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2020.09.14

GAFAのスカウトを断るエンジニアも、国内AIスタートアップの戦い方

最終更新日:

2020年、GAFAやBATなど、世界的なテックジャイアントは、依然とAI分野で存在感を増しています。テックジャイアントは、人材獲得競争においても、その力を見せ、時には人材獲得を目的としたM&Aを行いながら、社内人材の強化を続けています。

多くの国内企業では、AI関連の人材に対する給与待遇の低さが問題視されたり、言語の違いから優秀なグローバル人材をうまく取り込めていないケースも散見されています。

AIやビッグデータ活用のコンサルティングやシステム開発を行うAvintonジャパンは、世界的な人材獲得競争が激化する中、200名以上の社員のうち、外国籍の人材が半数を占めるといった点で他社と一線を画すIT企業です。

Avintonジャパン
AIやビッグデータコンサルティング、システム開発事業を行う企業。国内外のクライアントに自社ソリューションのビッグデータ分析基盤とエッジAIカメラなどの投資対効果の高いソリューションを提供。

この記事では、Avintonジャパン CEOの中瀬氏のインタビューを通し、国内企業の優秀人材採用方法について考察していきます。


Avintonジャパン株式会社 代表取締役/CEO 中瀬 幸子氏
2010年Avintonジャパン創業、現在年商20億/30カ国のエンジニア200名が所属(2020年現在)/累計6ヶ国に通信事業者向けデータ分析自社サービスを展開。近年の実績として国内大手製造業が自社AIソリューションを導入。ソフトバンクアカデミア生。

なぜ外国籍のエンジニアを積極的に採用するのか

Avintonジャパンは特に外国籍のエンジニアを多く採用し、自社の開発力を強化することに成功しています。

ーー多くの国内AI企業では、日本人の人材が多く活躍している中、同社はなぜ外国籍のエンジニアを積極的に採用しているのでしょうか。

中瀬氏:いままで、実は国籍を意識せず、人柄やスキル重視で採用をしていました。

そんな中、最先端のスキルを学び、習得するスピードは英語ができる人材が圧倒的に優位ということに最近は特に感じており、相対的に外国籍の高度人材が増加しました。

ーー外国籍のエンジニアを採用してよかったと感じていることはなんですか?

中瀬氏:以下の3つが挙げられます。

1つ目は、高いスキルや問題解決能力をもつ人材と仕事をすると成果が出るだけでなく、既存社員にも良い影響がでます。国籍に縛られずに問題解決能力を高い人材を幅広く募集しているため、採用の幅が広がり、社内人材のスキルが全体的に向上していると感じています。

2つ目は考え方も仕事の進め方も異なる点です。さまざまな文化を背景にする人材が集まることで、視野がひろがり相手の話を聞こうという意識ができ、コミュニケーションの活性化につながっています。

3つ目は、シンプルで簡潔にポイントを伝えられるようになったことです。Avintonジャパンの本社では、会話が基本的に英語なのですが英語がネイティブな人ばかりではありません。そのため、ミスコミュニケーションが発生しないように発言者が自分の意見や質問を整理し、シンプルに完結にポイントを伝えられるようになりました。

GAFAを断るエンジニアも?その採用手法は?

多くの企業が優秀な人材を求め、活発な採用活動を行っているいま、Avintonジャパンはなぜ世界中の優秀なエンジニアの確保に成功しているのでしょうか。

ーーまず、どのように採用活動を行っているのでしょうか?

中瀬氏:基本的にはSNSを活用して採用をしています。

特にWantedlyやFacebook、Linkedinからの流入が多いほか、社員の25%はリファラル(社員紹介)での採用です。

ーーなぜテックジャイアントを断ってまで、Avintonジャパンに入社するエンジニアがいるのでしょうか?

中瀬氏:エンジニアほど無駄を嫌う生き物はいないと思っています。

そのため、まず第一に希望する分野の仕事ができる環境があることが大きな理由だと思います。最先端のテクノロジーを理解している同僚や先輩がいるため、無駄なことを極力排除して、研究開発に没頭する仕組みを用意しています。

エンジニア一人ひとりの裁量も大きく、1人が週次でサービスの開発コミットを行うなど1人の貢献がサービス開発、ビジネスに大きく貢献している感触が競争心の育成、やりがいにもつながっているのだと思います。

また、小さなことですが、創業当初から紙での稟議が無いことや会議の前にはGitで資料やディスカッション内容をまとめ、打ち合わせは物事を決める場であることが徹底されています。情報共有の場のミーティングなどはほとんどありません。

ーー面談時に工夫していることはありますか?

中瀬氏:英語や異文化の人を受け入れる態勢があるかどうかを重視しています。最先端の技術を学んでいる人は英語でオープンソース技術を研究している人も多いので、最近は英語読解力が高い方の応募も多いことが特徴です。しかし、英語力は選考ポイントにはしていません。

外国人は、アピール力が日本人よりとても高いので定量的にスキルと経験があるか判断するために技術者が数回面談して技術力と問題解決力を問う課題をだして判断するようにしています。

ーー求人票を作成する際に心がけているポイントはありますでしょうか?

中瀬氏:この仕事についたらどんなエンジニアキャリアを築けるのか、どんなスキルや考え方を身に着けることができるか、開発環境や体制をできるだけ細かく書くようにしています。

外国人採用の場合には、求めるスキルレベルをより明確に記載するようにしています。

ーー会社のカルチャーとしてはどのような特徴がありますか?

中瀬氏:現在Avintonジャパンには、30カ国以上の国籍の社員がいます。さまざまな価値観が混在し、違った意見を持つことが当たり前になっています。そのため、他者を受け入れるカルチャーは、他社に比べても強いと感じています。

また、年齢やキャリアに関係なく一人ひとりが貴重な意見をもっているという前提を大切にしています。一人ひとりが自立したプロフェッショナルであり、フラットで裁量が大きい仕事をどんどん任せていくカルチャーがあります。

一人ひとりがプロフェッショナルだからこそ、ライバルは世界の人材であるという意識も生まれます。高い目標設定とメンター制度などを活用し、1年目から裁量の大きな仕事を任せることで、一人ひとりが圧倒的な成長を遂げています。未経験でも、1年間のインターンや技術研修でスキルを磨いた後に、1年目から海外のクライアント向けAIプロジェクトマネジメントを担当することもあります。

また、エンジニア勉強会も定期的に開催しています。個性と成長意欲が強いメンバーが多いため、他の社員の技術やプロジェクトに興味を持つ社員が多いことがAvintonジャパンの特徴です。毎月自主的にエンジニアがテーマを決めて、自分の技術や経験を他者にレクチャーしており、勉強会が盛んです。

数週間ごとに新しい技術が生まれては古いものに取って代わるIT業界で長期的に活躍できるエンジニアを育成するために、市場でニーズが高まっている技術を集めてプログラムを作成し、Avintonジャパンでは検収やインターンシップのプログラムを、公開しています。

エンジニア第一のAvintonの社内制度は?

世界中のエンジニア採用に成功しているAvintonは、独特な社内制度を構築しています。現在同社に在籍するエンジニアは約170名。一人ひとりが自己研鑽を積み重ね、スキルを磨いているといいます。

エンジニアには10年、15年使える技術を身に着けてほしい

まず、Avintonジャパンが重要視しているものは、「使えるスキル」です。国内市場の求人データスキルをリサーチした上で、どんな技術のニーズが上がり、身に着けるべき技術かを分析しています。

また、求人市場全体の傾向や業界・業種別の採用トレンドまで幅広く情報を収集しています。AI分野では、技術の発展が速く、常にトレンドが移り変わっています。そんな中、エンジニア募集動向の変化を捉え、自社のエンジニアの市場価値を高めていくように中長期的なエンジニアのキャリアパス形成やトレーニング計画に反映されています。

リードエンジニアがキャリアプランをヒアリング

それぞれのエンジニアがスキルアップする上でAvintonジャパンが強化しているのが、リードエンジニアによるヒアリングです。エンジニア一人ひとりが自分の強みや経験を活かしながらエンジニアとしてスキルアップしていく方法をリードエンジニアが一緒になって考えます。

ヒアリングする上では、これまでの経験や強みを聞いた上で、これからの業界や技術のトレンドを念頭に入れ、キャリアのゴールをイメージできることが重視されているといいます。また、同社では、エンジニア第一主義を貫いており、営業もヒアリングを行った上で、エンジニアが伸ばしたい環境などに合わせて、約300社のクライアントから参画するプロジェクトをマッチさせ、面談サポートを行っています。

また、Avintonジャパンでのスキルアップで重視されているのは「クロストレーニング」です。クロストレーニングとは、いま自分が得ているスキルに関係するスキルをトレーニングしていくことで、関連する知識があるだけで、仕事をしながら習得できるスキルや言語は全く新しい内容と比べて、身につけることが容易です。

例えば、医療業界から未経験でAvintonに入社したメンバーは、医療系のシステム開発プロジェクトに配属し、スキルだけでなく自身のこれまでの業界知識も生かして、自信をもって業務に励むことが可能です。

まとめ

ーー日本に限らず世界中の人材を採用したいと思っている企業に向けてアドバイスはありますか?

中瀬氏:『シン・ニホン』著者の安宅和人氏も述べられているように、今後ビックデータやAI活用の時代に、ますます日本は他先進国に人材育成、エンジニア育成に遅れをとり枯渇していくことが明らかです。今から日本企業が世界と対等にビジネスをしていくためにも、早い段階から社内環境を多国籍化し、今後の国際競争の準備をしていくべきです。
何よりも人物・スキルともに自社にマッチする人材の採用や社内の価値観、制度構築には時間がかかります。我々がこれまで外国籍高度人材の採用に成功してきた実績から、まずは多国籍な文化・バックグラウンドを受け入れる体制作りから進めていくことをお勧めします。そんな日本企業が増えていくことを心から期待しております。。

外国人の方々は日本の文化、食事、歴史、何より勤勉で真面目、礼儀正しい日本人の人柄が大好きで、永住したいと思っている方も多いです。我々は自国の会社制度や従業員を第一に考える雇用環境に誇りを持ち、もっと彼らに歩み寄り、受け入れることができれば、多国籍人材が活躍する日本企業はもっと増えていくでしょう。

特にエンジニアリング会社は、外国人技術者のスキルの高さ、グローバル基準のクリエイティビティを活用できるこのチャンスを逃す手はないですよね。

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