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2021.08.27

教育DXの真の目的とは?これからの時代を切り拓く教育DXを徹底解説

最終更新日:

現在、日本ではデジタル化により企業間同士の競争力を高める「DX」が活発になっています。

教育現場でもDXは例外ではありません。

コロナ禍における教育の形の変化は凄まじく、教育現場の今を把握しないと変化に対応できない可能性があります。

変化に対応するためには、表面上だけでない「教育DX」の真の目的を把握し、今後の教育現場における変遷を見極める必要があります。

今回、教育現場におけるDXの現状や、教育DXを実現する真の目的、実現への課題、実際に教育DX化を進めている事例を紹介します。

教育DXとは

教育DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは、教育者がデジタル技術を活用し、学習のあり方やカリキュラムを革新させると同時に、教職員の業務や組織、プロセス、学校文化を革新し、時代に対応した教育を確立することです。

教室で行っていた授業をオンライン授業に移行するなどの「教育のデジタル化」と混同されがちですが、「教育DX」と「教育のデジタル化」には大きな違いがあります。

教育DXの真の目的

教育DXの本来の目的は、「これまでの時代に実現できなかった真に個別最適な学びの実現」です。

20世紀の教育観は、生徒全員に同じアプローチ方法を取り、平均主義・減点主義を採用していました。

しかし21世紀に入り、教育観は「生徒一人ひとりの能力を最大限活かす・能力の偏りが大きくても自分の得意なことで活躍できる」という教育観になりました。

この変化から分かるように、生徒に対する教育方針が「全員に同じ教育」から「個々が持つ能力を最大限活かす教育」に変化しています。

また、デジタルツールを学びに活用することで、さらなるクリエイティブな学びの実現も教育DXの目的とされています。

知識習得を目的とした一斉授業型の教育をオンライン化することもDX化と言えますが、それでは単にいままでの教育の作り直しに過ぎません。

このように「教育DX」の真の目的は、これまで実現できなかった真に個別最適な学びの実現と、デジタルツール活用によるクリエイティブな学びの実現を通じ、「この時代を生きる子どもたちの可能性をテクノロジーにより最大限伸ばすこと」をゴールとしています。

日本の教育現場のにおける教育のデジタル化

世界の中での日本のデジタル化の動き

OECD(経済協力開発機構)が実施した「生徒の学習到達度調査」の中で、日本の学校・学校外でのデジタル機器の利用状況が明らかになりました。

日本は他国と比較して、ネット上でのチャットやゲーム(1人用ゲーム・多人数オンラインゲーム)を利用する頻度の高い生徒の割合が高くあります。

一方、コンピュータを使って宿題をする頻度がOECD加盟国中最下位という結果が出ています。世界から見ると、日本では学びのためにICTを積極的に活用できていません。

GIGAスクール構想

OECDが調査したPISAの結果のように、日本の教育のデジタル化は世界の中で迅速とは言えません。

これを背景に文部科学省は、時代の変化に対応できる人材育成を目的とした「GIGAスクール構想」を提唱しました。

文部科学省が公開している「GIGAスクール構想の実現へ」の中で、GIGAスクール構想は以下のように定義されています。

1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され資質・能力を一層確実に育成できる教育ICT環境の実現を目指す。

これまでの我が国の教育実践と最先端のICTのベストミックスを図ることにより、教師、子供の力を最大限に引き出す。

また、文部科学省はこれからの子どもたちを育てるGIGAスクール構想の方針として、「多様な子どもたちを『誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学び』の実現」を掲げています。

GIGAスクール構想の結果、2021年4月段階で全国の小中学校の9割で一人一台情報端末の体制が整備されたと言います。

真の教育DXを図る「未来の教室」実証事業

上記の「GIGAスクール構想」の結果、多くの生徒が情報端末体制を整備できました。ですが、この構想だけでは真の教育DXの実現は難しいとされています。

なぜならば、「GIGAスクール構想」によって実現された教育のデジタル化は、アナログをデジタルに置き換えた業務改善や効率化にとどまっており、生徒や教員たちの教育の抜本的な改革には至っていないためです。

ここで教育DXに向けてもう一歩進めたものが「未来の教室」実証事業です。

「未来の教室」実証事業とは?

経済産業省が新しい学習指導要領のもとで、1人1台端末とさまざまなEdTech(エドテック)を活用した新しい学び方を実証するための事業です。2018年度から全国の学校などと進めてきました。

具体的には、1人1台端末とEdTechを徹底活用し、数理や言語などの基礎を効率的に習得する「個別最適化学習」の実現により、それにより生み出された時間を「STEAM教育」にあてます。

STEAM教育とは、科学(Science)・技術(Technology)・工学(Engineering)・アート(Art)・数学(Mathematics)の頭文字を組み合わせた造語で、理数教育に創造性教育を加えた教育理念を指します。

この事業の目的は、知識はEdTechで学んで効率的に獲得し、探究・プロジェクト型学習(PBL)に没頭する時間を捻出し、自分の得意なことで突き抜け、社会で活躍するロールモデルを作ることです。

「個別最適化学習」により、自分に適した勉強を個々のペースで自ら主体的にできるとされています。

日本の教育業界の課題

教員たちの意識改革

現在、端末の1人1台配付はほぼ完了しています。

ですが、それを実際に活用する現場の人間の意識改革はまだ不十分と言えます。

教育DXのためには、教師のICT活用指導力の向上や授業プロセスの見直しと、文字通り現場の抜本的な「改革」が必要になります。

企業のDX案件と同じように、必要性は感じつつも実践はひと筋縄ではいかないというのが現状です。

▼教員に向けた研修会の事例

愛媛県の新居浜市教育委員会はソフトバンクから講師派遣を受け、2021年1月に市内小中学校の全教員約600名を対象とした研修を実施しました。

その際、小学校の教員に対してはiPadの基礎講座を、中学校の教員に対してはChromebookおよびG Suite for Educationの基礎講座を実施しました。

小学校と中学校でデバイスを使い分けるのには、デバイスの操作性があります。

直感的に操作できるiPadを小学生に与え、一方で卒業後にPCに触れる機会が多くなる中学生にはChromebookが適切だと新居浜市は判断しました。

派遣された講師が実際にその場でデバイスを使いながら研修を進められ、デジタルツールが苦手な教員に対しても他の教員と教え合うなど、大変好評な研修になりました。

真の教育DXを実現して生徒の可能性を最大限に活かそう

今回は教育DXについて紹介しました。

未来の教育へシフトするためには、学習観を21世紀型にアップデートする必要があります。

生徒一人ひとりの能力を見逃さず、最大限に活かすために教育DXを実現し、学習観のアップデートを図りましょう。

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