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2021.09.06

《2022年版》DX推進指標とは?自己診断のやり方や活用メリットを解説

最終更新日:

DX 推進指標 アイキャッチ画像

世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により、デジタル化による組織やビジネスモデルの変革=DXの重要度はますます上がっています。

しかし、多くの企業が取り組みはしていても苦戦を強いられています。

そこで今回はDXにおける企業の課題と成功のポイント、DX実現に欠かせない指標(KPI)についてご紹介します。

▼DXについて詳しく知りたい方はこちら

DX推進指標とは何か?わかりやすく解説

DX推進指標とは、経済産業省によって2019年に策定された、各企業がDXの推進状況の自社の現在位置を把握するための自己診断ができるツール、KPIです。

KPIは、組織における目標達成の度合いを示す数値としてマーケティングや経営分野などで幅広く用いられており、耳にしたことがある方も多いでしょう。

働き手の減少やデジタル化が進む中DXに遅れることで大きな損害を受けるとされているので、政府もDXを推進しています。このDX推進指標に関連してIPAは、各企業の自己診断結果を収集・分析することを目的に「DX推進指標自己診断結果入力サイト」を公開しています。

DX推進指標の構成-9つのキークエスチョン

経済産業省は現在日本が抱えている課題やその課題を解決するために必要な事項を軸に指標の構成を作りました。その構成には経営者本人の回答が望ましい以下の9つのキークエスチョンが設定されています。

  • ビジョン
  • 経営トップのコミットメント
  • 仕組み
  • マインドセット、企業文化
  • 推進・サポート体制
  • 人材育成・確保
  • 事業への落とし込み
  • ビジョン実現の基盤としてのITシステムの構築
  • ガバナンス・体制

サブクエスチョンでは、経営者、経営幹部、事業部門、DX部門、IT部門などで議題の分野に関わらず、議論して回答していく項目になっています。

キークエスチョン

https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190731003/20190731003-1.pdf

DX推進指標とそのガイダンスとは

「DX推進指標とそのガイダンス」は、DXの実現に向けて自社の状況を把握するために、2019年7月に経済産業省によって策定されました。

日本の多くの会社では、将来の危機感や会社全体のDXを実現するための仕組みの認識が共有されていなかったり、課題がたくさんあります。そういった背景のもと、DXの指標を約30社に試行的に活用してもらい、改善をしていきました。

ビジネスモデルに関わらず、DXを正しい方向性で推進していくために、取り組みを始めた会社も多くあります。

DX推進指標を活用する3つのメリット

DX推進指標を活用するメリットは3つあります。

  1. 社内でDX推進の認識を統一できる
  2. 競合他社との比較ができる
  3. 自社が今後何をするべきか分かる

以下でそれぞれ解説していきます。

社内でDX推進の認識を統一できる

DX推進指標を活用すれば、自社のDX推進度合いを客観的指標に基づいて判断できます。

失敗しやすいDX推進においては、関係者間で生じた小さな認識のズレも致命的なリスクになりえます。

DX推進指標の回答には関連部門が集まることになりますが、その際に足並みを揃えるという意味でも認識の一致は不可欠です。

社内コミュニケーションツールを利用してDXのビジョンを示し、DX推進指標を用いて自社のDX進捗状況を共有しましょう。

競合他社との比較ができる

DX推進指標を使い自己診断を行うと、詳細なベンチマークデータが提供されます。

このデータにおいては他社のDX推進成熟度を踏まえ自社の成熟度を相対的に比較でき、競合他社と比較できます。グローバル競争を目指すためにも、まずは国内市場でDX推進の先駆者を目指し進めましょう。

また、個々のデータ項目において、他社と比較して秀でている項目と追いついていない項目を把握できます。これもDX推進指標を活用するメリットのひとつと言えるでしょう。

自社が今後何をするべきか分かる

DX推進指標にはレベルが6段階あります。

現在のレベルの把握により、次のレベルに到達するために必要なことがそのままネクストアクションの把握に繋がります。

まだ実践のプロセスに型がないDX推進において、貴重な指針となるでしょう。

DX推進指標の成熟度-レベルは6段階

DX推進指標はビジネスモデルを評価するのではなく、会社の経営状態とITの視点から35項目で評価していきます。その評価は6段階の成熟度レベルで判定され、以下のようになっています。

成熟度レベル

https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190731003/20190731003-1.pdf

成熟度レベルの評価がなされた際に、3年後の目標値を設定します。それにより、その目標値を達成するためには、どんな課題がありなにを実施しなければいけないか認識できます。

IPAが2022年に公開した2021年の分析レポートによると、486社の19%の企業が成熟度レベル0でした。4つのうち1つの企業は全くDXに取り組んでいなく成熟度レベル5の企業は日本有数であり、デジタル企業としてグローバル競争に優位に立っています。

▼参考元
DX推進指標自己診断結果分析レポート(2021年版)

他社のレベルをチェック

成熟度レベル割合

DX推進指標自己診断結果分析レポート(2021年版)を元に作成

レベル3以上の企業が先行企業だと言われていますが、このデータによると全体の17.7%しか達成していません。しかし、レベル3以上の企業も最初からレベル3だったというわけではありません。

成熟度レベル0の企業よりも、DXを進めていなくDX推進指標での自己診断をしていない企業の方が意識は低く、自社のレベルが低く評価されても目標値を設定してきちんと取り組んでいくことでグローバル競争の中で生き抜いていけます。

そして、DX推進指標をもとに進めていく中で高い成熟度レベルを取ることが目標ではなく、DXをなんのためにするのかという本質からずれないことが大切です。

【4ステップ】DX推進指標における自己診断のやり方

DX指標の自己診断のやり方は次の4つのステップです。

  1. 「DX推進指標とそのガイダンス」を認識する
  2. ガイダンスに基づいて自己診断を行う
  3. 「自己診断フォーマットver2.3」に自己診断結果を記入する
  4. 「DX推進ポータル」から自己診断結果を提出する

以下でそれぞれ解説していきます。

①「DX推進指標とそのガイダンス」を認識する

まず、自己診断を行う前に53ページのPDFで詳しく知ることができるので「DX推進指標とそのガイダンス」を読んで全体像を認識しましょう。

経営幹部やDX・IT部門などの関係者同士の議論を進めて認識のずれをなくし、経済産業省の取り組みやDX推進の重要度を理解することが大切です。

参照:DX推進指標とそのガイダンスはこちら

②ガイダンスに基づいて自己診断を行う

認識することができたら、行動に移していきましょう。

基本的に、ガイダンスに基づいて自己診断を進めていけば結果がでます。

③「自己診断フォーマットver2.3」に自己診断結果を記入する

自己診断フォーマットver2.3

自己診断フォーマットはExcelファイルで配布されているのでダウンロードして入力していきましょう。

以前のバージョンのフォーマットに入力しても提出できないので、必ず現在のバージョンの「自己診断フォーマットver2.3」に入力するように気を付けましょう。

また、一つの部門だけでなく違う部門で集まって議論していくことで、部門ごとの認識の違いを見つけ出しながら入力することができます。

参照:自己診断フォーマットver2.3はこちら

④「DX推進ポータル」から自己診断結果を提出する

Webで申請できる「DX推進ポータル」に2021年からファイルを提出できるようになりました。

だいたいの手順は以下の通りです。

  1. gBizIDアカウントでログインまたは作成
  2. DX推進指標ボタンを選択
  3. 自己診断結果提出ボタンを選択
  4. ファイルを参照して手続き開始ボタンを選択
  5. 連絡事項欄を記入し内容確認を終えたら提出

DX推進ポータルについての利用マニュアルも配布されているので、詳しくはこちらをご覧ください。

参照:DX推進ポータル利用マニュアル

DX推進指標を活かしてDXを推進するには?

DX推進指標を活かしてDXを推進する方法は3つあります。

以下でそれぞれ解説していきます。

自己診断結果から課題を明確化して改善する

紹介する3つの中でも自己診断結果から課題を明確化して改善することが最も大切です。DX推進指標の自己診断フォーマットに入力するだけでも体感で自社の取り組みを意識することができますが、診断結果を確認して目標値を設定することで取り組むべき課題を明確にできます。

そして、1回だけでなく何回もDXの診断を定期的に行って、企業全体のDXに対しての認識を共有することが大切です。

ベンチマークを入手して自社と比較する

ベンチマークは水準という意味で、自己診断結果を提出した企業のDX取り組み状況を基準として自社の状況が分析されています。

比較することで、国内で自社はDXの取り組みがどれだけ進んでいるのか現在地を知ることができて、より高度な分析ができます。

ベンチマークの入手手順は以下の通りです。

  1. DX推進ポータルにgBizIDアカウントでログイン
  2. DX推進指標ボタンを選択
  3. ベンチマーク入手ボタンを選択
  4. 自社が自己診断結果を提出した確認したい年のものをダウンロード

※備考※

毎年9月・10月はDX推進指標の集中実施期間です。2022年10月31日までに自己診断を実施し、診断結果をIPAに提出した企業には、他の提出企業のDX取り組み状況と自社の取組状況を比較できる「ベンチマーク」の2022年速報版が11月中頃に提供される予定です。

▼引用元
https://www.ipa.go.jp/ikc/info/20220901.html

分析レポートからDX推進先行企業の特徴を知る

IPAのDX推進指標自己診断結果分析レポート2021年版には、自己診断を昔からしているような先行企業にはどんな特徴があるのかということが公開されています。

しかし、DXの課題は企業規模や業種によって異なってくるので、ただ同じことをすると逆効果になることがあるので、参考までにするのが注意点です。自社の業種などを考えたうえで、活かせることを吸収していくことが大事です。

参照:DX推進指標自己診断結果分析レポート(2021年版)

まとめ

DX推進指標は、企業がDXへ向け取り組むべきアクションについて経済産業省が詳細に示した画期的なガイダンス資料です。

ITシステム構築に限らず経営のあるべき姿まで述べており、各企業は自社に合わせた形でDX推進プロジェクトを評価し、課題点を解決することを求められます。

DX推進指標を参考に、適切なPDCAを回してDX推進を成功させましょう。

▶DX推進とは?指標や課題・企業事例をガイドラインに沿って解説>>

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