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2020.04.22

ボードゲーム界最強はAI?−AlphaGoの凄さとは

最終更新日:

ーーー人工知能が囲碁の世界チャンピオンを引退に追い込んだ。

そんな衝撃的な出来事のきっかけが起きたのは2016年3月でした。

当時世界チャンピオンだったイ・セドル棋士を「AlphaGo」というコンピュータ囲碁が打ち破ったのです。この対局で、コンピュータ囲碁の実力が世界チャンピオンを凌ぐほどになったことが証明されました。

囲碁のアルファ碁のAIは、どのようにしてそこまで進歩したのでしょうか。もう人はコンピュータ囲碁に勝てないのでしょうか。

今回はプロ棋士にも勝利した「AlphaGo」について、そしてこれからの囲碁業界について説明していきます。

注目を集める囲碁AI

囲碁以外にもオセロや将棋など私たちが慣れ親しんでいるボードゲームはたくさんあります。

そんなボードゲームでAIが人に勝つために多くの研究・開発がされてきました。

そして実際にAIは大きな成果を残しています。

将棋やオセロなど、以前からコンピュータを人間と勝負させる取り組みが盛んだった

最初に人がAIに負けたのはチェスでした。1997年5月のことです。

当時のチェス世界王者、ガルリ・カスパロフ氏は、米IBMのチェス専用コンピュータ「ディープ・ブルー」と対局し、2勝1敗3引き分けで負け越してしまいました。

ディープブルーは1997年の時点で1秒間に2億手の先読みを行い、対戦相手となる人間の思考を予測することが可能でした。

次に人がAIに負けたのはオセロです。

1997年8月に当時世界チャンピオンだった村上健氏がNEC北米研究所が開発したオセロソフトの「ロジステロ」と六番勝負をして全敗しました。

さらに2013年、将棋でも人はAIに敗北を喫します。。

プロ棋士・佐藤慎一氏は当時東京大学の学生だった山本一成氏によって開発された、コンピュータソフト「ポナンザ」に敗北しました。

しかし、囲碁だけはコンピュータが勝てないといわれていた

このように次々とAIに敗北していくボードゲーム界のプロたちでしたが、囲碁ではまだ負けないと多くのAI研究者や囲碁のプロは言っていました。

囲碁は対局のパターン数が他のボードゲームと異なるからです。

例えばチェスの場合はおよそ10の120乗、将棋の場合はおよそ10の220乗の手のパターンがあるとされていますが、なんと囲碁はおよそ10の360乗以上にものぼります。

盤が広いこと、コマの動きの制限が少ないことがパターン数の多い理由です。

この膨大な計算は今のコンピュータでは不可能とされてました。

さらに、計算だけではなく人間の直感力が必要なゲームだとも言われていたこともAIは囲碁で人に勝てないと言われていた理由の1つでしょう。

囲碁界の最強AI「AlphaGo」

AlphaGo勝利の衝撃

2016年、当時世界トップクラスの実力だったイ・セドル氏はGoogle社が買収した企業「DeepMind」が開発した「AlphaGo」と対局し、1勝4敗と負け越してしまいました。

さらにその翌年、世界最強と言われるカ・ケツ氏は3局中3局とも負けてしまったのです。

この最強の2人に勝利したAlphaGoは果たしてどういったAIなのでしょうか。

「AlphaGo」とは

「AlphaGo」とはDeepMind社が開発したコンピュータ囲碁プログラムです。

AlphaGoがそれ以前のチェスや将棋のAIと異なるのは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を応用している点です。このCNNはさらに強化学習を行い、自分自身と対局を数千万回も繰り返しました。

▼畳み込みニューラルネットワークついて詳しくはこちら

学習する内にAlphaGoは洗練されていき、ゲームが上達していきます。

また、先述のように囲碁は非常に打てる手数が多いゲームです。そのため有望な手を効率的に選べるようにモンテカルロ木探索というアルゴリズムも取り入れました。

これによって、例えば自身が優勢であるときは攻めるのではなく確実な手を打ったり、反対に不利なときは勝負に出るような手を打ったりできるようになります。

このようにしてAlphaGoは2015年に作られたのです。

AlphaGoの特長

上記のように何度も学習を重ねたAlphaGoは、今までの常識に囚われない新たな手を打ち出しています。

例えば肩ツキダイレクト三々といった手です。

打ち出した手法はプロ棋士によって模倣されるなど大きな影響を与えました。

さらに進化したAlphaGo

2017年10月、AlphaGoの新バージョンである「AlphaGo Zero」が発表されました。

このバージョンは人間との対決を一切しませんでしたが、自分自身と対局することで、それ以前に出ていた全てのAlphaGoのバージョンのレベルをわずか数日で超えたのです。

従来のAlphaGoはプロの棋士とまず対局させ、学習データをまず集めてから自己対局を行なっていました。

しかし、このAlphaGo Zeroはルールを教えたのみです。どんな手を打てば勝てるのか、その傾向や戦略は自己対局の中で学ばせる『教師なし学習』を行いました。

すると、たった3日で旧バージョンのAlphaGoを超える強さにまでなりました。

学習速度の向上と人の知識の限界に制約されなかったという点が、このように非常に強力な人工知能が生み出された要因でしょう。

その後、2017年12月には強化学習で自らを強くした「AlphaZero」というAlphaGo Zeroの汎用バージョンが誕生しました。囲碁だけでなく、チェスや将棋も対局できるというものです。

AlphaZeroは、チェスの世界チャンピオンプログラムStockfishとの対戦では28勝0敗72分で勝利し、さらに将棋の世界チャンピオンプログラムelmoにも90勝8敗2分で勝利しました。

このように圧勝していることもすごいですが、さらに驚きなのは学習時間の短さです。

チェスは約9時間、将棋は約12時間の学習でStockfishとelmoを超えたのです。囲碁は13日間学習した後、旧バージョンのAlphaGo Zeroに勝利しました。

AlphaZeroが汎用性と能力の高さを世界に証明したのです。

AlphaZeroに関してもっと詳しく知りたい方はこちら▼

「 AlphaGo」圧勝の影響

人工知能研究の革新的な進展

このように多くのボードゲームで完全勝利を飾ったAlphaGoですが、ここで終わりではありません。

AlphaZeroの汎用性は、人間のようにさまざまなタスクを解決できる汎用人工知能(AGI)の分野で大きな進展をもたらしました。

異なる分野への影響

今後は製薬、材料設計、バイオテクノロジーなどの科学技術を中心とした世界的な課題を解決するための研究・開発にAlphaGoの活用が期待されています。

また、ボードゲームでAlphaGoは常識破りな手を生み出してきました。このように創造性をもったAIであればデザインなどの芸術的な分野でも活躍する未来があるかもしれません。

さらなる新規囲碁AIプログラムへの誕生

2018年には、グロービスを主体として「GROBIS-AQZ」の開発プロジェクトが発足しました。

開発者がAlphaGoに関しての論文を読んだことがきっかけで生まれた新たな囲碁AIは、2019年には囲碁AIの国際大会である第11回UEC杯コンピュータ囲碁大会にて準優勝を成し遂げるなど、着実に囲碁AIとしての結果を出しています。

最強AIと共闘する棋士たち

最強棋士たちが敗北してから大きなブームを巻き起こした囲碁AIですが、今ではプロ棋士たちも囲碁の研究として使い始めています。

「Leela Zero」や「Lizzie」などの無料コンピュータ囲碁ソフトを始めとして、最近では高性能なパソコンがなくてもクラウドを使って簡単に始められるAWS(Amazon Web Services)を利用する人が増えています。

AIが打つ難解な手を理解するために若手棋士が集まる研究会というものもあります。AIが苦手とする局面を研究するなど試行錯誤しながら研究を進めているようです。

人間とAIの新たな関係性

以前は囲碁AIを誰もが敵対視して戦ってきました。しかしこれからはAIをうまく活用したり、協力したりして戦う時代が来るかもしれません。

実際に現在の囲碁界には、全盛期を過ぎたと思われていたベテラン棋士が復活して活躍する、圧倒的な強さを持った若手棋士の台頭など、囲碁AIが共に訓練を行うという新たな試みが大きな影響をもたらしています。

AIと人間が相互に高めあい成果を出していくことで、今回取り上げた囲碁だけでなくさまざまな分野で今後のさらなる発展が期待できるでしょう。

まとめ

今回は最強囲碁AIであるAlphaGoの能力について説明してきました。

やはり人間が丸腰でAIに勝つのは難しいようです。

一方で、囲碁の戦い方がAIの出現で変わってきています。

囲碁AIの研究で人間が新たな手を生み出すこともできるでしょうし、AIを味方につけて対局するトーナメントが行われるかもしれません。AIの予想する次の一手を実況中に見られれば、私たちも一味違った観戦ができたら面白いですね。

リアルタイムで対戦者の優劣もわかれば、ルールをよく知らない人たちも囲碁を楽しむことができるかもしれません。

他分野への応用も期待です。エネルギーやテクノロジー、アートの分野などでのこれから活躍の場を広げていく技術でしょう。

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