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株式会社 DeepXが、未来創生 2 号ファンド、株式会社フジタ、SBI インベストメント株式会社が運営するファンド、株式会社経営共創基盤を引受先とする第三者割当増資を実施し、総額 16 億円の資金調達を実施したと発表しました。
DeepX は、「あらゆる機械を自動化し、世界の生産現場を革新する。」というミッションを掲げる東京大学松尾研究室発のスタートアップです。
2016 年 4 月に創業以来、幅広い産業のさまざまな機械や現場作業の自動化に向けて、汎用的な AI 技術の開発を推進してきました。
例えば、同社は建設分野における人手不足の課題に着手し、総合建設会社の株式会社フジタと共に、油圧ショベルの無人自動操縦の研究開発を行っています。建設業界では人手不足の課題が深刻化し、油圧ショベルのオペレーター不足も問題視されています。
今回調達した資金は、建機自動化や工場内作業自動化、自動化モジュール提供などの事業化を加速させるために、エンジニアの採用や計算資源を中心に投資していくとしています。
建設業界や農業などの現場では、実データの収集が難しいという背景があります。この課題を踏まえ、同社は、認識技術や制御技術の少数データでの開発可能性や実空間での頑健性、汎用性、説明可能性などを追求していく予定です。
DeepX CEO 那須野氏:油圧ショベルなどの大きな機械は、一度の動作に時間がかかり、例えば、何度も土を掘り起こすなどしてデータを収集するのは、膨大な時間がかかり、あまり現実的ではありません。
重機の種類の違いなどでも必要なデータは異なるため、今後は現場で収集するデータを大幅に削減する技術により一層注力していきたいと考えています。
今後は、強化学習や画像認識等のAI技術を中心に研究開発を進めると同時に、実空間での頑健性を向上させるため、シミュレーションをさらに活用するなど、技術開発を進めていきたいと考えています。
今後の事業拡大に関し、那須野氏は、以下のようにコメントしています。
那須野氏:例えば、油圧ショベルは建設業界だけでなく産業廃棄物処理などでも活用されています。今後は産業という軸で区切るだけでなく、さまざまな作業別あるいは機械別にAIを構築し、事業を拡大していきたいと考えています。
■投資家からのコメント
スパークス・グループ株式会社 代表取締役社長 阿部修平氏
知能化技術を用いたスタートアップは数多くありますが、DeepXのように生産現場の機械・ハードウェアの自動化を標榜するスタートアップは数少なく、日本が本来強みとする『ものづくり』の更なる成長に資する事業であると大変期待しております。弊社一同、これまでの多数の企業への投資によって得られた知見を生かし、DeepXの活躍を応援してまいります。
株式会社フジタ 代表取締役社長 奥村洋治氏
2017 年より DeepX と共に弊社の遠隔操縦ロボット「ロボQS 」を活用し、ディープラーニングを用いた油圧ショベルの自動化に向けた研究開発を行っています。今回の出資を機に、更に連携を深めて技術開発を加速させ、建設現場における人手不足の解消や生産性・安全性向上をはじめとする課題に共に挑戦していきたいと考えております。
SBI インベストメント株式会社 代表取締役執行役員社長 川島克哉氏
DeepXはディープラーニングと機械制御の組み合わせによって、従来の機械学習では実現できなかった複雑な動きの自動化技術を有しており、重機や食品機器などの新たなAI活用の可能性を秘めています。また新型コロナウイルス拡大の影響により、あらゆる産業で非接触志向が高まり、DX化が進む中、DeepXの自動化の技術に対するニーズが高まっていくものと期待しております。
株式会社経営共創基盤 共同経営者 マネージングディレクター 川上登福氏
ディープラーニング技術と機械制御技術を駆使し、様々な問題を、実際に現場に入り込み一つ一つ解決してきた那須野社長ら経営陣、メンバーの持つ現場力・技術開発力、そしてそのエネルギーには、大きな可能性を感じています。経営共創基盤は、今後もDeepXの「あらゆる機械を自動化する」挑戦を、共に戦いたいと思います。
■AI専門メディア AINOW編集長 ■カメラマン ■Twitterでも発信しています。@ozaken_AI ■AINOWのTwitterもぜひ! @ainow_AI ┃
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