識

AI(人工知能)を活用して音声を認識することで、さまざまなデバイスを操作できるようになっています。また、会議の録音データから自動的に議事録を作成するなど、音声認識の活用の幅が広がっています。

③自然言語処理(テキスト処理)

AIを活用して人間の言語(自然言語)を機械で処理することができます。具体的には、言葉や文章といったコミュニケーションで使う「話し言葉」から、論文のような「書き言葉」までの自然言語を対象として、それらの言葉が持つ意味を解析する処理技術です。

データの予測

AIは過去の時系列データ(時間軸に沿って表されたデータ)を学習することで、未来の数値などを予測できます。

今、店舗の売上や、株価、経済や在庫量など、さまざまな場面でAIによる予測が活用されています。また、データの分析や予測をより高い精度で行えることでリスク予測も可能になります。

DXとAIの関係性

多くのAI関連企業が「DXの推進のためのAI」をマーケティングで謳っています。

DXを推進する際になぜAIが重要なのでしょうか。

DXとAIの関係性とAIが果たしている役割を紹介していきます。

DXでAIの関係性とは?

DXを推進する上で大切なのはさまざまなデジタル技術を複合させ、課題を解決し、会社全体を変革していくことです。人間がさまざまな機能で構成されているように、DXにおいても、さまざまな技術を適材適所で活用していく必要があります。

しかし、人間の脳が大切なように、AIがDXの中で果たす役割の重要性も高まっています。

DXでは、デジタル技術だけでなく「データの利活用」が重要視されています。

収集された膨大なデータをAIで認識・判断・予測をすることで、人的なコストを大きく下げ、事業のスケールアップが可能です。従来では、人的対応をしていたがために時間的な制約や効率性が悪かった作業が開放されるからです。

実際に、多くの企業では収集された膨大なデータを活用し、AIを用いることで、競争優位性を確立しています。

AIとDXの事例

Google Home

AIを活用して私たちの生活を変革させた例として代表的なのは、Googleが開発したスマートスピーカー「Googl Hhome」です。

「スマートスピーカー」とは人の言葉を認識して質問や要望に応えるインターネット接続されたスピーカーのことです。さまざまなモノとモノがインターネットを通じて繋がり、情報交換をする「IoT家電」の一種です。スマートスピーカーを通して家電の管理を一元化でき、より便利な生活を提供してくれます。

「Google Home 」には「Google アシスタント」というAIを使ったプラットフォームが搭載されています。 使う人の声を認識し使えば使うほどユーザーの行動を学習していきます。 機械が私たちの行動を学習してくれるスマートスピーカーは未来の生活を想像させる技術です。

スマートスピーカーは、スマートフォンと違い、すべて音声操作で完結するように設計されており、ハンズフリーで使えるので、メイクや料理など何らかの作業をしているときにもストレスなく利用できます。こうした独自の価値があることから、AIスピーカー市場における2018年から2023年までの年平均成長率は約31%とも予想されています。

Uber

AIを活用することで、事業を変革させたDXの例として、Uberの事例をご紹介します、Uberは2014年からGrafuと呼ばれる経路検索エンジンにAIを取り入れ、相乗りサービスを開始しました。

顧客がスマートフォンでUberアプリを使って、自分の行きたい場所を指定して配車を希望すると、その時点で料金が明示されたうえで、配車される自動車およびそのドライバーの情報や現在地までの到着時間などが提示されます。

自動車が到着して乗車すると、ドライバーに行先の情報などが伝わっており、行先の説明をすることなく、目的地まで行くことができます。目的地に到着すると、料金はUberアプリを通じて決済され、ドライバーと金銭のやり取りをする必要もありません。

顧客のあらゆるニーズを予想し、願望を叶えていることがUber成功の鍵になったのは間違いありません。

さらにUberは自動車以外の配送サービスもローンチし始めました。ボートやヘリコプター、バイクなどを使ってより幅広いニーズに応えられるような体制を構築しています。

医療

医療領域では、診療録、看護記録、リハ記録の要約や解析、AIによる問診、症状や病気に応じた検査や処方薬の推奨、心電図やパルスオキシメータ信号解析による急変予測など、医療全般でAIが活用されています。

また、最近では新型コロナウイルス感染症などへの対策として、監視カメラ映像とサーモグラフィー映像を解析して外来患者の熱発者を検出し、感染経路を遮断することにもAIが活用されています。

DXにつながるAI推進の3つのポイント

明確な目標

AI導入のイメージが、経営層と情報システム部・業務部門の間で異なっているケースが目立ちます。自社が目指すDXの姿を決めた上、企画・要件定義の段階でAI導入でやりたいこと、目的をはっきりさせておきましょう。

データの品質

社内で管理されたデータと比較すると、生産現場などの設備やIoTセンサーデータなどから得られたフィールドデータは、異常値が取り除かれておらず精度が低いケースが多いことがあります

異常値の原因を探し、不要なデータを取り除くことで、学習効果が高いデータ項目の抽出が可能です。そうすると、全体でデータ品質を保持して、ビジネス目標を達成できるようになります。

また、サービスを運営している場合は、AIを活用したり、分析したりすることを想定し、データ基盤を設計することで、後にデータを迅速に活用することができます。

人材

業務の内容やニーズがわかるデータサイエンティストの不足になり、人材育成の課題が起きています。

AIをビジネスに応用していくためには、調査/企画/検証/導入/活用の5つのフェーズに取り組む必要があるため、 幅広い知識を学ぶためのカリキュラム、 実践力を身に付けるための場や継続的に学び続けるための仕組みが必要となります。

AIでDXを促進していく際の副作用

AIは、人類と違う視点を持った新しい存在なので、実際推進していく際に副作用もあります。

差別(バイアス)

「AIによる差別(バイアス)」とは、どういうことなのでしょうか。AIでは、私たちがこれまでに持っている大量のデータを機械学習することで見つけた特定の法則性やパターンをもとに、コンピューターが自動的に分析を行います。

しかし、データに偏りがあると、AIの「アルゴリズム」(AIがデータを処理するためのコンピュータープログラム)が下す判断にも、偏見やバイアスが入ってしまう可能性があります。

もともとAIに期待する第三者視点は、実際データソースによって偏見と差別を持つ可能性が高いです。

冤罪

AIによる冤罪が多発しています。2020年に米ミシガン州の、デトロイト警察が顔認識AI技術を活用した捜査で誤った男性を拘束したことが報じられています。

デトロイトでは顔を識別するためにAIを2017年から導入していますが、今回で誤認逮捕は2例目となりました。

顔認識AIは正しく運用できれば、将来的に事件捜査の大きな助けになる可能性を持っていますが、100%の精度は保証できません。AIのデメリットも理解しながら社会に応用していく必要があります。

プライバシー

AI時代と言われる現在において、ユーザーが登録したプライベートな情報とAIとの組み合わせにより、ユーザーに最適な広告を提供できたり、嗜好を予測したりすることができます。

しかし、このように多くの個人情報を扱っているのFacebookは2017年7月に、機能に含まれるソフトウェア欠陥により、個人情報流出の危険にさらされていました。

はたして1つの企業が多くの個人情報を所有してもいいのか、といった懸念が挙げられます。

AIの台頭によってデータの重要性が高まっていますが、プライバシー性の高いデータはユーザの許諾を得てから活用するなど、配慮が求められます。

AIとDXの今後

経済産業省による戦略的基盤技術高度化・連携支援事業(中小企業のAI活用促進に関する調査事業)の最終報告書によると、大企業、中小企業の合計で2025年には最大で34兆円の経済効果を生むと予測されています。労働人口300万人分相当のインパクトがあります。

一方で、中小企業を中心に労働人口は減少を続けます。2025年までに中小企業の労働力人口は2025年までに390万人近くの減少が予測されています。

今後も労働人口の減少が予測される中、既存の組織のあり方に囚われず全社を通してデジタル技術を活用し、DXを推進していくことが求められます。富士キメラ総研による調査「2018デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」によると、DXによって2030年度には2兆3,687億円の市場規模に成長していくと予測されています。

AIに固執せず、さまざまな技術を複合させて活用していくことで、日本の社会課題の改善も可能です。SDGsが注目され、あらゆる企業・人が協力して持続的な社会を構築する必要性が求められる今、AIの活用やDXの推進は必須です。

▼AIの今後について詳しくはこちら

まとめ

これから、IoTやモバイルなどデジタル技術の進展に伴い、AIを学習させるためのデータも集めやすくなっている環境のなかで、DXとAIの可能性が無限大です!

しかし、AIを導入しただけで何でも解決してくれるわけではないので、目的と副作用をしっかり検討して取り組んでいきましょう。

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