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2021.07.28

DXを進めるにあたって大切なERP、AI活用で広がる可能性

最終更新日:

※本稿は、インフォアジャパン株式会社による寄稿です。

日本で注目され始めた「DX」

日本政府は2021年9月1日に、デジタル化推進の司令塔と期待する「デジタル庁」を発足させる方針を打ち出しています。新型コロナウイルス感染症の拡大で、対面での仕事や活動などができなくなり、日本のデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)が他国と比較して遅れていることが明らかになりました。

以前より企業ではDXが検討されていましたが、コロナ禍をきっかけとして、日本全体としてもDXを進めることが急務になったのです。IT業界では、多くの企業がこの機会をビジネスチャンスだと捉え、今後の方針を検討する中で、DXに向けた取り組みに注目が集まるようになりました。

現在の日本の各企業でDXを考えるには、議論をぶらさないためにも、まずはDXを正しく理解することが重要になります。はじめのセクションでは、「ビジネスにおけるDX」が何かを考えましょう。

ビジネスにおけるDXとは何か

DXとは、デジタルを活用して、ビジネスを変革することです。「Transformation」の元になる英語の動詞、「Transform」は、trans(~を越えて)+formo(形づくる)という2節でできています。要するに「別の(trans-)形にする(formo)こと」がこの単語の意味です。「変化する」(Change)や「改善する」(Improve)とは違います。

つまり、DXは、“A”だったものをデジタルで“B”にするということなのです。上記を考えるとDXは、業務改善ではなく、ビジネス創出や変革に近いテーマとなるため、日本の伝統的なIT部門の方には着手しづらいことが多いかもしれません。なぜなら、「ビジネスを創造する」「変革する」となると、「企業としてこうありたい」という戦略やビジョンが鍵になるためです。

企業がDXを始める際には、まずどこに本質があり、どの領域から始めるべきか議論することが先決です。ビジネスにおけるDXには、デジタル技術を使って新たなビジネスやサービスを創出する「攻めのDX」と、最新のIT技術を駆使して業務をスマート化・効率化したりする「守りのDX」がありますが、どちらのDXも今後の企業にとっては必要なものです。

制作:AINOW編集部

その為には、IT部門の人にとどまらず、経営層や企画部門、各業務部門などさまざまな部門の人間が関与し、企業の目標を実現する為の優先事項について、どうデジタルで加速させるかを議論し、具体化していくことが必要になります。

クラウドERPはDXのキーポイント

インフォアでは、ERP(基幹業務システム)はDXのキーになると考えています。

ERP(Enterprise Resources Planning)とは、企業経営の基本資源である人材、製品・資材・設備・財務情報を適切に分配し、業務の効率化や経営の全体最適を目指すために導入・利用される業務横断型のソフトウェアパッケージのことを指します。現在では、「基幹系情報システム」を指すことが多く、企業の情報戦略に欠かせないものです。

制作:AINOW編集部

その中で、近年重要になっている考え方は「ポストモダンERP」です。

「ポストモダンERP」とは、コア部分は必要最低限の機能に絞り、共通のアーキテクチャのもと、それぞれの業務ごとのモジュールを、疎結合で連結させるという考え方です。柔軟にシステムが構成されるとともに、別のアーキテクチャのアプリケーションを統合する必要がないので、計画、実行、菅理の業務がスムーズに流れ、業務に必要なデータがすべて取り込め、機械学習でデータ予測やデータの最適化に活用することができます。

1社のベンダーが提供する場合もあり、エコシステムでAPIを通して、コアERPと連携する場合もあります。いろいろなモジュールを疎結合することで、対応できる業務の幅が広がります。

このような基盤を持つことによって、DXを支援するさまざまなデジタルサービスとの連携が可能になり、フロントエンドの仕組みから流れてくるデータを確実かつスムーズに処理して業務遂行できるようになるのです。

また、合わせてインフォアでは、クラウドベースのERPであることも大切だと考えています。インフォアの場合は、アマゾン ウェブ サービス(AWS)と2014年に戦略的提携を結んでいます。クラウドサービスを活用することで、お客様には下記のような利点があります。

  1. スケーラビリティ(拡張性)
    動的なシステムリソース配分により、常に最適なパフォーマンスを確保
    システム負荷に応じた自動的なシステムリソース拡張
  2. アジリティ(迅速性)
    プロビジョニング後、すぐにシステム環境が使用可能
    常に最新のアプリケーションが使用可能
  3. レジリエンス(回復力)
    リソースの冗長性とバックアップサービス
    高度なセキュリティと稼働モニタリング

これらの利点があると、これまでありがちだったリソースの制限や、改善点が修正されずに放置されるといった課題がなくなるほか、場所を問わない展開が可能になります。また、業務に合わせて拡張も可能ですので、ビジネスの優先度に応じた展開を行い、データが蓄積されれば、さまざまな業務にそのデータを活用しいくこともできます。

DXを推進するためには、こうした利点を活かし、自分たちのビジネス(事業)そのものを変えていくことが必要です。クラウドERPは、業務の根幹で、私たちの仕事そのものをデータドリブンなものに変えていき、さらに仕事の中に潜む洞察を明らかにしていきます。このような活動があるからこそ、変動性の高い時代における業務変革なども可能になります。

クラウドERPには、DXの鍵になる要素がたくさん盛り込まれているのです。

制作:AINOW編集部

レガシーでは最新の技術についていけない

とはいうものの、昔から「デジタル化」に取り組んでいた企業ほど、「うちは以前からオンプレでERPを入れているし・・・」というケースが散見されます。また、RPA(ロボット・プロセス・オートメーション)や機械学習、AIなど最新の技術を活用した取り組みは、オンプレミスの環境のままでは実現不可能です。

現在、多くの企業がAIを活用した取り組みができるのは、クラウド環境の特長を活かしているからこそになります。

例えば米国では、世界的なレッカー車メーカーであるMiller Industriesという会社が、クラウドに移行することで「レガシー」なシステムが持つボトルネックを解消しました。

組織全体でデータを調和させ、関係者全員がアクセスできる新しいダッシュボードを提供することによって、社内のデータの透明性を高め、手作業によるチェックや分析を80%削減することに成功したのです。次のフェーズでは、AIと機械学習を使用してデータをマイニングし、シャーシプログラムの将来の需要を予測することが含まれています。

結果はダッシュボードに自動的に表示されるように設定されているため、現在の需要と予測される需要をリアルタイムで把握することができます。

総括

今後、どのような技術発展があるのか、現時点では私たちに想像できないところも多いでしょう。

しかし、企業の業態転換も当たり前のように出てきている昨今、将来の企業の発展を考える上で、ビジネスの流動性の高まりや人材不足に備えられない状況を放置することはできません。

私たちが真に将来を考えて目標に到達するためには、今あるクラウド技術などを最大限に活用し、現在取り組む事業そのものを変革しなければいけません。その過程で、クラウドERPを活用することは大きな前進になるでしょう。

※本コラムの執筆者は以下のとおりです。

石田雅久(いしだ・まさひさ)

インフォアジャパン 執行役員 ソリューションコンサルティング本部 本部長

外資系コンサルティングファーム、外資系ソフトウエアベンダーにて25年以上、統合基幹業務システム(ERP)やサプライチェーン管理システム(SCM)、ビジネスインテリジェンス(BI)を中心としたシステム化の提案、導入に従事。インフォアジャパンではソリューションコンサルティング本部長としてインフォアのソリューションの活用提案、導入中・導入後のお客さまへのアドバイザーとしての活動を実施。米国公認会計士

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