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同氏によると、以下の9項目のうち1項目でも該当するならば、データサイエンティストを志望するのを思いとどまるべきです。
- 学位があればやっていけると思っている。
- 仕事に対する情熱が足りない。
- クレイジーではない。
- 教科書や講座からしか学習しない。
- 一生学ばなくてもいいと思っている。
- 特定分野のドメイン知識がない。
- ビジネススキルが足りない。
- コネがない。
- 退屈な仕事が嫌いだ。
以上のような9項目について反対の内容を挙げていくと(例えば「仕事に対する情熱がある」)、そうした内容はデータサイエンティストに求められる資質とスキルとなるでしょう。
データサイエンティストに求められる資質とスキルに関しては、多数のAINOW翻訳記事において再三論じられています。以下の記事本文では、そのような関連する翻訳記事へのレファレンスを挿入しています。
データサイエンティストが「セクシーな仕事」と言われるようになって久しいですが、本記事と関連翻訳記事の主張を鑑みると、高収入であるという理由だけで志すには道の険しい職業と言えるでしょう。
なお、以下の記事本文はRhea Moutafis氏に直接コンタクトをとり、翻訳許可を頂いたうえで翻訳したものです。
目次
マインドセットを変える必要がある
免責事項:この話はあなたを落胆させるためのものではない。むしろ、長い間鏡を見続けてきたあなたには、この話が役立つはずだ。
あなたはデータサイエンスに熱中していて、数ダースのブログ記事を読み、いくつかのオンライン授業を修了したとしよう。そして今、あなたはデータサイエンスを自分のキャリアにすることを夢見ている。ハーバード・ビジネス・レビューによると、この仕事は21世紀で最もセクシーだというのだ。
しかし、あなたの熱意とは裏腹に、データサイエンスはあなたには向いていないかも知れない。現時点では、あなたはあまりにも多くの幻想や誤った固定観念を抱いているのだ。
そんなわけで、あなたが取り組む課題は簡単である。あなたの足かせになっているものを取り除くことだ!そうすれば、速く前進する方法を知って、あなたは驚くだろう。
1.学位で十分だと思っている
あなたは理数系の分野で修士号を持っているか、あるいは博士号を持っているかも知れない。そんなわけで、データサイエンスの第一歩を踏み出したいと思っている。
しかし、シェルを使ったことはあるだろうか?コマンドラインのインタフェースでエラーにつまずいたときに、恐怖を感じたことはあるだろうか?テラバイト規模の大きなデータベースを扱ったことがあるだろうか?
これらの質問のどれかに「いいえ」と答えた場合、あなたはデータサイエンティストになる準備がまだ出来ていない。現実の世界での経験を積んで、実際のプロジェクトを構築する必要がある。その時になって初めて、データサイエンティストとして毎日直面するであろう問題に遭遇することができるのだ。そして、そうした問題を解決するためのスキルを身につけることができる。
学位取得おめでとう。さてお次は、ハードワークに取り掛かろう。
(参考Medium記事)理数系の学位を持っていなくてもデータサイエンティストになれるのか?
ある物語といくつかの洞察
2.情熱が足りない
週末を丸ごとギークなプロジェクトに注ぎ込んだことがあるだろうか?友達がパーティーに出かけている間、GitHubを見て夜を過ごしたことがあるだろうか。大好きだった趣味をコーディングするために断ったことはあるだろうか。
もし上記のどれにも「はい」と答えられないのであれば、あなたには情熱が足りないということになる。データサイエンスに関わると本当に難しい問題に直面し、解決策が見つかるまで粘り強く取り組むことになる。情熱が足りないと、最初の困難を目の当たりにしたときに、あなたは躊躇するだろう。
データサイエンティストになることのどこに魅力を感じているかを考えてみよう。華やかな肩書きだろうか?それとも、膨大な量のデータを調べて洞察を見通せた時に感じる快感だろうか?もし後者であれば、あなたは正しい方向に向かっている(※訳註1)。
3.十分にクレイジーではない
クレイジーなアイデアだけが良いアイデアだ。そしてデータサイエンティストになるからには、あなたにはクレイジーさがたくさん必要になるだろう。予想外の結果を受け入れるのは言うまでもない。予想外の結果はよく起こるものなのだ!
そうは言っても、データサイエンティストになると、本当に難しい問題の解決策を開発しなければならない。そのためには、普通のレベルでは成し遂げられない非凡なレベルの発想が必要とされるのだ。
人々から「頭がおかしい」と言われ続けているなら、あなたは正しい方向に向かっている。そうでない場合は、自分のクレイジーさに取り組む必要がある。
もちろん、クレイジーになるには大胆さも必要だ。一度でも奇抜さを露わにしてしまえば、一部の人は頭を掻いて、あなたに背を向けるだろう。
だが、クレイジーにはそうなるだけの価値がある。なぜならば、クレイジーな時、あなたは自分自身に正直になるからだ。そして、クレイジーな時には、あなたはデータサイエンティストとして必要な素晴らしさの火花を散らしているのだ。
4.教科書やオンライン授業からしか学んでいない
誤解しないでほしい。教科書やオンライン授業は、始めるにはとても良い方法である。しかし、始めるためだけに良いのだ!
あなたは一刻も早く実際のプロジェクトに取り組む必要がある。もちろん、Pythonで一行もコードを書くことができなければ、Pythonプロジェクトを構築する意味がない。しかし、控えめでも基礎ができたらすぐに取りかかろう(※訳註2)。
やって学ぶことがカギなのだ。
GitHubポートフォリオの構築を始めよう。ハッカソンやKaggleの大会に参加しよう。そして、自分の経験をブログに書こう(※訳註3)。
教科書をこなすのは誰でもできる。データサイエンティストになるためには、もっと多くのことをしなければならない。
5. ある時点で学習をやめられると思っている
あなたはデータサイエンスに関するオンライン講座をいくつか受講し、いくつかのテキストを読んだとしよう。今や講座やテキストをマスターしたのだから、データサイエンスを攻略するのに十分な知識を身につけた、とあなたは考えているとしよう。
そんな考えは間違いだ。オンライン講座やテキストは始まりに過ぎない。今、たくさん学んでいると思っているなら、3年後にはどれだけのことを学んでいるかを考えてみよう。
もしあなたがデータサイエンティストになったら、今の10倍は学ぶことになるだろう。データサイエンスは常に新しい技術が必要とされる変化し続ける分野だ。もし就職してから学習をやめてしまうと、あなたの職業上の軌跡はデータサイエンスの初心者からお粗末なそれへと変わっていくだろう(※訳註4)。
データサイエンスで秀でたいなら(これを読んでいる人はそう思っているはずだ)、学習曲線は時間の経過とともにカーブがきつくなるという事実に直面しなければならない。たくさん学ぶことが楽しくないのであれば、データサイエンティストになる夢を見るのは止めよう。
6. 他のドメインの専門知識を持っていない
あなたはコンピュータサイエンスのことを知っているし、数学のスキルも悪くないとしよう。それでデータサイエンスの仕事に就けるだろうか?
いいえ、それは無理だろう。ITと数学のスキルは必要不可欠だが、他のデータサイエンス愛好家からあなたを差別化するには十分ではない。
データサイエンティストは、あらゆる種類の企業や業界で働いている。顧客に重要な洞察を提供するためには、顧客が属するドメインに関する知識が必要だ。
例えば、下に引用したMedium記事の著者であるケイト・マリー・ルイスは、6ヶ月でデータサイエンスの職に就いた。しかし、彼女は通常のデータサイエンティスト志望者とある点で異なっていた。その違いとは、神経科学者であった彼女がヘルスケアのドメインに関する知識を持っていたのだ。
(Medium参考記事)私がコーディングスキルゼロから6ヶ月でデータサイエンティストになった方法
お金をかけずにデータサイエンスを独学するために使った4つのツール
どの分野が得意なのか?どの分野での経験があるのか?
一般的なデータサイエンティストというよりも、自分の専門分野のスペシャリストとしてのポジションを取るようにしよう(※訳註5)。そうすることで、実際にデータサイエンティストという仕事に就くことができるのだ。
- データエンジニア:データパイプラインの構築、データセットの構築と管理。
- データアナリスト:ビジネスモデルをデータサイエンスの問題に翻訳する。
- (狭義の)データサイエンティスト:AIモデルを活用した予測・判断を担当。モデルの訓練も行う。
- 機械学習エンジニア:AIモデルの開発と実装を担当。
- 機械学習リサーチャー:新規のAIモデルの研究開発を担当。
7. ビジネススキルが不足している
データサイエンティストを目指そうととするあなたは、どちらかというと分析的なタイプなはずだ。数字と定量分析が好きで、ソフトスキルと人間関係が嫌いに違いない。
そんな性格ではよいデータサイエンティストにはなれそうにない。ソフトスキルは理数的な仕事でも重要である。ソフトスキルこそが、最終的に面接を左右するものなのだ。
(Medium参考記事)データサイエンティストがビジネスリーダーから学ぶべきこと
なぜならソフトスキルが重要だから。
あなたが身につけることができるすべてのソフトスキルの中で、ブーストが必要なのはビジネススキルだ。顧客はビジネスリーダーであることを忘れないでおこう。そして、彼らはビジネスを理解している人を必要としている。ビジネススキルを磨くことによってのみ、顧客に付加価値をもたらす洞察力を生み出すことができるのだ(※訳註6)。
8.使えるコネを持っていない
あなたはデータサイエンスの分野で仕事をしたいと思っているが、その分野にいる仲間を知らないとしたら?ならばコネ作りに本腰を入れよう。
ミートアップに行く。LinkedInの関連グループに参加する。ハッカソンで知り合いになる。Twitterで適切な人をフォローする。GitHubプロジェクトで仲間の貢献者に会う。何かワクワクするようなことをしよう(※訳註7)。
他の求職活動と同じように、あなたの成功の90%はあなたのスキルの幅広さで決まるわけではない。誰かがあなたのことを話してくれるか、あなたを紹介してくれるかで決まるのだ。
もしあなたのLinkedInのコネクションが自分の母親と仕事に行き詰った同僚に限られているのなら、自身のプロフィールを宣伝する時が来たのだ。ツイッターのフォロワー数がほんの一握りなら、ツイートしよう。ブログに読者がいない場合は、SEOやクロスプラットフォームマーケティングを試してみよう。
以上のようにすれば、コネはいずれ来るだろう。そうは言っても、まず初めにコネ作りに精を出さなければならない。
9. 汚い仕事が好きではない
あなたは、機械学習や人工知能についての話題ならば、たいてい聞いたことがあるだろう。データサイエンスこそが最先端の技術を扱う仕事への扉を開くかもしれないと思っていることだろう。
おそらくはあなたが思っている通りだ。しかし、データサイエンティストになっても業務時間の5%以上はそんな最先端技術を扱わないことを保証しよう(※訳注8)。
夢の仕事に就いた後は、データのクリーニングに時間の大部分を費やすことになるだろう。おめでとう、あなたはデータの清掃員としての新しい仕事をまさに見つけたのだ!
データの清掃をするのが嫌ならば、家に帰ろう。そして、こんな記事を読むべきではない。反対に、この記事を読んでもまだデータサイエンティストになりたいと思っているのなら、そろそろ汚い仕事が好きになってもいい頃だ。
(Medium参考記事)データサイエンティスト:21世紀の最も汚い仕事
掃除機40%、清掃員40%、占い師20%
データサイエンスはキャリアの選択肢ではない。それは天職なのだ。
データサイエンティストは多くの人に求められており、それゆえ、多くの人がその分野に手を出している。しかし、この分野でポジションを得るためには、何かに手を出すだけでは十分ではない。ハードワークが必要なのだ。
この記事を読んで、データサイエンティストになることにまだ確信を持っているなら、おめでとう。あなたは非常に良い道を歩んでいるかも知れない。
もしこの記事を読み終えた時点でデータサイエンティストになることに迷いが生じたならば、迷っている最大の理由を特定しよう。そして、そんな迷いを生むポイントに取り組み始めよう。あなたならできるはずだ!
原文
『9 Reasons why you’ll never become a Data Scientist』
著者
Rhea Moutafis
翻訳
吉本幸記(フリーライター、JDLA Deep Learning for GENERAL 2019 #1取得)
編集
おざけん