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2021.11.22

ZHDの共通言語をAIに -グループ横断でAI人材を育成する「Z AI アカデミア」

最終更新日:

AIの活用に注目が集まる中、近年では企業内の幅広い人材がAIの知識や可能性を知り、業務で正しく活用していく必要性が増しています。かつてはAIエンジニアを中心にAIの知識が求められていましたが、AI活用の時代となった今、ビジネスサイドまで広くAIの知識を教育することが、企業内でのAI活用促進に直結します。

国内では、多くの企業が社内のAI教育を本格化し、ボトムアップでAIの活用が生まれるようになってきました。そんなトレンドの中、国内のIT分野を代表するZホールディングスは、2021年7月よりグループ全般の教育を担う「Zアカデミア」内にコミッティ「Z AIアカデミア」を立ち上げました。

今回は、株式会社ZOZO NEXT 取締役 CAIO / 株式会社ZOZO AI R&D推進本部 本部長を務め、Z AIアカデミア幹事も務める野口 竜司氏と、Zアカデミアの運営/企画を担う谷口 美明氏にお話を伺いました。
▼野口氏が提唱した「文系AI人材」の可能性について詳しく知りたい方はこちら

株式会社ZOZO NEXT 取締役 CAIO / 株式会社ZOZO AI R&D推進本部 本部長 野口 竜司氏

Zアカデミア 運営/企画 谷口 美明氏

理を深く、文を広く|Z AIアカデミアとは

ーー改めてZ AIアカデミアについて説明をお願いします

野口氏

Z AIアカデミアは、Zホールディングスの企業内大学「Zアカデミア」内にできたコミッティで、大きく2つに分かれています。

1つはZホールディングス全社員に向けたオープンなAIの学習講座の提供
そして2つ目は、ヤフー、LINE、アスクル、一休、ZOZOなどのグループ企業間で各社のAI推進に関わるナレッジ共有を行うクローズドなコミュニティとなっています。

ーーどのような経緯で設立されたのでしょうか?

谷口氏

「Zアカデミア」自体は去年の4月から開始し、Zホールディングス内でのナレッジ共有を行うために、さまざまなコンテンツを提供しています。

例えば、アスクルの執行役員から物流を学んだり、検索についてヤフーの責任者から学んだり、お互いの事業を知りながら学べるコンテンツが整備されています。

また、ジャンルの幅を広げようとZホールディングス内に”認定講師制度”というものを作り、社員同士が学び合う文化を作りました。その中で、AIテックカンパニーを目指す上でAIに本腰を入れていく必要性を感じ、Z AIアカデミア設立に至りました。

ーー具体的なカリキュラムについてお聞きしたいのですが、1つ目のオープンなコンテンツからよろしいですか?

野口氏

全社員に向けたオープンな講座では、Zホールディングス内の事例を用いながらワークを行い、より実践的なAI人材育成orより実践的なAI教育を進めていこうと考えています。

また、重要視している部分はAIに関する心技体知を育てていくことです。

AIの基礎、「体」の部分だけ学んで満足するのではなく、より実用的な技術を磨き、AIの企画、目利き、推進などまで行える「技」の部分を育てる準備もしています。そして、リーダーシップやAIの自分ごと化などマインドに関する「心」を育てていき、自らAIを学び活用していく人材を増やせたらと考えています。

ーー2つ目のクローズドなコミュニティは、どのような仕組みを取り入れるのでしょうか。

野口氏

グループ内の各社ごとに持っているアルゴリズムや、実証の結果などのノウハウが閉じられているという現状があります。クローズドなコミッティでは、公開情報より一歩進んだ情報をどんどん共有していき、コミッティをフックに共同実験や共同研究などにつなげていけたらと考えています。

また、Zホールディンクス全体のAI活用の基礎、コア部分になっていけば良いなと思っています。

ーー業務時間に参加することも可能なのでしょうか?

谷口氏

基本的には各社の判断に任せています。参加しやすい時間帯は人によって違っていたりするので、そこは配慮して色々な時間帯で参加できるようになっています。

ーー文理両軸という指標があるそうですが、どのような狙いがあるのでしょうか?

野口氏

文理という分け方が正しいかわかりませんが、「理の方をより深く、文の方をより広く」縦横に伸ばしていくイメージがベースとなっています。

「理を深く」では、クローズドなコミッティで行えるようなデータサイエンティストたちが先陣を切って行っていることを共有して、専門人材間の深いコミュニケーションを目的としています。

「文を広く」では、極論を言うと全員にZ AIアカデミアを活用していただきたいということで、できるだけ多くのビジネスパーソンにAI教育を届けたい。ということです。

DXのコアテクノロジーこそAI|近年のDX動向

ーー近年DXという言葉よく使われるようになりましたが、Z AIアカデミアではDXとAIの関連をどのように捉えていますか?

野口氏

DXのコアテクノロジーがAIである、というのはよく言われていますが、近年より鮮明に現れてきたと思います。

DXには広義狭義ありますが、Zホールディングスグループでは、例えばLINEの超巨大言語モデルをはじめとしたイノベーションが起きていて、そういった意味でAIの本命感が増してきたのを感じています。

その本命であるAIを如何に使いこなすかが求められており、先を見越してAI教育を進めていきたいと考えています。

▼LINEの超巨大言語モデルについて詳しくはこちら

今後の展望について

ーー最後に今後の展望についてお聞かせください

野口氏

トップレベル人材でも「AIを作る専門人材」と「AIを使いこなす人材」の両方がいると思うのですが、毎年度でその双方を育てていけるようなサイクルにしていければと思っています。

また、同時にグループ内のネットワークを長期的に育て、「あの部署のあの人に聞けば解決する」のように、グループ内のコミュニケーションを活性化し、AI活用をさらに進める起爆剤にしていきたいと考えています。

ーー谷口さんはいかがでしょうか?

谷口氏

Zホールディングスはさまざまな会社がありますが、それぞれの会社で業務があり、なかなか他の会社とコミュニケーションを取る機会がなかったりします、

その中で、AIテックカンパニーを目指しているグループとして「AIを共通言語」にしたいなと思っています。AIをきっかけに対話が生まれたり、課題を解決できたりなど、AIという言葉で色々な方向につなげられたらと思っているので、Z AIアカデミアをそのきっかけにできたらと思っています。

おわりに

近年重要視されているAI教育ですが、グループとしてこのような規模感で行っている所は他になく、ここから数年経ってどのようなAI活用の事例が生まれてくるのでしょうか。

また、理系人材に偏りがちなAI教育を文系の方も合同で行っていくという点でも革新性があり、日本のAI教育そのものにも影響を与えそうなプログラムとなっていました。

AINOWでは引き続きZ AIアカデミアの動向を追っていくので、ぜひチェックしてください。

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